相棒Season5のストーリー

Season05

放送日:2006年10月11日~2007年3月14日

第01話「杉下右京 最初の事件」

2006年10月11日放送

ミリタリーマニアに襲撃され、殺害されたホームレスの所持品の中から恩賜の懐中時計が見つかった。右京(水谷豊)は22年前、旧伯爵家・御手洗邸で発生した強盗殺人事件で恩賜の懐中時計が盗難品として届けられていたことを思い出す。強盗は御手洗家の長男・晃一(佐藤 一平)を殺害して逃亡。事件はそのまま時効となっていた。右京は今回見つかった懐中時計を手に御手洗家へ。認知症を患っている晃一の母・嘉代(馬渕晴子)に時計を見せると、以前書生をしていた里中(横田エイジ)に父があげたものだという。ということは殺されたホームレスは里中なのか?右京は晃一の妻・律子(平淑江)から里中の写真を借りるが、律子は「もう時効だから」と22年前の事件に触れられることをなぜか嫌がる。

 被害者は御手洗家の元書生・里中だった。右京と薫(寺脇康文)は御手洗家を訪ね、里中にあげた恩賜の懐中時計をなぜ盗まれたと証言したのか、晃一の父・泰彦(神山繁)に確認する。当時は混乱していたから、と言う泰彦だがどこか歯切れが悪い。事件当時は5歳で今は次期首相候補の宗家(勝野洋)のもとで秘書をしている聖子(奥菜恵)も事件に興味があるようだ。そのとき右京らを刑事と聞いた嘉代が取り乱し、犯人は勝手口から逃げたと言い出した。確か証言では玄関からだと…。すると嘉代は泰彦に注意され「本当は知らないの」と突然取り乱す。「知らない」とはどういう意味なのか?

 薫から話を聞いた妻の美和子(鈴木砂羽)は、それとなく嘉代に近づきこっそりと取材。嘉代は長男が殺されたことを告げると、なんと「でもね、死んだ方が良かったの」と意外なことを口にする。事件当時は皆が悲しんでいたようだが「死んだ方が良かった」とは?
 と、そんな右京らに聖子が事件について知りたいと連絡してきた。

 誰かを庇うために強盗事件という筋書きをでっち上げたのではないか。右京は聖子に自らの考えを明かす。聖子も祖母の嘉代に真実が知りたいと迫るが、母の律子にきつく止められてしまう。翌朝早く、嘉代が変死体で発見された。右京が他殺の可能性が高いと指摘すると、泰彦が自首してきた。認知症の妻が不憫だったからだというが、本当にそれだけか。  聖子をたった一通の手紙で秘書にした宗家に疑問を抱いた右京らは、宗家がかつて御手洗家の書生だったことを知る。だから聖子を雇ったのか。右京らは宗家にも22年前の事件について話すが…。

 嘉代の葬儀にやってきた宗家をつかまえた右京らは、22年前の事件当日、宗家も御手洗家にいたのではないか、と疑問をぶつける。聖子が童話を読んで寝かしつけてくれたことを思い出したからだ。が、律子はあれは里中だったと否定。聖子の記憶も曖昧になっていく。右京はそんな聖子に殺された父・晃一に童話を読んでもらったことはないか、と聞くが、聖子にはそんな記憶はないという。右京はなぜそんなことを聞いたのか?

 右京と薫は拘置所の泰彦から呼び出され、22年前に晃一を殺したのも自分だと告白される。すぐに暴力を振るう晃一にカッとなり、もみ合いからナイフで刺してしまったという。しかし、右京は泰彦が誰かを庇っているとしか思えない。右京は宗家が犯人ではないか、とにらんでいるようだ。しかし、永田町でも人格者と評判の宗家が殺人など…。そんな宗家のもとに律子から会いたいという電報が舞い込んだ。宗家は予定をキャンセル、待ち合わせ場所へと出かけていく。

 電報は宗家と律子を呼び出すために右京らが出したものだった。聖子とともに現れた右京と薫は事件の謎解きを始める。聖子も父から性的虐待を受けていた事実を思い出していた。当時、そのことに激昂した宗家が晃一を殺害、晃一の行為に手を焼いていた泰彦らが22年間宗家を庇っていたのだった。潔く罪を認める宗家、海外生活があり時効は成立しないこともわかった。必死で庇おうとする律子だが、宗家は背負ってきた重い十字架を下ろしたいという。そんな宗家に右京は聖子に実の父と名乗るべきでは?と勧める。宗家の聖子を思う気持ちの強さに、右京は父親の愛情を感じていたのだった。

 宗家は逮捕されたが聖子も政治家を目指して頑張ると右京らに誓う。“父”宗家のような立派な政治家になりたいと…。

ゲスト: 奥菜恵、平淑恵、神山繁、勝野洋 ほか

相棒Season05 第01話「杉下右京 最初の事件」
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第02話「スウィートホーム」

2006年10月18日放送

 薫(寺脇康文)が古い洋館を破格値で購入した。その洋館は悪魔崇拝の研究家で、暴漢に殺害された天城(星野晃)がかつて住んでいたもの。まさに天城はこの洋館で殺されていた。以来、幽霊屋敷との噂も流れたが、幽霊など信じないと笑い飛ばす薫。しかし、深夜美和子(鈴木砂羽)とともに不気味な幽霊を目撃してしまった! 

 が、翌朝、洋館を調べた右京(水谷豊)は幽霊がニセモノだとあっさり断定、だとすると、何者かが侵入したことになる。いったい何の目的で?

 右京らは洋館で起きた天城殺人事件を調べ直す。犯人の富田(久保田芳之)は天城と刺し違えて死亡。武器が天城家にあった斧だったことから、富田の目的は天城殺害ではないことがわかる。

 かつて富田が務めていたカフェを訪ねるが、店主の久美子(夏生ゆうな)は履歴書に書かれていること以外はわからないという。右京らはカフェの前に富田が勤務していた工務店で富田が糸川(山田百貫)というすでに死んだ老人と仲が良かったことを知る。老人の死を看取ったのも富田だったとか。糸川を調べた右京は、糸川が倒産した糸川興産の社長で天城の前の豪邸の持ち主だったことをつかむ。糸川興産の元社員によると、倒産で一家は離散。2人の娘もどこかへ引き取られたらしい。が、糸川は豪邸のどこかに財産を隠していると豪語していたとか。

 死神の扮装をした2人組が薫の家に押し入ってきた。薫をサウナに閉じこめると、美和子を縛り、シガールームの天使の絵が描かれている床を堀り始めた。脱水症状を起こし、意識が遠のく薫。床に転がされた美和子も脱力感に襲われるが、そこへ不動産屋の町子(国分佐智子)が現れた。が、町子は美和子を無視すると穴を掘る死神=久美子とタカシ(松嶋亮太)のもとへ。久美子をあからさまに非難する町子だが、タカシは久美子を庇うと町子も薫夫妻も殺して財産を奪うと言う。さすがに臆する久美子。町子は隙を見て逃げ出すが、そこへ薫と美和子を助けた右京が現れた。苦しみながらも怒りを露にする薫にタカシはおとなしく降参してしまう。

 実は町子と久美子は死んだ糸川の娘。右京の推理どおり、財産の隠し場所を知った富田が町子に接近、続いて久美子に近づき、見返りに1000万円を要求したという。久美子は富田に隠し場所を確認するよう頼んだが、逆に天城に殺されてしまった。事件を知った町子は不動産屋に就職、豪邸の担当になり財産を守っていたという。富田によると財産の隠し場所は「天使の下」。しかし、シガールームの「天使」は薫が作ったもので糸川は知らない。

 右京はローマ人が「天使の木」と呼んでいた月桂樹の木があったところではないか、と推理する。そういえば町子と久美子は幼い頃月桂樹の木に登って遊んでいた。さっそく掘り返してみると、箱が出てきた。が、中からは金ではなく幼い町子らが描いた父の似顔絵やぬいぐるみ…娘たちの思い出の品々だった。

「どうやら金に目がくらんでいたのは、あなた方だったようですね」。
 父の思いを噛みしめた町子と久美子は幼い頃の思い出を胸に、新たにやり直すことを誓ったのだった。

ゲスト:国分佐智子 夏生ゆうな

相棒Season05 第02話「スウィートホーム」
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第03話「犯人はスズキ」

2006年10月25日放送

 柳瀬町の神社で白坂(白石タダシ)という男の他殺体が発見された。偶然事件を聞きつけたたまきから連絡を受けた右京(水谷豊)は薫(寺脇康文)とともに捜査に乗り出す。聞き込みから白坂は殺される直前、同じ町内会のスズキと言い争っていたことが判明。右京らはスズキを探すが、引っ越してきたばかりで町内会長の池之端(高橋長英)らも居所を知らないという。スズキと思われる男がコンビニに残した指紋から、空き巣の現行犯で逮捕された江島(加島祥全)であることがわかった。江島が逮捕されたのは3カ月前。ちょうどそのころここ柳瀬町でも空き巣が捕まっている。まさか江島が柳瀬町で…!?

 江島の遺体が自宅で発見された。どうやら首を吊って自殺したらしい。やはり江島は3カ月前、柳瀬町で白坂の家に空き巣に入ったところを町内会の住民によって捕まっていた。江島を捕まえた住民とは、スズキの釣り仲間・堂本(斉藤暁)だった。が、堂本はスズキが江島と同一人物だったとは気づかなかったと苦しい言い訳を繰り返す。堂本はかつて警察官として柳瀬町の交番に勤務していた。それだけ柳瀬町には愛着もあるはずだ。その堂本がなぜ町を荒らした空き巣犯を庇おうとするのか?右京らの追及に堂本は怒り出して…。

 右京と薫は江島が盗みに入った白坂の家へ。そこで30年近く前の人気アニメ「マジカル・リリィ」のキャラクターグッズを見つける。が、白坂に子供はいなかったはずだ…。右京は古い新聞を調べ、柳瀬町で24年前に小学生の少女が殺害される事件があったことをつかむ。結局犯人は見つからず10年前に時効になっていた。

 右京は町内会のメンバーを集めると、事件の真相を説明する。実は白坂殺害の容疑者スズキはもともと池之端ら作り出した架空の人物。すべては白坂を殺害した真犯人・池之端を庇おうとして、町内会のメンバーが発案したものだった。  なぜ彼らは池之端を庇おうとしたのか。実は24年前に殺された小学生は池之端の娘・桃代だった。町内会のみんなが愛していた桃代を殺したこと犯人を誰もが憎んだが、結局時効に。しかし、江島が白坂の家に空き巣に入り、桃代(清水舞)が使っていた文房具を盗み出したことで白坂が犯人とわかってしまった。問いただした池之端は思わず白坂を殺害、一緒にいた堂本は自首するという池之端を説得。町内会のメンバーにスズキという男を犯人に仕立てようと提案したわけだった。

 スズキさんは架空の人物じゃない…。
 本当にスズキが我々の無念を晴らしてくれたような気がする…。
切ない思いを口にする町内会の人たちに、右京はつぶやいた。
「それが本当だったら、どんなにいいでしょう……」。

ゲスト:高橋長英 斉藤暁

相棒Season05 第03話「犯人はスズキ」
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第04話「せんみつ」

2006年11月1日放送

12億円の宝石強奪事件で世間が騒然となる中、三浦(大谷亮介)が右京(水谷豊)に槇原(平田満)という空き巣の常習犯を調べて欲しいと頼みにやってきた。千に3つしか本当のことを言わない嘘つき=“せんみつ”の槇原が、奥多摩の別荘に侵入して捕まった今回ばかりはなぜか素直に罪を認めているという。

興味を抱いた右京が薫(寺脇康文)とともに槇原を取り調べると、なるほどスラスラと犯行を自供する。あまりに辻褄が合いすぎ、やはりその話はウソくさい。右京は、槇原が隠している真実を聞き出そうと、なぜシーズンオフの別荘を狙ったのか、どうやって数ある別荘の中から侵入した別荘を選んだのか、など細かい質問を繰り返し、証言のほころびを見つけ出そうとする。

それでもボロを出そうとしない槇原。わざと逮捕され起訴されたがっているのではないか。そう考えた右京はさりげなく槇原に圧力をかける。

「窃盗より重い罪を犯した人間がその罪を糊塗しようとしている、とか」。

 しかし、槇原は顔色ひとつ変えようとしない。

薫と美和子(鈴木砂羽)が今は稼動していない産廃場で男の他殺体を発見した。死亡推定時刻は槇原が逮捕される直前。ということは…。

三浦ら捜査一課は槇原を殺人事件の重要参考人として取り調べる。必死で否定する槇原だが“せんみつ”の言葉など信じられない。激しく責め立てられる槇原に三浦の心も重い。

右京の推測どおり、実は三浦と槇原は同郷の人間だった。盗みを重ねる理由を聞く三浦に、槇原は1億円稼いでさびれていく故郷で温泉を掘るんだと答えたという。そして、話の最後にこう付け加えた。

「これは3つのうちのひとつです」と…。

槇原が殺人犯だとしたら、現場近くの別荘に侵入などせず、さっさと遠くへ逃げたはず。殺害現場からは槇原の指紋も発見されず、逆に被害者が12億円宝石強奪事件と関係があることが判明した。となると、宝石強奪事件と槇原も関係があるのか?右京は槇原の当日の行動を調べ直し、近くにある高森酒造の倉庫を訪ねる。そこには2011年の熟成を待つ酒樽と高額のワインが保管されていた。その樽は現在個人オーナーを募集中、2011年の熟成を待って、初めてオーナーの手で樽は開封されるという。

殺された男がかつて高森酒造に勤めていたが、素行不良で解雇された本脇(川瀬陽太)と判明した。川瀬は12億円宝石強奪事件の一味。槇原の所持品を調べた右京は、三浦らにひと芝居うってもらい、殺人容疑が解けたと取調室に一人槇原を残す。そして、近くには携帯電話の忘れ物が…。

思わず手に取り電話をかける槇原は高森酒造のバーレルオーナーに応募しようとした。

その現場を押さえた右京らは、実は槇原は高森酒造の高級ワインを狙っていたことを突きつける。しかし、本脇が盗んだ宝石を独り占めしようと樽の中に隠すところを偶然目撃してしまい、本脇が殺されるところも見てしまった。宝石強盗から追われる身になった槇原は別荘に侵入し、わざと身の安全を守るため、わざと逮捕されたのだった。そして、5年後の2011年、12億円の宝石を取り出すために…。

かたぎになれという三浦に、槇原は冗談じゃない、これからも空き巣やります、と言い張る。しかし、右京はそんな槇原の心を見透かしていた。

「ウソしか言わないなら、今の言葉もウソなんですね…」。

ゲスト:平田満

相棒Season05 第04話「せんみつ」
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第05話「悪魔への復讐殺人」

2006年11月8日放送

 行きずりの女性を次々と殺害、片方の耳からピアスを奪うという事件を起こした安斉(高橋一生)が何者かに殺害された。快楽殺人者・村木のカウンセリングを担当していた美咲(奥貫薫)の助手をしているうちに、村木が抱える闇に飲まれ自らも殺人者となってしまった安斉。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)の手によって逮捕されたが、鑑定の結果「刑事責任能力なし」となり不起訴に。世論の批判を浴びた検察は安斉を指定医療機関に強制入院させたが、最近退院が検討され、外出訓練をしていた矢先の事件だった。

 安斉の遺体のそばには外出訓練に付き添っていたナースの真帆(石橋けい)も傷つき倒れていた。どうやら犯人は安斉が外出訓練をする時間を狙っていたらしい。

 安斉に娘を殺された父親の末次(竹本純平)が自首してきた。しかし、その証言は支離滅裂。自白の信憑性は曖昧だ。  右京と薫は真帆から事情を聞くが、犯人の顔は見ていないという。真帆から外出訓練の予定を聞いた末次が安斉を殺害した、という可能性はないだろうか。しかし、真帆と末次の接点はどこにもない。

 そんな右京らは、安斉の担当医に会いに来たという美咲と再会する。実は美咲は末次の担当医だった。たった一人の娘を殺され、心のバランスを崩した末次は、安斉がどういう男なのか知りたい、と美咲に訴えてきたらしい。その切羽詰った状況に美咲は、助手の安斉の犯罪志向に気づかなかった自分の責任を感じたという。

 末次の鑑定の結果、責任能力なしとして不起訴処分になる可能性が高くなった。どうやら美咲が提出した末次の診療記録が決め手になったらしい。美咲は安斉の犯罪に責任を感じていた。ということは、末次を責任能力なしにしたかった?しかし、問題は末次が外出訓練の予定を誰から知ったか、ということになる…。

 美咲が安斉の外出訓練の予定を知っていたことがわかった。ということは、末次は美咲から予定を?しかし、美咲は外出訓練の予定を教えたかという右京らの質問に「まさか」と小さく笑う。

 同じ事件を追っていた美和子(鈴木砂羽)が、退院して京都の実家に戻った真帆に会いに行くという。薫からそんな話を聞いた右京は色めき立つ。確か真帆は去年まで関西の系列病院で訪問看護の仕事をしていた。京都へ急行した右京らは、真帆が訪問していた患者の中に娘を安斉に殺された「牧百合江(志水季里子)」の名を見つける。

 やはり右京らの読みどおり、真帆が百合江に安斉の情報を漏らしていた。入院後、自分の罪を悔やんでいた安斉の様子を伝えれば、百合江の力になるのでは?しかし、百合江はその情報をもとに安斉を殺害してしまった。真帆の思いが仇になってしまったわけだ。

 やはりすべて自分の責任という美咲に、真帆は安斉が自分のせいで一人残された百合江を誰よりも心にかけていた事実を伝える。

「安斉さんは優しい人でした」。
 真剣に語る真帆の言葉に心動かされた美咲は、右京の励ましもあり、医師を続けることにする。
「もう二度とこんな事件は起さない。そういう気持ちで、続けることはできないんですか?」。

ゲスト:奥貫薫 高橋一生 石橋けい 竹本純平

相棒Season05 第05話「悪魔への復讐殺人」
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第06話「ツキナシ」

2006年11月15日放送

一級建築士事務所を経営する宮澤(松田ジロウ)が自宅で殺害され、被害者の妻とスポーツクラブを通しての知り合いだった直木賞作家・北之口秀一(川崎麻世)が容疑者として浮上した。しかし、アリバイこそないが、目撃証言など北之口を犯人とする証拠は状況証拠ばかり。自ら潔白と言う北之口は、集まった報道陣の質問に積極的に答えるなど派手なパフォーマンスを披露。

一方、現場を調べた右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、フロアスタンドが不自然に動かされている痕跡を発見。北之口に聞いても「さあ」と言うだけで何も知らないようだが、スタンドからは北之口の指紋が見つかった。北之口はウソをついている。右京らは北之口に疑問を抱く。

事件当夜、夜景を撮影していたら偶然北之口をカメラに収めたという女性カメラマン・沙織(渋谷琴乃)が現れた。写真には時計も映っており、アリバイとしては完璧だ。右京と薫は北之口から直接話を聞くが、近くのコンビニに煙草でも買いに行ったときに撮られたのではないか、という。

 完璧すぎるアリバイほど疑わしいものはない。右京と薫はコンビニの防犯用ビデオに北之口の姿がなかったことを確認すると、沙織が撮影したときとまったく同じ時間、同じ位置から写真を撮影してみる。すると北之口が映った写真にはバックのビルに月が映りこんでいる。事件当夜の月の入りは19時08分。写真を撮影した時刻に月が映るはずがない。右京と薫が矛盾点を突きつけると、沙織はあっさり写真がトリックだったことを認める。実は沙織は北之口の熱狂的なファン。好きな北之口のために勝手にアリバイ工作をしたのだという。もちろん北之口も沙織にアリバイ工作を頼んだ覚えはない、と全面否定。捜査は暗礁に乗り上げる。

薫は右京が読み漁った北之口の著作を古本屋へ売り払うが、初版本でないから高くは買い取れない、といわれてしまう。そんな話を聞いたたまきは、自分が買った初版本なら高く売れるかしら、という。たまきまで北之口を?なにやら女性がラジオ番組に出演、さりげない会話を装い心惹かれた男性にメッセージを送る、というストーリーらしい。 そんな話を黙って聞いていた右京は、ついに事件の真相にたどりつく。ヒントは北之口が報道陣に囲まれたとき…。興奮を抑えきれない右京だが…。

 実は北之口はスポーツクラブでも問題になっていた盗撮の犯人だった。事件の夜も宮澤殺害ではなく、盗撮目的で宮澤宅へ侵入。風呂場で宮澤の妻の入浴姿をカメラに収めたのだが、偶然にも宮澤が殺害されるところをもカメラに収めてしまったのだ。その犯人こそ沙織だった。しかし、北之口は証言すれば自らの盗撮がバレてしまう。仕方なく北之口は報道陣を前に真犯人にメッセージを送ったわけだった。黙っているかわりに自分のアリバイを作れ、と。  さらにトリックがバレた場合のために、沙織は北之口のファンを装ったが、自宅にあった本がすべて初版本ではなかったため、右京にすべてを見破られてしまったのだった。

 覗きがバレたら作家生命を絶たれる、せめて殺人者なら…と取り乱す北之口。「罪名はブランドじゃない」と戒める薫に同調するように右京も冷ややかに言い放つ。
「罪を選ぶ権利など、あなたにあるはずないのですよ」。

ゲスト:川崎麻世 渋谷琴乃

相棒Season05 第06話「ツキナシ」
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第07話「剣聖」

2006年11月22日放送

剣道が得意な伊丹(川原和久)も尊敬している剣道の達人・吾妻(誠直也)が真剣で斬殺された。吾妻が経営する道場・吾妻心聖館の師範代・ふみ(原千晶)らは吾妻とまともに立ち合って勝てる者などいないという。もうひとりの師範代・望月(市川勇)でも無理、吾妻の一人息子・俊一(藤間宇宙)は喘息があるため、剣道はやらないという。

吾妻と立ち合うという覚書を交わした吾妻の親友・関(亀石征一郎)が逮捕された。
「武士道は死ぬことと見つけたり」という関は、病院のベッドで死ぬなら、と吾妻に剣で挑み、不覚にも勝ってしまったという。

関はすでに現役剣士とはいえない、そんな関に吾妻を斬ることなど…。
関の実力を知る伊丹は納得がいかない。とはいうものの、ふみの父親が警察庁の警備局長であることから捜査一課には事件を蒸し返すなという空気が漂っている。
不本意ながら伊丹は、それとなく右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)に捜査を依頼する。

そんな伊丹が言うには、道場に来る前、傷害などで逮捕歴があるふみが怪しいとか。右京と薫は、吾妻が決闘を前に死後の資産処理もしていなかったことに疑問を抱く。しかし、ふみも俊一も覚書がある以上、2人が決闘し吾妻が斬られたと信じて疑わないようだ。

覚書からするめいかを焼いたときに出る油のシミが見つかった。酒に酔うと掛け軸の模写などもして遊んでいた吾妻と関。覚書もそんないたずら心で書かれたものではないかと右京らは推理する。そんな疑問をぶつられたふみは、自分を疑っているのか、と右京に迫る。剣の実力は館長の足元にも及ばないというのに、と不満を口にするふみに、右京は「殺意を抱いていれば殺せる、抱いていなければ殺せない。問題はそこ」と切り返す。

師範代の望月が勤務する会社が吾妻の道場を買収する予定であることがわかった。道場の名前は残すが、事実上その歴史は幕を閉じる。望月によると、吾妻と結婚を前提に付き合っていたふみは道場の売却に猛反対だったらしい。吾妻心聖館館長夫人という肩書きが手に入らない。ふみがそんな風に思い、吾妻を恨んでいるとしたら…。

館長夫人に収まるという夢が破れたふみによる犯行ではないか。右京と薫はふみに自分たちの推理を突きつけるが、ふみは証拠がないと否定する。しかし、関が着ていた吾妻の返り血がついた剣道着を調べなおし、DNA鑑定すれば本当は誰が着ていたものかも判明する。右京が切り札をきると、意外にもふみはあっさりと自供する。
「お二人のおっしゃる通りです。私がやりました」。
しかし、右京と薫は、なおもふみに厳しく迫った。
「本当のことを話してくれと言ったんです」。
実は犯人はその場に現れた息子の俊一だった。偉大な父の存在を常にプレッシャーに感じ、次第に心の殻の中に閉じこもるようになってしまった俊一。今では自宅の部屋が唯一の安らぎの場となっていたが、それも父は望月の会社に売却してしまった。それも吾妻が俊一に強くなって欲しいと願っていたからこそ。そんな父の思いを知った俊一は、夜毎刀を振り自らを鍛えていたという。

そして、事件の夜。俊一は自ら稽古をつけてくれと願い出たが、やはり自らの弱さをさらけ出すことになり、刀を振り回すうちに父を斬ってしまったという。斬られた吾妻も息子を追い詰めた責任を感じていたようだ。
「あなたに対する贖罪の想いが、館長を一瞬、剣聖ではなく、ただの無防備な父親にしたのかもしれません」。
 右京の言葉が道場に響き渡り、ふみの心にも染み渡った。

ゲスト:原千晶 誠直也 亀石征一郎 藤間宇宙

相棒Season05 第07話「剣聖」
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第08話「赤いリボンと刑事」

2006年11月29日放送

時効間近の橘町事件の犯人と思われる男が、ラジオ番組でその罪を告白した。男は15年前の事件現場におり、犯人しか知りえない事実をべらべらと並べ立てる。偶然、ラジオを聴いていた右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は事件現場に急行。しかし、すでに男は逃げ去ったらしく、やはり犯人しか知りえない凶器の赤いリボンだけが残されていた。

事件は15年前、橘町のとあるマンションの屋上で当時女子大生の智世(小出ミカ)が、何者かに赤いリボンで絞殺されたというものだった。15年前から事件を追い続け、最近病に倒れて入院した高岡刑事(木場勝己)から事情を聞く右京と薫だったが、自分の代わりに犯人をあげて欲しいと懇願される。
高岡の入院と犯人の告白のタイミングが妙に合っている。不審を抱いた右京は、高岡の入院を知っていた人物を調べ始める。高岡の娘・ちひろ(馬渕英俚可)は、母の死に際にも捜査を優先した父と絶縁状態。母の仏壇に報告した以外は誰にもしゃべっていないという。結局、被害者・智世の両親、元婚約者の西(久松信美)が高岡の入院を知っていることが判明。声の質から西が犯人を装ってラジオに出演したことがわかる。
高岡の入院で危機感を抱いた西が、わざと警察を挑発するような行動に出て捜査を活気付けようとしたのだった。

ラジオの男が犯人でないことがわかり、事件は振り出しに戻ってしまった。高岡の命が長くないことを知った薫は、ちひろに高岡と会ってやって欲しいと頭を下げる。が、頑固なちひろは父を許そうとしない。
高岡が病院から脱走した。橘町の現場近くで保護した右京と薫は、ラジオの男がタクシーで帰ったという情報を高岡から受け取る。ラジオの男が西だということを知らないらしい…。改めてマンションの防犯ビデオの画像を確認した右京らは、西と入れ違いで現場にやって来る初老の男を発見する。西はどうやら男が乗ってきたタクシーを利用したらしい。では、男は何をしに早朝の現場に車で駆けつけたのか?

西が乗って帰ったタクシーを突き止める右京らは、ドライバーから初老の男について情報を得る。男は自宅から乗ったらしいが、なんとも大きな自宅だ。右京と薫はその自宅近くで主婦に聞き込みを。なんと“赤いリボン”でおなじみの石黒ギフトの社長・石黒(有川博)宅だという。妻を亡くした石黒には長男がいるが、今はアメリカに留学中だとか。右京らはその長男が日本で在籍した大学名を聞きだし、伊丹らに身元調査を依頼。右京らも当時のゼミの教授から話を聞くなど、捜査の輪を狭めていく。

 石黒は右京と薫の前で、例のラジオ放送があった当日、マンションに行ったことを認める。実は橘町事件の犯人は息子の信也(加々美正史)。突如、ラジオから流れてきた“犯人の告白”に取り乱し、石黒は現場に駆けつけたのだった…。  右京らから事実を突きつけられ、最初は否定した石黒だったが、信也が提出した論文から検出された指紋が犯人のものと一致したと知らされるとすべてを告白。不倫が原因で母を自殺に追い込んだ父を憎み、不倫相手に似ているからと智世を殺害、父への復讐を果たした信也。しかし、その信也は留学先のアメリカで事件の翌年に事故死していた。

 犯人を突き止めたものの、逮捕はできなかった。右京と薫は高岡に報告に行くが、思わず薫は「石黒を逮捕した」とウソをついてしまう。15年間の苦労が報われた。喜びにむせび泣く高岡。そんな高岡の前にちひろが現れた。涙ながらに手を握る娘に、「すまん」と頭を下げる父…。
 その夜、高岡が急死した。ウソの報告に胸を痛める薫に、右京は高岡が遺した最期の言葉を伝える。
「人生で一番いい日だった」と。

ゲスト:木場勝己 馬渕英俚可

相棒Season05 第08話「赤いリボンと刑事」
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第09話「殺人ワインセラー」

2006年12月6日放送

街金の社長・石場(柄沢次郎)が殺害された。後頭部の傷から赤レンガの粉が発見されたことから、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は石場と付き合いがあったワイン評論家・藤巻(佐野史郎)の店へ。そのレンガ造りのワインセラーには高級ワインがズラリと並んでいる。店は大赤字と自嘲気味に笑う藤巻。どうやら購入資金を街金の石場から借りた可能性が高い。街金の社員の話では、生前石場は藤巻と仲が良かったらしいが、ワインの選択で藤巻が石場を馬鹿にすることがあったという。以来、2人は疎遠になったらしいが、それでも石場は裏帳簿まで作り藤巻に金を貸していた可能性がある。さらにカレンダーに残されたメモによると、月に1回は藤巻の店を訪れていた。いったい、なぜ…?

藤巻は担保不足を理由に石場に融資を断られていた。が、ワインの購入資金の出所は明らかにしようとしない。ふと藤巻のエチケット(ワインのラベル)のコレクションに目を留める右京。事件当夜、藤巻は妻とワインを飲んだらしいが、どのエチケットでしょう?と質問を。しかし、藤巻はコレクションするほどの高級ワインではなかったという。
そんな藤巻はかつて駆け出しのソムリエだったころ、ワイン評論家の安藤(立川三貴)らからロマネ・コンティと偽り安いワインを飲まされ、馬鹿にされたことがあったという。おかげで店を辞めた藤巻はソムリエの道をあきらめ、ワイン評論家になったらしい。有名になった今でもその当時の悔しさは忘れないとか。
藤巻が事件当夜に飲んだワインが高級な86年のパルトネールとわかった。そんな高級なワインのエチケットをなぜコレクションしなかったのか?右京の質問に藤巻は「酔って思わず捨ててしまった」と答える。

右京と薫は藤巻の妻からワインを飲むときに、ワインをデキャンタージュしなかったことを確認。さらに藤巻のワインセラーに87年のパルトネールがあることも確認する。ということは藤巻が飲んだのは、87年ものよりはるかに高価な86年もの…。だとしたら…。
右京と薫はある確信をつかむと、招待された藤巻のワインの試飲会に出席する。しかも、かつて藤巻に屈辱を与えた評論家・安藤たちを連れて…。驚がくする藤巻は、ロマネ・コンティの一件を話すが、評論家たちはすっかり忘れている。驚きと怒りで言葉も出ない藤巻。そんな中、ささやかなワインの宴が始まった…。

 席上、右京が費用を出すということで店にあった87年のパルトネールが振舞われることに。「86年に比べるともうひとつだねえ」という安藤らに、突如藤巻が奇妙な笑い声をあげた。
 実は安藤らが飲んだのは86年のパルトネールだった。87年のエチケットがついていたのは、藤巻が石場を殴り殺したときについた血痕を隠すため、エチケットだけ張り替えたから。ということは、86年ものと言って藤巻が自宅で飲んだワインが87年もの。86年のパルトネールなら飲むときにデキャンタージュするはずが、藤巻がビンから直接ワインを注いだと聞いた右京がからくりを見抜いたのだった。
 動機は自分を馬鹿にしたことを恨んでいた石場が、高額な借金の返済を迫り、藤巻の大切なワインを奪おうとしたため。藤巻は86年のパルトネールを味わいながらつぶやいた。
「なんて美味しいんだ。…本当に美味しい。それでいい、本当はそれでよかったんだ」。

ゲスト:佐野史郎 柄沢次郎 秋山エリサ

相棒Season05 第09話「殺人ワインセラー」
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第10話「名探偵登場」

2006年12月13日放送

 美大生の三橋(河合龍之介)が殺害された。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、聞き込みから三橋の身辺を探っていたコートを着た中年男がいたことをつかむ。あちこちで身分を偽り、自らを「マーロウ」などと名乗っていたことから、右京は男が私立探偵だと推理。矢木(高橋克実)という探偵小説マニアの冴えない中年探偵を割り出す。

 証言を拒む矢木を説得した右京と薫は、矢木が壁にスプレーで描かれた落書き絵の写真を渡され、描いた男を探して欲しいと、謎の女性(吉井有子)から依頼されたことを知る。本物の事件捜査にあこがれる矢木は、右京らの捜査に加えて欲しいと懇願。矢木の捜査手法に興味を抱いた右京も矢木の申し入れを快諾する。

 右京らは矢木が写真から三橋にたどり着くまでをおさらい。矢木は絵の写真を知り合いのギャルにメールし、似たような絵が描かれている場所を探し出してもらうと、その場所から近いペンキ屋へ。壁の絵を消す塗り直しの作業の記録を調べると、次は顔見知りのホームレスから情報を収集していた。
 小説に出てくる探偵にあこがれる中年男にしては的を射た調査。右京らが感心していると、矢木が2人組の男に襲われてしまう。なんとか助け出したが、どうやら2人組は三橋を殺した犯人に違いない。捜査を中止しろという警告だ、という右京に、矢木は脅えるどころか「ハードボイルドな展開だぁ」と感激する。

 一通り矢木が三橋にたどり着くまでを確認した右京は、依頼人の女性が持ってきた写真の絵に三橋のサインがないことを発見。それと同じ絵が描かれた場所が、とあるビルの屋上であると特定する。さらに依頼人が「絵を描いた男」と言ったということは、その女性は三橋が絵を描いているところを目撃していたようだ。絵を描いているところを目撃していながら、なぜ女性は矢木にその情報を与えなかったのか。どうやら女性は、矢木の前であえて知らないフリをしたらしい。なぜ、肝心の部分を隠そうとしたのか?

 携帯の通信履歴から三橋が屋上で絵を描いている最中に110番通報していたことがわかった。どうやら殺人か傷害事件を目撃、通報したものの、自らも不法侵入、器物損壊の罪に問われるからと、黙って切ってしまったようだ。逆にそんな三橋を現場を見られた犯人は矢木に三橋の身元を調べさせ、口封じのため殺したらしい。三橋は屋上からどこを見て110番したのか。矢木は現場の屋上にある看板広告に自らの探偵者の広告を出し、犯人をおびき出す作戦を提案する。

「あなたは見られている」。
 そんな看板を見た依頼人の女性が矢木のもとに現れ、あっさり右京らに逮捕された。
 女性は暴力団組長の愛人で、自宅で覚せい剤の取り引きを行っていたらしい。それがこじれて殺人にまで発展したところを三橋に目撃され…、が事件の発端だった。

 矢木の機転で事件は解決。右京と薫は改めて矢木が捜査に加わったわけを聞く。
「私が居場所を見つけなければ、三橋という若者は殺されなかった。もちろん自分は仕事としてやったことだが…」。
 どうしても納得がいかなかったという矢木に心動かされる右京と薫。
 右京はそんな矢木に別れの挨拶をするのだった。
「Mr.マーロウ、ロング・グッドバイ」。

ゲスト:高橋克実

相棒Season05 第10話「名探偵登場」
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第11話「バベルの塔~史上最悪のカウントダウン!」

2007年1月1日放送

大晦日。小野田(岸部一徳)に衆議院議員・富永(冨家規政)のパーティーに強引に連れていかれた右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、富永のボディガードをやらされる羽目に。都市化再開発計画の急進派・富永は左翼過激派の梶に命を狙われていた。会場では元刑事の楓(大塚寧々)が富永の身辺を警護。右京は楓が耳の不自由な娘はるか(佐々木麻緒)を連れてきていることから、楓が富永と婚約したことを察知する。

しかし、そんな楓の前に離婚した夫・和久井(遠藤章造)が現れた。はるかにプレゼントを渡したい、という和久井に帰れと冷たく突き放す楓。右京らはそんな小競り合いを偶然目にしてしまい…。

そのはるかが何者かに誘拐され、娘の命と引き換えに富永を殺せという指令が楓のもとに届いた。犯人(杉本哲太)は過激派の梶か?一人思い悩みながらも富永殺害を決断する楓。犯人の指示に従い、これまでつけていたインカムと携帯電話をトイレのタンクに入れ、拳銃を手にパーティー会場へと戻っていく。

午後8時。いよいよ富永が楓との婚約を発表する時間になった。が、肝心の楓の姿がパーティー会場から消えてしまった。仕方なくステージに上がった富永は自らのスピーチで時間をつなぐことに。そんな一部始終を見ていた右京と薫は、なぜか胸騒ぎを覚える。

やがて現れた楓は富永に紹介されステージへ。犯人は管理システムにネットでアクセス。楓の行動を逐一映像で管理している。富永に拳銃を向けようとした楓だったが、犯人の指示に従いスピーチを始める。
「夜が明けたから、目覚めるのではない…」。
右京の顔色が変わった。そのままステージに駆け上がると、楓が引き金を引くよりも一瞬早く富永を押し倒す。富永は一命を取り留めたが、失敗した楓はそのまま拳銃を持って逃走。パーティー会場のある超高層ビルは大パニックとなってしまう。薫は思わず声を荒げた。
「なんて大晦日だ」。

犯人からパーティー会場に戻るよう指示された楓は、ウエイトレスの祥子(中村綾)を人質に会場へ。深夜0時までに富永を連れて来いと篭城する。管理官昇進を目指す大河内監察官(神保悟志)は、楓も左翼過激派の一味と断定。内村警視長(片桐竜次)から射殺許可をとってしまう。
が、楓がそんなことをするには何か理由があるはず。右京は必死に大河内を説得するが、昇進を狙う大河内は聞く耳を持たない。警視庁一のスナイパーの日野(寺島進)が楓に照準を合わせる中、右京と薫は2人だけで事件の真相を探ろうと行動を開始する。

配電室に入った薫は主電源のスイッチを落とし、ビル全体が真っ暗に。すかさず会場の外にいた右京は手話で楓と交信、犯人の手がかりがトイレのタンクに残されていることを知らされる。すべてを把握した右京ら警察は犯人の無線を傍受、音を米沢(六角精児)に解析してもらい、船の汽笛のような音を拾う。アジトは東京湾沿岸か?伊丹ら捜査一課の刑事を中心に、東京湾沿岸を探し回る。
米沢は人質になったはるかの映像から窓に映る犯人の顔を取り出すことに成功した。これが過激派の梶か…。

角田(山西惇)ら組織犯罪対策班が検挙した麻薬密売容疑の男が、梶のグループの一員であることが判明した。どうやら麻薬は彼らの資金源となっているらしい。取調べでなんとか梶の居場所を聞き出すと、刑事らは梶のアジトの周囲を固め中を確認。警察では突入隊を編成、慎重に近づくと一気に部屋の中へ突入する。
「梶宗一郎を確保!」。
そしてはるかも無事保護に成功した。一気に盛り上がる大河内ら。
しかし、突入隊によって逮捕された男は過激派の梶に間違いはなかったが、今回楓を脅している犯人とは別人であることが判明した。ということは、楓を脅し富永の命を狙っている男はいったい…。右京と薫は例の写真を手に、捜査の網を広げようと活動を開始する。と、その矢先、偶然のその写真を見たホテルの警備員が男を知っているという。

男はホテルの元警備員・五十嵐であることがわかった。2週間ほど前、磯部支配人(梨本謙次郎)の推薦で雇われたが、すぐにやめてしまったという。どうやら犯行の下準備のために潜り込んだらしい。磯部支配人によると、五十嵐の妹、今、楓の人質になっている祥子から頼まれて雇ったのだという。

右京らは富永を連れて楓と祥子の前へ。いよいよというその時、右京は五十嵐と祥子にすべてを告白するよう迫る。真相がすべてバレたことがわかると祥子は楓から拳銃を奪い、逆に楓を人質に。
五十嵐と祥子の妹・公子はかつて富永のもとで働いていたが、富永の子を身ごもるとあっさり捨てられ、富永は楓と婚約してしまったという。それでも子供を生みたいという公子は、富永らによって流産させられ、ショックを受けた公子は自殺。以来、五十嵐と祥子の兄妹は富永、楓らに復讐しようと誓っていたという。
祥子に脅され、ついに富永は逃亡。隙をついて襲い掛かった和久井によって祥子は逮捕されるが、もう時間がない。一歩遅くはるかがいた小屋は爆発してしまう。

しかし、最後は五十嵐がはるかを連れて小屋から脱出。撃たれた和久井も無事が確認され、楓、和久井、はるかの親子3人は涙の再会を果たす。
まるで現代のバベルの塔のような超高層ビルを見上げた右京。楓親子に視線を移すと静かにつぶやいた。 「昔、世界の言語は一つだったそうです。人々は高い塔を作って住もうとしましたが、神の怒りに触れ、言葉を通じなくされました。お互いを理解できなかった人々は散り散りになったという話です。ところが今日、言葉をしゃべらない少女によって、バラバラだった人々の心があのように…」。

ゲスト:大塚寧々 遠藤章造 寺島進 杉本哲太 冨家規政 中村綾 梨本謙次郎 佐々木麻緒

相棒Season05 第11話元日スペシャル「バベルの塔~史上最悪のカウントダウン!爆破予告ホテルの罠」
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第12話「狼の行方」

2007年1月10日放送

 雄一(三村和敬)と亮司(井桁雅貴)という2人の少年が何者かに誘拐された。が、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は粗大ゴミ置き場で眠る2人を偶然発見する。雄一らによると、見知らぬ男にゴミ置き場の中に閉じこめられたというが、犯人像が今一つはっきりしない。伊丹(川原和久)ら捜査一課は、現場周辺をうろついていた不審者・神崎(木下ほうか)を拘束する。雄一らも神崎が犯人と証言するが、神崎は黙秘。物的証拠もなく釈放する。  それでも神崎をマークしていた伊丹らは、神崎が美紀(菊池麻衣子)という元カノに無理やり言い寄ったところを別件で逮捕する。  右京と薫は美紀から事情を聞くが、神崎のストーカー行為に悩まされていた美紀は、誘拐事件があった当日、神崎を呼び出して抗議していたという。ということは神崎のアリバイが実証され、神崎は無実ということになるが…。  となると、誘拐犯は誰なのか?右京は粗大ゴミ置き場の扉のレバーに雄一らの指紋しか残っていなかったこと、扉が手を離すと自然に閉まることから、いたずらしていた雄一らが勝手に閉じこめられたものと断定。雄一らも素直に認める。  亀山は少年たちを諭すと、彼らから頼まれたこともあり、後日いっしょに神崎に詫びに行くことにする。  一方、容疑が晴れた神崎は、改めて美紀を訪ねるが、美紀が心変わりするはずがない。盗撮した美紀の写真で埋め尽くされた部屋で一人たたずむ神崎。どうしてもかなわぬ思いに、やがて嗚咽を始めて…。  翌朝、神崎はイメージを大切にする会社から解雇を言い渡される。美紀への思いも届かず、会社までクビになってしまった神崎。すべてを失い、ある決意を固める。  美紀のもとに神崎から自殺をほのめかす手紙が届けられた。相談を受けた右京が「遺書」と書かれた手紙を確認すると、雄一らを道連れに自殺するという。今日は薫が雄一らと神崎を尋ねることになっている。右京は待ちぼうけを食っている薫に連絡、2人の身に危険が迫っていることを知らせる。  そのころ雄一らは神崎の執拗な追跡から逃げ回っていた。携帯で母に電話をしても信じてもらえない2人。ついには神崎に捕まってしまい…。  一方、右京らは手紙から神崎は雄一らが住む団地内にいると推理。連絡を受けた薫は、冬の間は使われていないプールがあることを突き止め急行する。  そのころプールの更衣室では神崎は少年2人を縛り上げ、灯油をまくと、火を放とうとしていた。「ごめんなさい」とあやまりながら泣き出す子供たちを前に、「お前たちのせいだ」とライターを点火する神崎。  あわやというところに薫が飛び込むと、隙をついてライターを取り上げ事無きを得る。  命を救ってくれた薫に感謝する少年たちに、右京はやさしく反省を促した。 「君たちがついた嘘で、あの人を本物の犯罪者にしてしまった。そのことをよく覚えておいて下さい」。  素直にうなずく少年たちの顔は、ちょっぴり大人びて見えた。 ゲスト:菊池麻衣子 木下ほうか 相棒Season05 第12話「狼の行方」
相棒5

第13話「Wの悲喜劇」

2007年1月17日放送

薫(寺脇康文)のマンションの隣室に住む欣司(野村宏伸)の妻・麗子(城島あこ)がトイレで変死体となって発見された。折しも薫宅では右京(水谷豊)らが集まって美和子の新作料理を味わっていたところ。さっそく現場で調べるが、まるまる太った麗子はトイレにすわった際に便座を壊してしまい、便器にすっぽりとはまってしまった。夫・欣司が海外出張中のため、誰にも助けてもらえず、そのまま餓死したらしい。なんとも不幸な事故だが、右京は帰国したばかりの欣司の行動に不審を抱く。もし欣司がわざと便器が壊れるようにヒビを入れていたら…。そして、自分が海外出張中に便器が壊れるようなっていたら…。まるでそれは“時限装置”のようだ。はたしてそんなことができるのだろうか?

あくまでも他殺の可能性を探る右京は、自分の推理が正しければ電話に犯行の痕跡が残されているはずだという。電話?薫は首をかしげながらも欣司の電話記録を調べることに。
一方、美和子(鈴木砂羽)はご近所のよしみで欣司をお見舞い。自慢のオリジナル料理「美和子スペシャル」を振る舞うが、料理が得意な欣司にあっさりと味付けを直されてしまう。死んだ麗子は家事が苦手、代わって欣司が料理も作っていたという。おかげで妻も太ってしまったと苦笑する欣司。それでも妻を心から愛していた、とつぶやく。

右京らは、便器が割れるようにわざとヒビを入れるなどとトイレに細工をしたのでは、と自らの推理を欣司に突きつける。が、言いがかりだと否定。しかし、欣司は出張先から何度も自宅に電話をかけていながら、出張5日目を最後にピタリと電話をしていない。麗子がトイレから出られなくなったことを電話で確認したのでは?と右京は迫る。たまたまそうなっただけ、という欣司だが、今度は伊丹(川原和久)らが欣司が助手の女性と浮気をしていた事実を突きつける。太りに太り、変わり果てた姿になった妻に愛想を尽かし、若い女性に惹かれた欣司。そして、妻のことが邪魔になり…。 それでも「自分は妻を愛していた」と否定する欣司。いずれにしても決定的な証拠はなく、水掛け論になってしまう。こう着状態になったとき、右京は突然欣司に料理を作ってくれと頼む。

 渋々台所に立つ欣司に右京がある条件を提示した。
「例の眼鏡をかけて作っていただきたいんですが」。
 右京が以前、欣司の寝室で見つけた眼鏡だった。
 欣司は自分がかけていた眼鏡を外し、差し出された眼鏡をかけて料理を始めるが、なにやら様子がおかしい。おぼつかない手で材料を切っていたかと思うと、今度は調味料のビンに書かれた文字が見えないらしい。そしてしまいには「勘弁してもらえませんか」と手を止めてしまった。
 実は右京が拾った眼鏡は度が入っていないダテ眼鏡。それを欣司はまるで自分の眼鏡であるかのように右京から受け取っていた。
 しかし、目が悪い欣司にダテ眼鏡は必要ない、では、欣司がウソをついてまでごまかしたダテ眼鏡の本当の持ち主とは誰なのか?

 右京はそのダテ眼鏡の持ち主が、死んだ麗子の浮気相手ではないか、と指摘する。事件直後、寝室に入った右京は夫婦の写真が倒れていたことを覚えていた。そして、不要のダテ眼鏡…。つまり夫の留守中に麗子の浮気相手が人相をごまかすために眼鏡をかけて忘れていった、写真を倒したのは後ろめたさを隠すため…。
 欣司が妻を殺害した動機も妻の浮気にあったのでは?ゆっくりと謎を解き明かしていく右京に、さすがの欣司も犯行を認めた。
 泣いて頼んでも浮気をやめない麗子、自分も浮気をしてみたが気持ちは少しも晴れなかったという。
 部屋を出るとき、ふと振り返った欣司は美和子に「美和子スペシャル」をより美味しくする方法を言い残していく。
「頑張ってご主人に美味しい手料理を作ってあげてください。でもカロリーには気をつけて」。

ゲスト:野村宏伸

相棒Season05 第13話「Wの悲喜劇」
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第14話「貢ぐ女」

2007年1月24日放送

 ジョギング中の薫(寺脇康文)の目の前で女性(藤田朋子)がカバンをひったくられた。犯人はバイクで逃走。薫は女性を連れて交番へ行くが、なぜか名前も告げずいなくなってしまう。
 その現場近くの会社の金庫から6700万円が奪われる事件が発生した。内部事情に詳しい者の犯行と断定され、容疑者として社員の景子が浮上。景子の写真を見た薫は、彼女がひったくりの被害者と確認する。どうやら盗んだ金の入ったバッグを盗まれたため、交番から立ち去ったらしい。
 景子の部屋を調べた右京と薫は、高級腕時計のカタログなど景子が豪勢な暮らしをしていたことを確認。金に困っていたようには見えず、なぜ会社の金を盗んだりしたのか?

 絵美子(高谷智子)という女性の他殺体がトランクから発見され、中から景子の指紋がついたライターが見つかった。景子が絵美子を殺害、逃亡資金として会社から金を強奪した…。が、景子と絵美子の接点が見えてこない。
 一方、右京は景子が男性向けの高級腕時計を購入していたことを確認する。その腕時計は限定品のためシリアルナンバーも。景子はシリアルナンバー3の腕時計を購入したという。

 景子も絵美子も見た目とは異なり、金に困っていたことが判明した。さらに絵美子が多岐川(飯沼誠司)という男の家に何度も電話をしていたことが判明。多岐川が住むマンションの管理人の証言から景子と絵美子が何度も出入りしていたことがわかる。さらに多岐川の部屋から血のあとのようなものが発見され…。

 景子が絵美子を殺した犯人だと自首してきた。友人だった絵美子に金をだまし取られ、カッとなって自室で殺した、というが、景子の部屋からは犯行の痕跡など出ていない。多岐川の自宅から血液反応が出たが、景子は多岐川など知らないと言い張る。しかし、右京から、景子が奪った6700万円は多岐川との逃亡資金だったこと、その金を多岐川に引ったくられたこと、などを示す証拠を突きつけられ、ついに景子は多岐川を庇っていたことを自供する。仕事で成功を手に入れながらも空虚な心を抱えていた景子は、可愛いと言ってくれた多岐川に心奪われ、彼のためなら何でもするつもりだったという。そんな男に裏切られたにも関わらず…。

 多岐川は景子が購入したチケットで一人でスペインへ高飛びする可能性がある。多岐川の人相がわからない伊丹(川原和久)らは景子を連れて空港へ。
 しかし、逃亡先に疑問を抱いた右京は多岐川の部屋に残されていた変圧器のパッケージから、その行き先がヨーロッパではないと判断。薫は組対部から多岐川が城代金融の構成員だったことを知らされる。城代金融と繋がっていた香港の組織は当局に逮捕され、逃れたメンバーも日本と台湾に…。台湾!?変圧器は台湾なら使える。右京と薫は多岐川が台湾へ逃げるものと確信。空港へ急行する。

 右京と薫は搭乗手続きをしようとする多岐川を拘束。空港の別室で自供を迫るが、景子も知らなければ何がなんだかわからないという。景子もこんな男知らない、と証言を。
 シラを切る多岐川に右京は腕時計を見せて欲しいと迫る。多岐川がつけていた高級腕時計、シリアルナンバーは景子が購入した「3」。多岐川はついに犯行を自供する。

 連行されていく多岐川の前に、あえて景子を連れて行く薫。怒りをぶつけるか、と思いきや、なんと景子の口からは「ありがとう」という言葉が。
 複雑な女心を理解できない薫は、ただただぼう然とするだけだった。

ゲスト:藤田朋子

相棒Season05 第14話「貢ぐ女」
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第15話「裏切者」

2007年1月31日放送

 専業主婦の久美子(奥田由美)が何者かに射殺された。鑑識の米沢(六角精児)によると、凶器はモデルガンの改造銃。銃弾の形などからかなりのマニアではないか、という。
 右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は過去の改造モデルガンによる発砲事件を調べ直し、マニアと思われる岩崎(宮崎吐夢)という男をピックアップ。当時岩崎を送検した池波署を訪ねる。
 その池波署の組織犯罪対策課には、かつて薫の教育係だった北村課長(金田明夫)がいた。再会を喜び合った後、北村から事件の説明を受ける2人。岩崎は改造モデルガンで猫を撃ち、器物損壊で逮捕されたという。逮捕の決め手となったのは女性の目撃証言だが、実は久美子が目撃者で今回の事件は岩崎の逆恨み?しかし調書によると、目撃者は久美子ではないという。

 右京と薫が岩崎に会いに行くと、岩崎は右京の質問に逃亡。薫に拘束されると、取り調べで犯行を自供する。動機はやはり猫を撃った件を久美子に訴えられたから。しかし、久美子は目撃者ではない。岩崎はなぜ久美子が目撃者だと判断したのか?
 岩崎の部屋でパソコンを調べていた米沢は、岩崎が池波署の捜査データをハッキングしていたことをつかむ。そのデータには、久美子に捜査協力費として謝礼が支払われていた記録があった。

 改めて右京らが北村に事情を聞くと、岩崎逮捕の際、偶然通りかかった久美子が逃げる岩崎と衝突。久美子ともみ合っているところを拘束したのだという。それで捜査協力費が支払われたのか。右京と薫はその調書を預かって帰るが、なぜか北村は激しく動揺して…。

 調書の久美子の筆跡が、久美子の財布にあったポイントカードの筆跡と違うように見える。疑問を感じた右京は、米沢に筆跡鑑定と指紋の照合を依頼する。

 そのころ上層部では、不正アクセスを岩崎の送検事由から外すという決定が出されていた。不穏な動きに伊丹(川原和久)ら捜査一課、角田(山西惇)ら組対5課は緊張する。
 さらに右京が依頼した筆跡鑑定、指紋の照合が上層部の圧力で止められた。結果は出せないが、米沢の目には調書の指紋とポイントカードの指紋は違って見える。無念さを抱えた米沢からの報告で右京をすべてを悟った。

 薫が北村から調書の返却を求められる中、右京は小野田(岸部一徳)から呼び出される。池波署は久美子をニセの捜査協力者に仕立て上げ、謝礼を支払ったことにして捜査費を流用。そんな偽装を知らない岩崎は、事件とは無関係の久美子を射殺したわけだ。右京はその事実を告発するというが、小野田は例によってのらりくらりと説得。しかし右京は頑として態度を変えない。

 結局、岩崎は不正アクセスを事由から外したまま送検されることになった。右京は不正があった久美子の調書と捜査費データの資料を担当検事に直接手渡すという。となると、恩人でも北村が検察の取り調べを受けることになる。逡巡する薫はこっそり北村に連絡を入れる。

 大河内監察官(神保悟志)からも圧力をかけられる右京。そのころ調書を手に北村を待っていた薫は北村の部下に襲われ、激しい暴行を受けた末、調書を奪われてしまう。
 重傷で入院した薫を見舞う右京。そこに北村が現れた。右京と美和子(鈴木砂羽)を部屋から出し、1対1で説得する薫。北村は涙を流し、ついに…。

 池波署が捜査費を裏金化した事実が明るみに出た。それでも捜査調書のねつ造は久美子の証言がないから、と小野田らは闇に葬ろうとする。しかし、右京は襲われた薫のジャンパーに残っていた暴漢の指紋と調書の久美子の指紋を照合すると主張。久美子の遺族が指紋照合のために、本物の調書の情報開示請求を出すだろうという。情報開示請求を出されては警察庁長官に傷がつく。小野田らはねつ造した捜査調書で久美子が殺されたことも認め、北村らの処分で済ませることを選択する。

 退院した薫を迎えた右京。そこに小野田が現れ礼を言うが、右京らは何も言わず去って行く。2人を見送る小野田は美和子につぶやいた。
「特命係は杉下が動かしているとばかり思ってました。しかし、実は君の旦那様だったんだねえ。亀山、薫君…」。

ゲスト:金田明夫
相棒Season05 第15話「裏切者」
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第16話「イエスタデイ」

2007年2月7日放送

 とある会社で経理係(渡辺憲吉)が襲われ現金が強奪される事件が発生した。襲われた経理係の似顔絵によると、犯人は目出し帽にサングラスをかけていたらしく、そのほかの特徴も中肉中背という以外は覚えがないという。
 会社が金を移送する時間を知っていたことから内部犯行の可能性が高い。聞き込みの結果、伊丹(川原和久)らは事件当日の記憶だけが抜け落ちている社員の狭間(林泰文)を容疑者として拘束する。

 が、狭間は何も覚えていないというだけで事件のことなど語ろうともしない。結局、証拠不十分で釈放されるが、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)はその狭間とともに記憶を取り戻そうとする。

 包丁、ロッカーの鍵、俳句作品展のチケットなど身に覚えのない品を確認すると、当日の行動を確認することに。朝のバスで一緒だった同僚の康江(遊井亮子)によると、狭間はバスの中から何かを見つけ、あわてて途中下車したという。下車したあたりを調べた結果、狭間は元同僚の宇田川(北原雅樹)と再会していたことが判明。近くの宇田川の部屋を調べると、目出し帽に1000万円など強盗犯を示す証拠品が出てくる。

 気弱な狭間も宇田川の一味?帰宅した宇田川を取り逃がした右京らは、狭間が持っていた謎のロッカーの鍵でとある駅のロッカーを開ける。と、中から500万円もの大金が。どうやら見張り役の報酬として受け取っていたらしい。

 自分に強盗などできるはずがない、と懸命に否定していた狭間もさすがに言い逃れができない。再び拘束されるが、逮捕された宇田川の証言で今回の強盗の主犯は会社の金を使い込んでクビになった先輩の国分(関貴昭)であることが判明。宇田川と2人だけの犯行で、狭間は単に宇田川を心配して見に来たところを事件に巻き込んでしまっただけだという。旧友と再会しただけで強盗事件に巻き込まれるとは…。それがショックで記憶喪失になったらしいが、右京はそれだけの理由で記憶を失ったりするだろうか、と不審を抱く。

 国分の刺殺体が自宅で発見された。それとほぼ同時に狭間が記憶を取り戻したと国分殺害を自供する。しかし、犯人は左利き、右利きの狭間が犯人のはずがない。右京らの追求に狭間は、国分が康江と付き合っていることを吹聴したため殺そうと思ったと自供。包丁を買い、国分の自宅へ行ったが、すでに国分は死んでおり、そのそばには康江が立っていたという。その康江は左利き…。康江は伊丹ら捜査一課の手で逮捕されるが、悪らつな手口で交際を強制してきた国分を憎んではいたものの、自分が部屋に行ったときはやはり死んでいたと証言する。

 では、いったい誰が?右京と薫は国分の携帯から「K」という人間と頻繁に連絡を取り合っていたことを突き止める。「K」とは、会社の金の動きをつかんでいた左利きの経理係だった。右京らの追求に経理係は現金強奪事件への関与と国分殺害を自供する。

 記憶を取り戻し、警察からも解放された狭間。唯一、謎として残った俳句作品展のチケットは、記憶を失う前、康江がくれたものだった。改めて約束を確認する2人。肩を寄せて歩く2人に右京はささやかな言葉を贈る。

「今日は、狭間さんにとって忘れられない日になるでしょうね」。

ゲスト:林 泰文 遊井亮子

相棒Season05 第16話「イエスタデイ」
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第17話「女王の宮殿」

2007年2月14日放送

 伊丹(川原和久)の嫌がらせで、山中に置いてけぼりにされてしまった右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)。近くにあったファッション界の女王・モナミ(大空眞弓)の屋敷で雨宿りをさせてもらいつつ、偶然開かれていたパーティーに出席する。

 2色の十二星座を模したグラスマーカーがついたグラスを手に会場を見回すと、モナミの娘たちなど出席者の誰もが金のためモナミのご機嫌をとっている。そんな中、右京と薫はモナミの孫タケル(中村咲哉)から逃げたペットのハムスターの捜索を頼まれる。屋敷を探しているうち、出席者たちの腹黒い狙いを垣間見る右京と薫。しかし、肝心のハムスターはさっぱり見つからない。

 右京と薫は客の一人で画商の服部(下元史朗)から今は亡きモナミの夫が買い集めた絵画のコレクション…一条コレクションについて話を聞く。今も大量の絵が屋敷にあるらしいが、モナミが秘密の保管庫にしまってしまい、今は見ることができないという。
 キャビアを食べた右京と薫はその味のひどさにびっくり。そんなキャビアや使用人の少なさ、執事がスコッチの瓶を移し替えていたことなどから、右京はパーティーが安物の虚飾の宴であると見破ってしまう。モナミもこっそり事実を認めると、いくら女王のご機嫌をとっても寄付する金も、独立を援助する資金も出せない、滑稽だと自嘲した笑みを浮かべる。

 ハムスターを遊戯室で探していた右京は、ダーツの得点ボードに目を留める。「W」、「H」、「K」…。「W」は男性モデルの和田(加藤仁志)、「H」は画商の服部に違いない。となると「K」は?服部に確認すると、モナミの遠縁で高校で教鞭をとっていた「加藤」という男だという。ふと見るとタケルの父・行長(長棟嘉道)が腕時計をなくしたと騒いでいる。そういえば服部も高級ライターをなくしたと言っていた。右京はそんなささいな騒ぎに敏感に反応。パーティーに出席している人たちの人数が合わないと言い出す。

 パーティーの出席者を集めて人数合わせをする右京。出席者は右京と薫、そしてモナミを除くと全部で19人。一人ひとり素性を確認すると、18人まで確認できたが、テレビ局のプロデューサー、モナミの遠縁の「加藤」、かつて一条に世話になったホテルの支配人の3人が確認できない。つまり、一人で3人の人物を演じている男が浮かびあがった。右京らにグラスを渡しながら「山本」と名乗った男だった。実は「山本」は棟方という窃盗の常習犯。服部のライター、行長の腕時計も彼が盗んでいた。

 2色の12星座のマークがついたグラスは全部で24個。その引き算から主席者は19人と判断した右京のお手柄だった。そのときタケルが現れると、コップでジュースを飲み始めた。それを見た自らの失態に気づく。19個のグラスを使う客の一人にタケルも入れてしまっていたのだ。ということは、もう一人見知らぬ客がいることになる。

 右京らは止まっていた謎の車から、恐喝の前科があるフリーライターが来ていることを突き止める。さらに料理人がモナミから炭焼きの料理を用意しろと言われたことから、モナミがフリーライターの男を保管庫に閉じこめ、一酸化炭素中毒で殺害しようとしていると察知。右京はモナミを説得、保管庫の場所を突き止め男を救うと、同じ保管庫に隠れていたハムスターも保護する。

 保管庫にあった絵画を売りながらやりくりしていたことで恐喝してきた男を殺害しようとしたモナミ。パーティーも右京らを誘ったのも、すべてアリバイを作るためだった。右京のセンスの良さ、明晰な頭脳が死んだ一条にそっくりだというモナミ。
「生まれて初めて人を殺そうとした日に、主人によく似たあなたが現れて、それを止めてくれた」。
 モナミはそう言うと、右京と腕を組んで連行されていった。

ゲスト:大空眞弓

相棒Season05 第17話「女王の宮殿」
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第18話「殺人の資格」

2007年2月28日放送

 薫(寺脇康文)はなじみのゲイバーのママ、ヒロコ(深沢敦)から芝木(相島一之)というルポライターが雑踏で危なく人を殺しそうになった、と連絡を受ける。
 芝木の部屋を捜索した右京(水谷豊)と薫は、何者からか送り付けられたビデオテープを発見。そこには芝木のマンションの大家・富美代(菊地由希子)が殺害されるシーンが録画されていた。富美代は裏で高利貸しとつながっており、家賃がないという住人を紹介しては高い金利を取っていた。ヒロコによると、芝木もその被害者の一人だったらしい。
 さらに捜索すると、「次はあなたの番です」と殺人を指示する手紙が見つかった。
 芝木が誰かを殺そうとしたこと、芝木が殺された富美代に敵意を持っていたこと、そして富美代殺害犯から殺人を指示する手紙が来ていたこと。
 それらを総合した右京は「交換殺人」が行われようとしている、と指摘する。

 右京と薫は伊丹(川原和久)ら捜査一課にも強力を依頼。ビデオの撮影場所がとあるレンタルスペースだったことを突き止める。が、レンタルスペースの店員の話によると、部屋を借りたのは富美代で、若い男性と部屋にやって来ると、何事もなかったように2人で帰っていったという。つまり殺人は偽装!? どうやら犯人の目的は富美代を殺したと見せかけ、芝木を殺人者にすることだったらしい…。

 芝木がかつて帝都新聞の政治部記者だったことがわかった。当時の同僚から話を聞くと、建設会社の不正献金にまつわるスクープ記事を書いた芝木だったが、その記事で名指しされた田ノ上(国枝量平)という建設会社の総務部長が、厳しい取調べもあって自殺。警察は非難され、記事を書いた芝木も事件がうやむやになったため、社内処分されたという。そして、芝木は田ノ上の遺族に頭を下げに行ったが、面と向かって「人殺し」と言われ、翌日辞表を提出。そして田ノ上を取り調べた伊庭刑事(鶴岡修)も責任を感じ辞職していた。

 芝木のもとに届いていた手紙には「今度こそ自分で手を下して…」と書かれていた。以前にも芝木が誰かを殺したことがあるかのような書き方だ。ということは、犯人は芝木が田ノ上の自殺で「人殺し」と言われたことを知っていたことになる。犯人は芝木から富美代にだまされたことなどを聞き出し、犯行を計画した…。そこまで芝木を恨んでいる人物…、自殺した田ノ上の一人息子・啓(辻本祐樹)が怪しい。
 右京らは啓の部屋で数々の証拠を発見、そして芝木に殺させようとしている人物が伊庭元刑事であることをつかむ。

 右京と薫は芝木を止めようと伊庭元刑事の現在の勤務先へ急行。ナイフを構えた芝木だったが、あと一歩のところで思いとどまり右京らも胸をなでおろす。
 右京と薫は現場にいた啓を逮捕。胸を痛める芝木に、復讐という愚かな行為にとりつかれた啓を救ってやって欲しいと訴える。
 右京のそんな言葉に打たれた芝木は、初めて啓と真正面から向き合い、すべてを告白する。
 そんな2人を残して取調室を出る右京と薫。後ろ髪を引かれるように振り向きながら、2人は廊下を歩いていくのだった。

ゲスト:相島一之 深沢敦

相棒Season05 第18話「殺人の資格」
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第19話「殺人シネマ」

2007年3月7日放送

 往年の名映画監督・織原(森山周一郎)が、自らの作品を鑑賞中に映画館で殺害された。かつては新進気鋭の若手監督として注目を集めていた織原だったが、創作意欲を失い、いつしか映画界でも忘れ去られた存在に。支配人・江守(石井洋祐)や清掃係ののぶ子(松本留美)によると、最近は昼間から酔って映画館によく来ていたという。
 織原の作品をDVD化して発売しようとしながら、織原に断られ続けていたビデオ会社の海老名(鈴木リョウジ)も容疑者として浮上。織原が死ねば映画の著作権は遺族に移り、DVD化もしやすくなる。そうなれば会社に利益をもたらすことになるのだが、決め手はない。
 そんな折り、織原作品に主演していた女優・島加代子(星由里子)を事件当日映画館で目撃したという人物が現れた。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は思わず息を呑む。

 さっそく加代子を訪ねる右京と薫だが、加代子は事件当日自宅にいたとあっさり否定。織原と会ったのも半年前が最後。織原が体を壊したと聞き、見舞いのつもりで会いに行ったが、心ない言葉でひどく傷つけられたという。誰に対しても平気でひどい言葉を投げつける。加代子はそんな織原をあまり良く思っていないらしい。
 支配人の江守も事件当日、加代子は来ていないと証言。清掃係ののぶ子も見ていないという。
 犯人は加代子のように織原を良く思っていない人間か?右京らはかつて織原の映画に出演、監督の織原にひどく叱られ、ストレスで体を壊した若手女優がいたことを知る。絹ちゃんと呼ばれていたその女優は加代子とも共演。ただ、当時を知る人間によると、現在はどこで何をしているのかわからないらしい。

 加代子に会いに行くなど捜査を続ける右京らは、内村刑事部長(片桐竜次)に呼ばれるが、なぜかお咎めなし。内村は加代子が犯人かと心配する。どうやら加代子の熱烈なファンらしい。
 右京は再び加代子を訪ね、絹ちゃんについて質問するが、なぜか加代子は大部屋女優など覚えていないと語気を荒げて自宅へと入ってしまう。その場にいた海老名によると、織原はかねてから映画館で死ぬのが夢だと言っていたとか。しかも自分の映画を見ながら死にたい、とも。犯人の目星をつけていた右京は、ある確信をつかんで…。

 右京らは再び映画館を訪ねると、支配人に絹ちゃんこと青葉絹子に会いにきたという。AOBA KINUKO…ローマ字の並びを変えると、AKAI NOBUKO…つまり清掃係ののぶ子になる。のぶ子は自分が絹ちゃんであることを認めるが、共演した加代子は自分のことなど知るはずがないという。
 と、そこへ加代子本人がやってきた。右京らの巧みな追及にのぶ子はついに犯行を自供。しかし、加代子と江守は懸命に否定する。が、のぶ子が血のついた制服をクリーニングに出した事実を突きつけると、加代子らも言葉を失ってしまう。

 自分の作品を見ながら死にたい。そんな織原の夢を叶えてあげたい、それがのぶ子の犯行の動機だった。偶然、のぶ子の犯行を見てしまった加代子と江守は、のぶ子の織原を思う心を理解、彼女を守ろうと誓い合ったという。
「信じたくなかったんですよ。これほど素晴らしい映画を作った監督が、誰かに恨まれたあげく殺されたとは…」。
 事件のほろ苦い結末に、右京はわずかに救われた思いを噛みしめていた。

ゲスト:星由里子

相棒Season05 第19話「殺人シネマ」
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第20話「サザンカの咲く頃」

2007年3月14日放送

プログラマーの瀬沼優(山崎勝之)がビルから転落死、他殺の可能性が浮上する。しかし、その証拠となる足痕や現場写真が鑑識の部屋から消失。何者かが奪い去った可能性もあるが、警察関係者の仕業か?
小野田(岸部一徳)のかつての部下で公安幹部の嶋村(宮内敦士)が心臓発作で急死する。不振を抱く小野田は何気に右京(水谷豊)に捜査を依頼。右京と薫(寺脇康文)は、第一発見者の警官の証言で嶋村がサザンカを手に死んでいたことを知る。何か意味があるのだろうか?
右京らは嶋村の部屋を調べるが、そこで盗聴器と小型カメラ、さらに押収したMOディスクから発信機を発見する。何者かが右京らの行動を逐次マークしているらしい。誰が…?

防衛省の使途不明金問題を審議する国会をTVで見ていた右京と薫は、防衛省幹部の佐々木(五王四郎)の部下の中に瀬沼の会社で見かけた女性(横山めぐみ)を発見する。確かプログラム開発をしている瀬沼の双子の弟・翔(山崎勝之=二役)と何事か話し合っていたが、翔は仕事の依頼は民間のみと言っていたはず…。
その佐々木が答弁中に突然倒れ、そのまま死亡してしまう。毒物は発見されず、病死として処理されるが、右京の調べで嶋村が生前、死んだ瀬沼優と接触していたことがわかる。嶋村なら鑑識から証拠を盗むことも可能だ。嶋村と佐々木、2つの病死につながりがあるのだろうか?

嶋村と佐々木の病死は10年前、小野田が公安部長をしていたころの毒殺事件と酷似している。右京と薫は改めて小野田から話を聞く。
当時、小野田の部下だった嶋村はラジオの国際放送で放送されていた乱数を解読。その結果、国際輸送会社の社員、大手通信メーカーの営業マン、パラボラアンテナを作っていた町工場の職人という3人の名前が浮かび上がるが、その3人が病死に見せかけ、次々と毒殺されたという。が、結局事件は迷宮入りしていた。 小野田の自宅に嶋村から鑑識の部屋からなくなった証拠品が送り届けられた。やはり生前に嶋村が盗んでいたらしい。それらを持ち帰る右京らは何者かに襲われて…。

なんとか追手から逃れた右京と薫は、返却された証拠品に紛れて入っていたフラッシュメモリーを調べる。が、不可解なプログラミング言語が並ぶだけ。右京らは米沢(六角精児)にメモリーを託す。
嶋村が返してきた証拠品を本当に狙っていたのは公安である可能性が高くなった。右京らは小野田の仲介で公安の幹部と面会するが、埒が明かない。そんな中、右京らは前夜自分たちを襲った男(畠中洋)を発見。さっそく自供を迫るが、男は顔色一つ変えず否定する。どうやら事件には公安の何者かが絡んでいる可能性が高い。そして右京は…。

ついに翔が兄・優の殺害を自供した。動機はプログラムの権利争い。が、そのプログラムの顧客に関してはかたくなに口を閉ざす。右京らは翔と話していた防衛省の女性・塔子から話を聞くが国家機密と言うだけでやはりプログラムの詳細については話そうとしない。
翔の身柄が突如公安に移され、捜査一課が事件の担当から外されてしまった。小野田の情報で右京らを襲った公安の男・南と塔子らがキャリア組の同期であることがわかり、右京は塔子らが瀬沼兄弟に衛星プログラムを非公式に依頼、プログラムが完成するまで翔を守ったのではないかと推理する。が、塔子らはあっさりと否定。なおも追及しようとする右京らにたまき、美和子(鈴木砂羽)を隠し撮りした写真を突きつける。
仕方なくその場を去る右京と薫。しかし、その夜、薫が何者かに拉致されてしまった。

犯人は言うまでもなく、塔子、南のグループ。薫は命を奪われそうになるが、そこへ右京が駆けつけた。実は薫には発信機がつけてあり、わざと拉致されたのだった。
すっかり観念した塔子らは、自分たち官僚の連係のまずさで10年前、3人の日本人を殺害した国際スパイを取り逃がしたことを悔やみ日本版CIA創設を決意。その切り札となる衛星プログラムの開発を瀬沼兄弟に依頼していたという。しかし、その開発費を処理していた使途不明金が問題となり、佐々木は計画を白日のもとにさらけ出そうとしたらしい。塔子らは佐々木殺害を決意、が、嶋村も佐々木殺害に反対したため、殺してしまったという。テロリストから日本を守るため、日本の将来のため、とはいえ、人を殺していいはずがない。怒り心頭の右京は3人に言い放つ。
「今、テロリストはあなたたちだ!」。

瀬沼翔は逮捕され、捜査一課が取り調べを。が、動機はプログラムの権利争いのまま。塔子ら3人は小野田の命令で身柄を奪われてしまったという。さっそく抗議する右京と薫だが、岩佐警察庁長官(夏八木勲)の命令で3人による殺人事件は闇に葬られることになるとか。怒る右京と薫に小野田は珍しく強い調子で、これ以上この件に関わったら懲戒免職だと告げる。そんな小野田の様子に疑問を抱いた右京。納得がいかないと怒りをぶちまける薫に、警察をクビになって欲しいと言う。しかもクビになるのは薫だけ…。その思惑とは?

美和子は薫の話をもとに塔子らの犯罪を暴く記事を書くが、新聞社はガセだと受け取ってくれない。が、警察上層部は薫を職務規定違反で懲戒免職にする。しかし、薫は地方公務員に認められている人事に対し不服申し立てができる、という権利を行使。人事院で身柄を預かると小野田がやって来る。薫の訴えを受けて公開口頭審理が行われるが、それはいわば公開裁判。薫はその場で今回の塔子らの事件をしゃべってしまうかもしれない、と揺さぶりをかける。右京がクビになれ、と言った真意は実はそこにあった…。

 人事院での公開審理で事件が明らかになれば、岩佐が守ってきた塔子らもさらし者になる。小野田はその事実を武器に岩佐を退任に追い込む。
 制服警官の敬礼に見送られ警察庁を去る岩佐。そんな岩佐に小野田は「一度顔を見たいとおっしゃっていたので…」と右京と薫を紹介する。
「そうか、君らか…」と挨拶する2人を見る岩佐。「君らしい餞別だ」と去る後姿には、無念さがにじんでいた。

ゲスト:横山めぐみ 夏八木勲

相棒Season05 第20話「サザンカの咲く頃」
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