相棒Season4のストーリー

Season04

放送日:2005年10月12日~2006年3月15日

第01話「閣下の城」

2005年10月12日放送

 “閣下”と呼ばれた男を覚えているだろうか。名前は北条晴臣(長門裕之)。かつて、右京(水谷豊)たちの捜査により殺人犯として逮捕されながら、超法規的取引で自由の身を手に入れた傲慢・狡猾・残忍な元外務省事務次官だ。その閣下から、右京と薫(寺脇康文)にパーティーの招待状が届く。「すべてを水に流そう」。招待状にはそう書き添えられていた。しかし、額面どおりに受け取れるはずもなく…。

 パーティーには北条の保釈取引に関わった、小野田公顕・警察庁官房長(岸部一徳)と瀬戸内米蔵・元法務大臣(津川雅彦)も招かれていた。誰もが疑いの目で北条を見つめる。だが北条は、まるでその視線を楽しむように、突如、若い女性秘書・郷内繭子(高橋かおり)との結婚を発表するのだった。

 その夜遅く、薫は、繭子と嵩人(高杉瑞穂)のキスを目撃する。嵩人は繭子の従兄妹で、この城の執事。繭子が秘書になると同時に、雇ってもらえるよう頼み込んだのだという。幼なじみだと言っていたが…。釈然としない思いで城を後にする右京たち。

 案の定、1日と日を置かず事件が発生。アイアンハート城で殺人が起きたのだ。殺されたのは嵩人。北条のコレクションの剣で胸を一突きされていた。城の住人は嵩人を入れて3人。当然、残った北条と繭子が疑われた。憔悴しきった繭子に寄り添う北条。が、突如態度を一変。「殺したのはこいつだ!」と言い捨て、部屋を出て行ってしまう。

 北条が婚約相手に対して冷徹な態度を取ったのには訳があった。北条は前の晩、繭子に恋人がいることを知ってしまったのだ。財産目当ての結婚。問い詰められた繭子はあっさり白状する。しかしそれでは、北条には嵩人殺しの動機があっても繭子にはないはず。それに、どちらがやったにせよ、今のところ証拠は何もない。

 いったん引き上げる右京たち。証拠はどこにあるのか、嵩人の解剖を見守りながら慎重に推理をめぐらす右京。そして、殺害手口のひとつとして、繭子の犯行説を成立させるのだが…。

 そのころ、北条と繭子の2人だけになったアイアンハート城では、右京たちが想像だにしない会話が、密やかに繰り広げられていた。「しかしおまえは役者だねぇ」。「閣下ほどじゃありませんよ」…。

相棒Season04 第01話「閣下の城」
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第02話「殺人講義」

2005年10月19日放送

 大学教授・春日秀平(石橋蓮司)と不倫関係にあった島田加奈子(石橋奈美)が服毒自殺をした! その晩、春日と加奈子は、将来、一緒になる約束を交わしていたのに…? だが、その約束はおろか、2人のひそかな男女関係を知る者はなく、遺書が見つかったこともあって、加奈子の死は疑われることなく自殺として処理される。しかし、いつになく幸せそうに帰宅する加奈子を見かけていた管理人(前沢保美)だけは、自殺などするはずがないと言い張り、特命係に捜査を依頼。もとから自殺説を疑っていた右京は、薫を伴い、加奈子が勤めていた大学へと向かう。

 加奈子は大学で春日の助手をしていた。右京たちは真っ先に春日と接触。加奈子宅で見つけた家計簿の収支から独自の理論を展開し、加奈子が不倫をしていた可能性があると春日に示す。しかし、心理学が専門の春日は、加奈子の性格で不倫は考えられないと言い、仮にそうだとしても相手に心当たりはないと白を切る。だが、去っていく春日の背中を見送りながら、右京は確信を得る。不倫相手は春日に間違いないと。いったい、右京に目には何が映ったのか…?

 それからというもの、右京と薫は春日を徹底マーク。大学のみならず自宅にまで顔を出し、春日をいらだたせる。しかし、そのかいあって捜査は進展。確実に春日を追い詰めていった。あとは物的証拠があれば…だが、その可能性はゼロに等しかった。右京の推理では、証拠物は加奈子自身が捨てるように仕掛けられていたからだ。さすがはプロの心理学者。捜査もここで手詰まりか…。

 そこへ、管理人の孫が、加奈子の恋人を見たことがあると名乗り出る。天の助けと喜び、春日が講義中の教室へ連れて行くと、なんと孫は、春日ではなく大学院生の田辺健太郎(溝呂木賢)を指差した!

相棒Season04 第02話「殺人講義」
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第03話「黒衣の花嫁」

2005年10月26日放送

 教会。華やかなウェディングドレスを身にまとう津島瑞希(遠野凪子)。だが、対照的なほどにその表情は暗い。新郎・海老原元章(中原裕也)が現れないのだ。周囲にも不安な空気が漂い始めたころ、思いもよらない訃報が届く。2人が幸せをはぐくむはずだった新居で、海老原が他殺体で発見されたと…。

 家の中は荒らされ財布が見当たらないことから、海老原は前夜、帰宅したところを強盗に襲われたと推定された。その現場に、非番のはずの捜査一課・芹沢慶二(山中たかシ)が、顔色を変え飛び込んでくる。殺された海老原は、芹沢の大学時代のゼミ仲間だった。前夜は、ゼミの仲間が集まり、海老原の“独身さよならパーティー”を開いていたという。「あんなに幸せそうにしてたやつが…」と、絶句する芹沢。

 海老原は殺害される直前、新婦の瑞希にメールを打っていた。内容は『話はまた日を改めて。明日、式場で君のウエディングドレス姿を見るのを楽しみにしている』。いったい被害者は婚約者に何を話すつもりだったのか? 事件を知った杉下右京(水谷豊)の頭が、静かに回り始める…。

 芹沢は私情が入り込むのを懸念され、事件の捜査から外される。友人が殺されたのに何もできない…そんな悔しさに唇をかむ芹沢を、亀山薫(寺脇康文)が特命に誘う。一瞬ためらう芹沢。だが友の無念を晴らすため、芹沢は特命チームと行動を共にすることに。

 海老原の葬儀は、結婚式を挙げるはずだった同じ教会で行われた。運命の皮肉。純白のドレスを黒衣に着替えた瑞希は、感心するほど気丈に振る舞うが、そんな中、突然、海老原の元彼女・浅葉ハルミ(大塚由佑子)が棺にすがりつき騒ぎ始める。そして瑞希に近づくと、いきなり平手打ちを見舞い「あなたのせいよ!」と、食って掛かるのだった。  ゼミの友人たちは口をそろえ、「海老原はハルミと結婚すると思っていた」という。学生時代から、ハルミは幾度となく海老原の苦しい時を支えてきていた。裏切られたハルミが海老原を…?

 右京は依然、海老原が瑞希に伝えようとしていたことが何なのか気になっていた。瑞希本人も、また友人たちにも思い当たることがないという。挙式直前に伝えたいこと。大事な話に違いない。それをメールでキャンセルした点も引っかかる。別人がメールを打った可能性はないか、右京は推理をめぐらす。そして、その人物特有の“書き癖”から捜査を進めると、ハルミとゼミ仲間の一人、田村厚(坂田聡)の2人に同じ癖があることが判明する。

 しかし、別行動で捜査を進めていた捜査一課は、瑞希に任意同行を求める。調べによれば、瑞希の父の死に、実は海老原が関わっていたというのだ!悲劇のヒロインから一転、容疑者となる瑞希。はたして真相は…。

相棒Season04 第03話「黒衣の花嫁」
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第04話「密やかな連続殺人」

2005年11月2日放送

 片方だけのピアス。13年前、東京で起こった殺人事件の被害者が身に付けていた物だ。懸命の捜索にも関わらず、もう一方のピアスは発見されず、事件も未解決のまま。そのピアスが、引退した刑事(山崎一)から亀山薫(寺脇康文)に渡る。被害者、遺族、そして元同僚の無念をおもんばかる薫…。

 翌日、東京の荒川河川敷に若い女性の他殺体があがる。遺体は片耳のピアスを無くしていた。イヤリングと違って外れにくいピアスがなぜ? 引っかかりを感じる杉下右京(水谷豊)に薫は、偶然にも前日渡された遺留品のピアスを見せ、犯人が持ち去った可能性がないかを問う。13年前の事件との関連を探り、2人はすぐに過去の資料を調べ始める。その結果、片耳ピアスの女性遺体が発見された未解決事件は、全国で過去に10件も起きていることが判明。日本には、FBIのような全国的捜査機関が無い。県をまたげば警察の情報は共有されず、殺害方法を変えれば同一犯だとは気づかれにくい。犯人は警察の盲点を突き、殺人という快楽を味わい続けているのだ。今回の事件も、殺害場所が荒川上流の埼玉県と考えれば辻褄が合う。だが、右京たちの考えは、上層部からは当然のごとく切り捨てられる。お見通しの右京は、報告義務完了につき、薫と2人で13年前、東京で起きた事件から調査を開始する。

 13年前の事件には、有力な容疑者がいた。村木重雄(小日向文世)。予備校講師だった村木は、被害者へのストーカー容疑と目撃証言から、最も犯人に近い人物とされた。しかし、証拠不十分で不起訴に。右京たちはまず、村木の自宅を訪ねてみる。するとそこには、すでに捜査一課が。警視長が右京たちの推理を受け、手回ししていたのだ。しかも、村木に自殺未遂されるという失態のおまけ付きで。

 村木は「疑われるのはもう嫌だ!」と、いきなり手首を切ったという。幸い傷は浅く一命を取り留めるが、病院に迎えに来た村木の妻・順子(山下容莉枝)は、そんな夫をいきなり殴り飛ばす。「死ねるもんなら死んでみなさいよ!」と罵声を浴びせる順子。村木は土下座をしながら絶対服従の体。すると順子は嘘のように優しく手を差し伸べ、事故で足を不自由にしたという村木を伴い病院を後にするのだった。夫妻の尋常ではない関係に唖然とする一同。その中にあって右京だけは、2人に鋭い視線を向け続けている。そして、順子の耳たぶが変形しているのを目撃するのだった。

 その後、右京は村木を診ているという精神科医・内田美咲(奥貫薫)は美咲から、“支配と隷属”というコミュニケーション方法があると聞かされる。さらに美咲は今回の犯人像について、大人しくまじめなタイプの男性、出張や転勤の多い仕事に就き、その先々で殺人を繰り返している可能性が高いとプロファイリングする。また、自分だけに分かる共通点を残しているとも。それがピアスを持ち去ることだとすると、そこには“征服”という意味が込められるという。

 ピアスにはその昔、悪霊が耳孔から入り込むのを防ぐ意味合いがあった。それを外すことで人は、相手に暴行を加えることなく支配気分を味わえるという。もし村木が犯人で、持ち去ったピアスを妻に渡していたとすると、日ごろの“支配と隷属”関係の逆転を、村木は観念的に味わうことができたのではないか…?

 一方、順子と接触していた薫は、村木が、容疑を掛けられる以前は、講義のため全国を飛び回る人気講師だったと知る。大手予備校ともなれば支店は各地にある。つまり、村木の職業は美咲のプロファイリングに合致するのだ。右京と薫は、村木が勤めていた予備校の講義録を調べる。すると、にらんだ通り、過去の事件と村木の講義日程が一致。しかし、村木を犯人と確定するには、まだ決定的な壁があった。足が不自由な村木には、遺体を川に投げ込むのは不可能だ。村木の身近な人間に、共犯者がいるのか…?

相棒Season04 第04話「密やかな連続殺人」
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第05話「悪魔の囁き」

2005年11月9日放送

 前回に続いて…。

 捜査一課の勇み足により、村木重雄(小日向文世)は自殺。その直前、村木は10件すべての犯行を認めていた。だが、家宅捜索では、最初の事件から数えて7件分のピアスしか発見されなかった。焦る捜査一課は、共犯者を妻の順子(山下容莉枝)とにらみ、全件で村木を立件するため血眼の捜査を開始する。

 一方、杉下右京(水谷豊)は、まったく別の角度から残り3件の犯人を推理し始める。共犯者が順子ならば、同じ場所でピアスが発見されるのが自然だろう。事件一連の特徴を知り得る身近な人物で、順子以外に犯行が可能な人物がいるとしたら…?

 翌日、右京は亀山薫(寺脇康文)を伴い、荒川事件で殺害された日高鮎子(堤幸恵)の当日の足取りを洗い始める。この荒川事件で、犯人は2つのミスを犯していた。1つは、遺体が川の流れに乗り、過去に事件を起こしていた東京で発見されてしまったこと。もう1つは、東京在住の鮎子を標的にしてしまったこと。犯人は埼玉県内で事件を完結させたかったはず。それがこの犯罪の絶対条件だからだ。1つめのミスは想定外として、2つめは?

 右京たちは、犯人が鮎子を埼玉の人間と勘違した可能性を探る。すると案の定、鮎子が埼玉のデートクラブで働いていたことが判明。事件当夜は、客を取ったまま店に戻らなかったということも。犯人は鮎子を指名した男か…。だが店長によれば、女客からの指名もあるという。再び犯人像が薄れたことに、落胆を隠せない薫…。

 そのころ警視庁では、順子が捜査一課をさんざん愚ろうし、時間を浪費させた後、ようやく荒川事件当夜のアリバイを告白していた。順子はその時間、ホテルで男と会っていた。相手はなんと、村木を診ていた精神科医・内田美咲(奥貫薫)の助手・安斉直太郎(高橋一生)だ。美咲の代理として順子から相談を受けるうちに、関係を持ったという。

 その夜、右京は美咲から、村木が描いたという無気味な絵を渡される。美咲は、絵に認められる一連の事件を暗示する“ヒント”を見過ごした自分を責めた。と同時に、もし村木が連続殺人の詳細を自分に語っていたなら、どんなに興奮したか…とも。美咲は犯罪心理学の専門家でもあった。右京はそんな美咲の心情を理解しながらも、彼女の中に悪に惹かれる一面があることを見抜くのだった。

 右京はすでに美咲の過去の講演スケジュールを調べていた。ピアスが見つかっていない最後の3件は、すべて美咲の講演先で起きている。渡された村木の絵は、いわば美咲からの挑戦状なのか…。だが、薫の捜査の結果、鮎子が最後に取った客は男と断定される。美咲は事件とは無関係なのか? バラバラに散らばるピースを犯人像に結び付けるため、右京と薫の戦いが始まる!

相棒Season04 第05話「悪魔の囁き」
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第06話「殺人ヒーター」

2005年11月16日放送

 捜査一課は怨恨の線で犯人の割り出しに掛かるが、思わしい成果が上がってこない。手詰まりの捜一に右京は、被害にあった会社の従業員になれなかった人物を調べるよう助言する。大きなヒントに思わず顔色を変える捜一の面々。それでも、特命係が捜査の一員に加えられることはないのだが…。

 夜。特命係。杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が、炭化した紙片を一枚一枚調べている。企業連続放火事件の遺留品整理を、捜査一課に押し付けられているのだ。「早く終わりにして帰りましょう」。だが2人の願いは叶わない。その夜、次の放火事件が発生してしまうのだ。

 これで事件は6件。今回も含め3件で死者が出ている。6件目の現場は『ヨツバ電気』本社。労働組合事務所にいた組合長・小柳津桐子(辻沢杏子)が被害者となった。一連の放火の手口は、現場にあるストーブやヒーターを使って出火させていること。今回もまた、ヒーターが火元となっていた。現場に到着した右京たちは、捜査一課に揶揄されながら、焼け残り品を採取。そこで右京は、使われないままヒーターの横に置かれていた消化器に、不自然さを感じるのだった。

 捜査の結果、6件中2件の会社で不採用になった黒川英明(村杉蝉之介)という男が浮上してくる。一流大学出身で国家資格を持ち、履歴書からだけでもプライドの高さがうかがい知れる男だ。

 桐子の死因は窒息死。遺体の損傷が激しく、煙を吸い込んだためとは断定されなかった。そこで右京は、絞殺の可能性もあるとみて別方面から捜査に乗り出す。出火前に桐子が殺されていたとすれば、使われなかった消化器の謎も解ける。さっそくヨツバ電気に赴いた2人は、桐子が社内で相当恨みをかっていたことを知る。「小柳津(こやなつ)は嫌なやつ」。社員はそう言って、桐子を中傷していた。理由は、桐子がふりかざす“正義感”にあったらしい。桐子の組合長としての働きは度を超え、自社製品へのクレームにまで発展していたという。その結果、降格を余儀なくされた社員もいた。その一人、恩田義男(嶋田久作)。桐子は恩田が設計した製品の欠陥を指摘し、製造ラインを止めて全品検査をしない限り、業界紙に告発すると言い張ったらしい。自社を脅迫する女。恩田の目に桐子はそう映った。右京たちを前にしても、桐子への恨みをまったく隠さない恩田…。

 その夜、とある事務所に忍び込む男がいた。黒川だ。不採用になった腹いせに、またしても放火を企てたのだ。だが今回は、黒川の動きを張っていた捜査一課により、あえなく御用。取り調べでも「バカは死ねばいい」と、“優秀な”自分を不採用にした会社に対する犯行をあっさりと認める。しかし、死者が出た3件については犯行を否認。罪が重くなることを恐れての供述か?

 それを知った右京たちは、黒川が否認した3件に、死者が出た以外に共通点がないかを調べ直す。すると、どれも同じコードレスヒーターが出火原因だったことが分かる。製造元はヨツバ電気。設計者はあの恩田だ…。

相棒Season04 第06話「殺人ヒーター」
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第07話「波紋」

2005年11月23日放送

 ある日、交番に600万円もの大金が拾得物として届けられる。我こそは持ち主と名乗り出る人また人。交番内ではなぜか、金の亡者たちを杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)がさばいている。そこへ、パトロールを終えた下薗司巡査(音尾琢真)が戻ってくる。テレビを見ながら一服する右京たち。画面には600万円を届け出た学生が、取材陣に追い掛けられる様が映し出されていた。顔にぼかしは掛けられているものの、明らかに迷惑そうである。

 学生の名は池田俊太郎(中村友也)。訳の分からない大金がアパートの郵便受けに投函され、それを正直に届け出たばっかりに、一躍、時の人となってしまったのだ。

 その晩、池田が暴漢に襲われる。幸い命に別状は無かったが、良いことをした自分がなぜこんな目に…と、池田は世の中に対する不信感を募らせていく。暴漢は池田に、あれは自分の金で無ければヤバイことになる、警察から取りかえして来なかったら殺すと言ったという。過熱報道により、池田の素性は一部メディアに流出していた。それを見て、暴漢は池田に言いがかりをつけてきたのか…。

 正直者がバカを見る世の中なんて絶対に許せない!と、池田を守る決意の薫。対して右京は、池田の行為が単なる美談では終わらない可能性を指摘する。池田が拾得者の権利を放棄していなかったからだ。持ち主が現れなければ、いずれこの大金は池田のものになる。そこには理不尽と言えども“嫉妬”が生まれる。池田の受難は、この先も続くだろう…と。

 案の定、池田は大学でも“正直者のI君”と揶揄され、孤独を深めていった。新聞にも、いまだ続報が綴られている。そんな紙面を暗い表情で見る池田の顔色が一変する。自分を襲った暴漢の写真が掲載されていたからだ。

 暴漢の名は古谷稔(犬養淳治)。新聞にはリンチ殺人の被害者として掲載されていた。つまり古谷は、池田に言った通り“ヤバイこと”になり、命を落としてしまったわけだ。古谷は麻薬の売人だった。売上金を巡るトラブルが原因だろうか。だが、検死の結果、遺体にあった無数の傷は死後につけられたものと判明。知識に欠けた人物による“偽装リンチ”の可能性が濃くなった。また、届けられたお金には帯封が掛けられており、麻薬取引の金と考えるには無理があった。古谷が紛失した600万円は別に存在する…。

 そんな折、600万円の本物の持ち主が現れる。下薗巡査が親しく世話をしていた近所の老婦人・梶多恵子(絵沢萌子)だ。多恵子は、公表されていない6束すべての最初の紙幣番号を申告し、認められた。老眼で新聞をあまり読まないという多恵子は事件の詳細を知らず、下薗に助言されタンス預金を確認したところ、はじめて600万円が無くなっていることに気づいたのだという。万が一に備え、紙幣番号を控えておいたのが役に立ったと喜ぶ多恵子と下薗。さらに、捜査一課の働きにより古谷殺しの犯人も検挙され、事件には幕が下りる…はずだった…。

 だが、ただ一人、終わりを感じられずにいた右京の予感が的中。翌朝、多恵子の他殺体が自宅で発見される。前夜、多恵子宅から出て来るところを目撃された男はなんと、大学生の池田だった…!

相棒Season04 第07話「波紋」
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第08話「監禁」

2005年11月30日放送

「無断欠勤とは、不届きですねぇ」。お昼過ぎ、亀山薫(寺脇康文)の出勤表を見つめながら、杉下右京(水谷豊)がつぶやく。薫は今朝から警視庁に姿を見せていない。携帯電話もつながらないままだ。そこへ、右京を訪ね女子中学生の2人組がやってくる。前日、あるジャーナル誌に載った『警視庁・特命係に“和製シャーロック・ホームズ”がいる』という投書を読んで、取材を申し込んできたのだ。2人は推理小説研究会のメンバーで、右京を題材に新しい小説を書くという。快く取材に応じる右京。中学時代、自分も推理小説を書いていたという右京と少女たちの間には、和やかな時間が流れていく。

 取材を終えた右京は奥寺美和子に会う。彼女は夕べ、薫に約束をすっぽかされていた。家にも行ってみたが姿はないという。気になった右京はその足で捜査一課へと向かう。捜一の面々が協力的な姿勢を示すことは無かったが、偶然にも、右京は彼らから大きなヒントを得る。捜一は、捜査中の大学教授と歴史研究家が相次いで行方不明になっている “インテリ失踪事件”になぞらえ、薫に共通点がないことを百も承知で、第三の被害者に見立てるという不謹慎なことを言ってきたのだ。「杉下さんなら分かるんですけど」との捨て台詞まで付けて…。

 特命係に戻った右京は、ジャーナル誌を手に前日の出来事を思い出してみる。前日の退勤時、右京は一人の女性に鞄を捕まれ、足留めをされていた。記事を読んでファンになった、相談に乗ってほしいと色っぽく迫る女性。右京はとっさに、それはもう一人の特命係、亀山刑事のことだと嘘をつき、面倒をやり過ごしていたのだった。

 鞄を持って鑑識に向かう右京。予想通り、指紋から女の素性が割れる。前科があったのだ。進藤ミサエ(佐藤江梨子)、26歳。若さに似合わず、2度も実刑を受けている。罪状は横領、詐欺に強盗未遂…。金のためなら何でもするタイプと思われた。

 右京は、ミサエが薫を和製シャーロック・ホームズと勘違いし、連れ去ったと確信。事件を“インテリ、かっこ、例外一名含む、かっこ閉じ、失踪事件”と改め、単独で捜査を開始する。

 そのころ、行方知れずの薫は、どこかの地下室にロープで拘束され監禁されていた。古めかしい家具に大量の書物。壁には軍人らしき人物の写真が飾られている。そして重厚な埋め込み式の金庫。薫のそばには破壊された携帯電話と、一編の詩が書かれた紙が置かれていた。『やまとはくにのまほろば たたなづくあおがき やまごもれる やまとしうるはし』…。

 「お勉強は進んだかな?」。そう言って階下に降りてきたのは、ブランド服に身を包んだミサエだ。金庫内には4億相当の金塊があり、この詩は金庫を開けるための暗号だと言う。薫と同じように拉致されてきた大学教授と歴史研究家は、暗号を解くことなく不慮の事故で命を落としたとも。もしも暗号が解けなければ、薫も同じ運命をたどるのは明白だ。現に、薫はすでに痛手を負っている。しかし、肉体派の薫に右京並みの推理が働くはずもなく…。

 ミサエがしびれを切らすのが先か、それとも右京が居所を突き止めるのが先か、1秒を争う戦いの結末は…!?

相棒Season04 第08話「監禁」
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第09話「冤罪」

2005年12月7日放送

 「私…、人を殺しました」。ある晩、緑川警察署に、内縁関係の青木由紀男(平井賢治)を自宅アパートで殺害したと、篠宮ゆかり(青山知可子)が出頭してくる。凶器の灰皿を持ったまま2時間もさまよい歩いた末、逃げ切れないとあきらめ、近くにあった緑川署に自首したのだという。原因は別れ話のもつれ。捜査課は、当直で聴取を担当した安城雄二警部補(中村育二)を中心に、正当防衛の可能性も視野に入れ捜査を進めると決定する。その直後、安城はゆかりの弁護士と名乗る室園悦子(一色彩子)の訪問を受ける。送検も起訴も済んでいないのに、手際が良すぎる。不審を抱いた杉下右京(水谷豊)は、悦子の事務所に向かう。

 悦子は数日前、青木との金銭トラブルをゆかりから相談されていた。しかし、悦子は刑事事件が専門。そこで、民事専門の弁護士を紹介し、帰したという。ゆかりは、その時の名刺を出頭時に所持していたらしく、すぐに悦子に弁護を頼んだというわけだ。

 悦子立会いの下、ゆかりと接見した右京は、凶器の灰皿はヘビースモーカーだった青木の持ち物だと聞かされる。だが、アパートを訪れた右京と亀山薫(寺脇康文)は、10年も住んでいたというのに、畳に焦げ跡が一つもないことを不思議に思う。几帳面とは言いがたいほど部屋は散らかり、何かをこぼしたような染みまで残っているのに…。「妙ですね」。染みを見つめる右京がつぶやく。染み跡が、畳の縁できれいに途切れているのだ。そして隣の畳の反対側に、同様の染みが。2人は畳を持ち上げ回転してみる。染みはぴったりつながった。と同時に、畳の下から札入れが見つかる。青木の財布は押収済み。ではこの札入れは…?

 その日、ゆかりの兄・彬の逮捕歴が明らかになる。罪状はゆかりと同じく殺人。彬は20年前、金子祐介殺害を自白。しかし、その後“冤(えん)罪”を主張し、上告中に拘置所で病死していた。自白調書を読み終えた右京は、取調官の署名に目を留める。「安城雄二」。ゆかりの担当捜査官だ。

 安城の調べでは、犯人が兄妹ということを除き、2つの事件に関わった人物に接点はないという。自身が担当になったのも運命の皮肉だと。しかし、右京たちは違和感をぬぐい切れない。そしてその夜、違和感を一層強める情報が、奥寺美和子(鈴木砂羽)からもたらされる。彬を起訴したのは、当時、検事だった悦子だと!

 「皮肉」。悦子は安城と同じ言葉を口にする。ゆかりは過去の事実を知らずに、自分に弁護を依頼していると続ける悦子。だが、右京たちはこの言葉を信じない。身内を起訴した検事の顔を、誰が忘れるというのか。

 右京たちが畳の下から発見した札入れは鑑定に掛けられ、結果、青木と20年前の被害者・金子の指紋が検出される。これにより、青木が20年前の真犯人という可能性が浮上。獄中死した彬は、やはり無実だったのか? そうとも知らず、兄の仇とも言える男と内縁関係を続けていたゆかり。もしも彼女がその事実を知ったとしたら!?

 財布には他に、身元不明の指紋があった。すぐに安城の指紋と照会させる右京。ところが明らかになった指紋の主は、安城ではなく悦子であった…!

相棒Season04 第09話「冤罪」
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第10話「殺人生中継」

2005年12月14日放送

 朝の天気予報。新人キャスターの八木沼リカ(宮地真緒)が、テレビ局のテラスから中継している。リカの大ファンという薬物対策課長の角田六郎(山西惇)は、画面に釘付けの状態。その時、テレビから女性の悲鳴が! 角田と一緒に画面に見入る杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)。リカは撮影クルーとともに、声が聞こえてきた方へと向かって走る。そして仮眠室に入った一同は、リカの先輩アナウンサー・綾瀬圭子(東風平千香)の刺殺体を発見するのだった。

 生放送で殺害現場が中継されるという前代未聞の事態に、世間は騒然。警察は、全国の注視にさらされながら、慎重かつ迅速な捜査を求められることになる。

 テレビ局は事件発生直後に封鎖。現場に到着した右京と薫は、アナウンス部長の仁科真由美(竹井みどり)から、圭子はある時期、熱烈なファンによるストーカー行為に悩まされていたと聞かされる。毎日のように届く手紙は、内容が次第にエスカレート。自宅ポストに「殺してやる」との脅迫文を送られるに至り、局は送迎を手配した。そのせいか、ストーカーの正体は分からずじまいだが、最近は被害が収まっていたという。

 手柄目当ての捜査一課は、特命係をつまみ出しストーカー情報の収集を始める。一方、右京と薫はリカのもとへ。圭子はリカの教育係だった。特に、敬語の使い方を仕込まれたというリカは、圭子を尊敬し「大好きな先輩でした」と涙を流す。ストーカーについても「その話は伺っています。ご自宅にまで参ったことも…」と。「参ったではなく、行った」と、すかさず敬語の誤用を指摘する右京。圭子に注意された懐かしい記憶がよみがえったのか、リカの目から再び涙がこぼれ落ちる。お茶でも飲んで気分を落ち着けてもらおうと、自販機で飲み物を買う薫。と、その奥に怪しい男が…! 

 仮眠室の検証により、圭子は自分でドアの鍵を開けていたことが分かる。また、極度の近眼だった圭子が眼鏡を掛けずに応対していたことから、犯人はストーカーではなく、ごく親しい人間の可能性があると右京は推理する。さらに、通風用の窓が開いていることに何かを感じる右京…。

 身内犯行説はすぐに捜一に伝えられる。アナウンス部から一人ひとりのアリバイを聴取するトリオ・ザ・捜一。その結果連行されたのは、なんとアナウンス部長の真由美だった!

相棒Season04 第10話「殺人生中継」
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第11話「汚れある悪戯」

2006年1月1日放送

 ある銀行の昼休み。総務部の城崎愛梨(葉月里緒奈)が、眼鏡を掛け換え出かけて行く。その姿を追う何者かの視線。程なく総務部長・平林(斎藤洋介)あてに、愛梨を誘拐したとの電話がかかってくる。犯人は“須佐之男(スサノオ)”と名乗り、身代金5億円を要求。人を食った態度で警察への通報を容認した後、電話は一方的に切られる。

 警視庁は“特殊班”の出動を要請。銀行と所轄署に指揮本部を設置し、犯人からの連絡を待つ。2度目の電話を逆探知した結果、犯人は愛梨の携帯電話を使用していると判明。居場所を絞れても、特定は難しい。警視庁は全署員を無期限待機とし、総動員で事件に当たる。ただし、特命係は対象外。亀山薫(寺脇康文)がふてくされて帰ろうとすると、犯人から3度目の連絡が入る。特命係には、犯人とのやり取りを傍受できる無線機が置かれているのだ。犯人は愛梨を電話口に出す。「助けてください!」。聞こえてくる愛梨の叫び声。人質の無事を伝えた犯人は、身代金を1億円ずつ、帯封を切って袋に詰めることと、ヘリコプターを準備することを要求。そして、警察に体制を整わせるため、明朝まで待つという。普通は一刻も早くと焦るのが誘拐犯の心理。にもかかわらず“須佐之男”は、のんびり夜が明けるのを待ち、明るくなってからの接触を設定してきた。「僕ならば、断然夜がいいですね」という杉下右京(水谷豊)は、犯人が身代金を受け取る気がないのではと推測する。

 その夜、薫は、インターネットの掲示板に“須佐之男”というハンドルネームを発見する。スレッド名は『誘拐事件発生だよ!』。書き込み今日だ。明日の午前10時に身代金をばらまくとし、場所も指定している。指揮本部に連絡する薫。しかし、特命係からの電話に耳を貸すものはなく…。

 翌朝。スタンバイしたヘリコプターは犯人の指示に従い離陸。からかうようにあちこち飛行させた後、犯人は掲示板に記した公園へとヘリを向かわせる。

 若者でにぎわう公園広場。その上空にさしかかるヘリ。先回りした右京と薫が見上げる中、身代金として用意された5億円がばらまかれる。金に殺到する人。その中で薫は、目隠しと猿ぐつわをされ、座り込む愛梨を発見する。

 愛梨は、会社を出た後、一人で歩いているところを後ろから襲われた。その後、目隠しとヘッドホン、後ろ手に手錠を掛けられた状態で監禁されていたため、犯人の顔は見ていないという。しかし、愛梨の手首には何の跡も残っていない。監禁された部屋には暖房が入っていたというし、愛梨の眼鏡がきちんとポケットに入れられていたことなどから、右京は愛梨の証言が事実ではないことを嗅ぎ取るのだった。

 その晩、帰宅した愛梨は変声機で声を変えた男からの電話を受ける。「第一幕は大成功だったな。今度は人質の写真を撮ってネットにアップするぞ」…。

 同じ夜、畑山財閥の御曹司・哲弥(甲本雅裕)が“須佐之男”に誘拐される。身代金は5億。通報を受けた警視庁は、畑山邸に指揮本部を設置。しかしその甲斐なく、哲也は変わり果てた姿で発見される…。

相棒Season04 第11話「汚れある悪戯」
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第12話「緑の殺意」

2006年1月11日放送

 大型商業施設の最上階。開店を直前に控えたオーガニックレストランで、オーナーの川端敏臣(菊池隆則)にシェフの久保寺太一(小林隆)が詰め寄っている。業務契約が、久保寺に圧倒的不利な内容で締結されたからだ。しかし川端は、今辞めるなら違約金を要求すると、逆に久保寺を追い詰める。返す言葉もない久保寺。

 オープニングイベント当日。川端と久保寺は不和を押し隠し、自慢の有機野菜でゲストを迎える。場慣れした振る舞いで、自ら野菜を食べて会場を和ませる川端。ゲストの中には、宮部たまきに誘われた杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)がいる。また、肉食の薫をも魅了した野菜の生産者、野崎春菜(七瀬なつみ)の姿も。「すばらしい野菜です」と、声をかける右京。その時、薫が突然、驚きの声で「春菜!」と呼び捨てにする。実は、美人ファーマーとして人気の春菜は元歌手で、薫世代にはアイドル的存在だったのだ。

 会場では、久保寺のスピーチが始まっている。客の中にいる川端。が、締めの挨拶を前に、川端は会場を出て行ってしまう。そのままイベントはお開きに。帰る前にトイレへ向かった薫が『清掃中』の札の前で立ち往生していると、フロアマネージャーが血相を変えて走ってくる。「大変です!社長が、社長が!」。

 川端は、非常階段の踊り場で死亡していた。死因は首の骨折。手にハンカチが握られていたことから、トイレに向かったが清掃中だったため、別の階のトイレに行こうとして非常階段を利用。慌てて足を滑らせたのだろうと推測された。だが、そのトイレをのぞいてみると、中に清掃者の姿はない。外し忘れたのだろうか? 宴たけなわに社長がたまたまトイレに行きたくなり、たまたま清掃中の札が取り忘れられていたため、階段を利用したまたま足を滑らせた。そんな偶然が3回も続くものだろうか…?

 右京と薫は、さっそくスタッフの聞き込みを開始。そんな中2人は、久保寺が川端のデスクからファイルを持ち出すところを目撃する。

 イベントの収録ビデオを入手した右京たちは、川端が会場を出て行く様子をチェックする。川端の側には、たまきと春菜。怪しい人影はいない。やはり事故か? だが現場検証の結果、非常階段には足が滑りやすい細工がされていたことが分かる。川端が慌ててトイレに向かう原因さえ作れれば、『清掃中』の札と合わせて“遠隔殺人”が可能ということだ。

 右京は、川端が食べた野菜の中に、アレルギーが理由で吐き出したいものが混ざっていたのではないかと推理する。実際、川端はネギ類にアレルギーを持っていた。また、外食産業界に進出する前は、春菜の芸能マネージャーだったという意外な過去も分かる。

 イベント当日、春菜はソースに使うネギ属のハーブを、食材として提供していた。春菜の農園は、川端の融資で成り立っていたが、返済のめどは立っていなかったという。古い付き合いの春菜なら、川端のアレルギーを知っていたはず。また、調理した久保寺には契約上の恨みがあり、混入のチャンスもあった。右京の推理が次第に現実味を帯びてくる。ところが、川端の胃からネギの成分は検出されなかった…?

相棒Season04 第12話「緑の殺意」
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第13話「最後の着信」

2006年1月18日放送

 夜の公園。バス停にやってきた亀山薫(寺脇康文)がタバコを取り出す。しかし中身はカラ。舌打ちする薫の前に、タバコが紙ケースごと差し出される。「ちょうど止めよう思てたとこや」。酩酊状態の男は、薫にタバコをケースごと手渡すと、千鳥足でその場を立ち去って行った。

 男は脇幸太郎(桐谷健太)。数日後、公園内で死体となって発見される。所持品は白、赤、黒の携帯電話3台。そのうち白は、脇の手に握られた状態で見つかっていた。死亡推定時刻と着信履歴を照合すると、脇は死ぬ間際まで、白の携帯電話で話していたことになる。その相手を着信番号からたどるも、国際電話への転送システムを使用していたため特定には至らなかった。

 「以前、同じ手口を使った銃の売人がいましたねぇ」。杉下右京(水谷豊)の推理が動き出す。白の携帯電話には名前登録の無い番号が2件、黒には苗字や名前だけの個人名が50件ほど、そして赤には銀行や飲食店などプライベート用と思われる登録が30件ほど入っていた。白が仕入先、そして黒が顧客か? その数からいって、脇は麻薬の売人だったのかもしれない。

 右京の推測通り、脇の覚せい剤がらみの前科が判明。死因は転落による打撲だったが、前科を考慮し、事故と事件の両面から捜査が行われる。

 薬物対策課の角田六郎課長(山西惇)は、課の情報屋、通称“エス”を総動員して、犯人の検挙にあたる。あわよくば、捜査一課を出し抜いて、殺人での立件もしてしまおうという意気込みだ。

 3年前、脇は覚せい剤を入手したと自ら出頭。自首による逮捕だったため、執行猶予がつけられた。逮捕した菱沼貞夫刑事(中西良太)によれば、入手ルートは不明のまま。ゆきずりで買ったということだった。  その後、角田のエス作戦は功を奏し、鷲頭という麻薬の仲買人が連行される。脇とのつながりはすぐに判明。角田は殺人での自白も迫るが…。

 脇は死んだ日の昼過ぎに、白坂由美(黒坂真美)という女性と会っていた。映画を見、食事をして別れた後、脇は自分の縄張りであった公園に向かっている。さらに行きつけのスナックに寄った後、再び公園に戻り命を落としたらしい。脇の足取りを順番にたどる右京と薫。するとその日、高校の同窓という由美との食事中、脇は携帯電話の使用をめぐって、店と揉め事を起こしていたことが分かる。店員の証言によれば、携帯電話の色は白。また、脇行きつけのスナックでは、相当酔いながらも上機嫌で、結婚して故郷に帰るかもしれないと漏らしていたという。相手は由美なのだろうか?

 その後の調べで、脇は警察の情報屋だったことが判明。3年前の逮捕以来、警察内につながっている人物がいるらしい。国際電話への転送システムを利用したのも、事情に詳しい警察官の知恵だとすると…。右京と薫は、すぐさま菱沼刑事の顔を思い浮かべる。だが、同業者をつついたところで、真相が判明するとは思えない。そこで2人は大河内春樹(神保悟志)監察官のもとに向かった。

 案の定、菱沼刑事は去年、脇がらみの事件を送検せず、監察官の取調べを受けていた。3年前の逮捕に関しても、調書が書き換えられた疑惑があるという。しかし、菱沼刑事は優秀な麻薬捜査のエキスパートとして、とがめを受けることは無かった。

 脇を使って手柄を上げ続け、監察官の調べをもくぐり抜ける菱沼刑事。もし、自分のやり方を知り尽くしている脇が、結婚を機に引退を考えていると、菱沼刑事が知ったとしたら…?

相棒Season04 第13話「最後の着信」
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第14話「アゲハ蝶」

2006年1月25日放送

 野口史明(渡辺憲吉)の部屋。テーブルには蝶の標本と札束が置かれている。「お断りですよ」。テーブルをはさんで対峙する相手を、帰そうとする野口。その時…!

 翌日、野口は自室で刺殺体となって発見される。そこへ、熱心な蝶コレクターの染井繁(飯田基祐)が、警察の制止を振り切り飛び込んでくる。「蝶を取り返してください!」。染井は、野口が持っていた世界に2体しかない新種の蝶『ミヤモトアゲハ』の標本のことを言っているのだ。確かに、前日、札束と一緒に置かれていたその標本は、室内から姿を消していた。ミヤモトアゲハの相場は300万円。もし、標本目当ての殺人だとすると、もう1体の持ち主も危ない。杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)はさっそく、保管場所の城南大学へミヤモトアゲハの第一発見者、宮本洋一郎教授(並樹史朗)を訪ねる。

 標本は無事。だが、助手の小西美紗緒(板谷由夏)は、宮本教授の悠長な態度が心配でならない。するとそこへ、あの染井が300万円を持って訪ねてくる。ミヤモトアゲハを売ってくれというのだ。教授にその気はまったくないのだが、染井は連日のように現れるという。「あきらめませんよ…いつか必ず…」と、ぶつぶつ言いながら去って行く染井。  野口宅から盗まれた標本は、かつてオークションにかけられていた。300万円で落札したのが野口。競り負けた相手は染井だ。その後、染井はどうにか金を工面し、幾度となく野口の家を訪れたという。しかし、野口が標本を売ることはなかった。その無念さが、染井を動かしていた。「蝶を手に入れるためなら、どんなこともする…」。

 その夜、城南大学に再び染井が現れる。美紗緒を捕まえて標本を売ってくれと迫る染井。札束はさらに増え500万円。実家の掛け軸を売ったという染井の狂気に、美紗緒は恐怖を感じ、逃げるように大学を後にするのだった。  あくる日、大学の研究室で宮本教授の他殺体が発見される。標本も見当たらない。当然、染井は重要参考人として聴取を受けるのだが、「天罰ですよ」と笑うばかり。「あの蝶を自分のものにする資格があるのは、この世でただ一人、僕だけなんだ…」。

 教授も野口も、「あの蝶を心から愛してはいなかった」と言う染井。確かに、野口は染井のような蝶愛好家ではない。しかし自宅には、染井が持っていたのと同様の、ミヤモトアゲハの採取・目撃地点が詳細に記された地図があった。その分布状況を見て、右京はある確信を得る。ミヤモトアゲハの羽化地は、採取された地点よりずっと北にあり、季節風に乗って和歌山まで飛ばされてきたのだと。風上には、5年前に地元住民の反対を押し切って操業を開始したものの、1年で閉鎖となったある企業の工場があった。野口は、そこの元社員。また、宮本教授が代表を勤めていた蝶協会のメイン・スポンサーでもある。工場と今回の事件に、何か関係があるとしたら? 右京は、ミヤモトアゲハが工場の自然破壊による“異常固体”なのではと推理を広げ…。

相棒Season04 第14話「アゲハ蝶」
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第15話「殺人セレブ」

2006年2月1日放送

 夜。警視庁を後にする杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)。その脇を、捜査一課を乗せたパトカーが通り過ぎて行く。続く鑑識の車には、携帯電話を掲げて見せる米沢守(六角精児)。電話でひそかに情報を伝えるという右京へのサインだ。たまきの店で一杯やろうと考えていた薫は、ちょっとがっかりしつつも、右京とともに事件現場へ赴くのだった。

 現場は高級住宅街。その一角にある五島邸の主婦、香苗(栗田よう子)が、自宅リビングで絞殺体となって発見されたのだ。室内は足の踏み場も無いほどの散らかりよう。片付け下手だったのか、漫画本や鉄道グッズ、菓子の空き容器などが散乱し、何かが盗まれていたとしても一見では分からないほどだ。

 第一発見者は夫の秀宣(遠山俊也)。彼によれば、香苗は数日前から風邪をひいていたという。ごみ箱には丸めたティッシュが山となり、遺体のそばにはマスクも。右京は、そのマスクに付着した数本のグレーの毛に注目する。五島家でペットは飼っていない。鑑識にかけると、マスクの毛は“チンチラ”と判明する。毛皮に使われる小動物で、香苗の体からも検出された。しかし、現場で毛皮類は見つかっていない。犯人が持ち帰ったか、あるいは着用していたか…。

 翌日、右京たちは香苗のミセス仲間、竹下弥生(野村真美)の家を訪ねる。リビングにはちょうど、弥生からセレブの心得を学んでいるというミセスたちが集まっている。コート掛けには毛皮付きのコートが3着。香苗はミセス仲間の一人、仁科世理子(舟木幸)の紹介で、ここへ来るようになったという。どんな人だったのかと聞かれ、口ごもる世理子たち…。

 竹下家の次に、右京たちは世理子の家を訪れる。そこで右京たちは、世理子が弥生からもらったという歴史ものの磁器を目にする。祖父の思い出の品というその磁器を、弥生は気前よくくれたという。世理子に限らず、弥生はいろいろなものをミセス仲間にあげていたらしい。特に香苗は、弥生の好意に漬け込み、何でもかんでももらっていたという。ヘレンドのシュガーポット、バカラの花瓶、アンティーク時計やネックレスなどの装飾品、リモージュのデミタスカップなどなど、もらい過ぎと言われても仕方がない。だが右京は、弥生が“あげ過ぎている”と考える。

 「欲しい」と言われると、断れない性格の弥生。その真意を探ろうと、右京たちは再び竹下邸へ向かう。弥生はちょうど、毛皮のコートを着て出掛けるところだった。「チンチラでしょうか?」。ミセス仲間3人の毛皮からは、チンチラの毛は検出されなかった。しかし、問いかける右京に弥生は、ミンクだと答える。持っている毛皮はこれだけだとも。「私も欲しいですねぇ」と右京。すると弥生は、母から譲り受けたものと言いながらも、その場で毛皮を脱ぎ、右京に差し出すのだった。

 「物に執着してはいけない。私は心に決めていますの」。そう言い切る弥生の脳裏に、少女時代の思い出がよみがえってくる。弥生の消しゴムを欲しがる友達。首を振って素っ気なく断る弥生…。

 「もらう側とあげる側、どちらの気持ちもよく見えませんねぇ」。右京と薫がぼやく。「ママは何でもあげちゃう」と娘が泣いても、あげることを止めない弥生。もらっていた香苗も、あの乱雑な部屋でものを大事にしていたとは思えない。案の定、香苗は弥生からもらったものをフリーマーケットなどで売っていたという。その中には、弥生の母の形見という毛皮の襟巻きも含まれ…。

相棒Season04 第15話「殺人セレブ」
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第16話「天才の系譜」

2006年2月8日放送

 特命係の亀山薫(寺脇康文)はある夜、モデル風の若い女性と腕を組んで、高級ホテルから出てくる杉下右京(水谷豊)を目撃。反射的に物陰に隠れた薫は、右京がその女性との別れ際、現金を渡しハグする瞬間を見てしまう。

 翌日、特命係のテレビは、朝方、海岸で発見された女性の腐乱死体に関する報道番組を映し出している。その中でデスクワークを続けている右京と薫。だが、実際のところ薫は、昨晩のことが気になって仕事が手に付かずにいる。「右京さん」「なんですか?」「…いや、なんでもないっす…」「そうですか」。朝から何度も繰り返されている会話に、結局、痺れを切らしたのは薫の方。思わず、「気にならないんですか」と、右京を責めてしまう。それでも平然としている右京。ついに白旗を上げた薫は、昨晩の目撃談を右京に告げる。その時、右京の携帯電話に渦中の女性から連絡が。今夜も会う約束をしていると知った薫は、警察官らしく、金銭の授受で関係を持つのは感心しないと右京をいさめる。だが右京は意に介さず、今晩、薫にその女性を紹介するという。

 夕方、花の里。右京、薫、そして女性がカウンターに座っている。女性の名は“杉下花”(原沙知絵)。ニューヨーク在住のフォトグラファーで、実は右京の姪。東京の下町を撮って話題になった写真集の第二弾を制作するため、数年ぶりに来日したのだという。ただのタクシー代を早とちりした薫の一人ドタバタ劇も、これにて一件落着。

 だが後日、この花がとんでもない推理を携えて特命係にやってくる。先日、海岸で発見された腐乱死体の身元と犯人が分かったというのだ。

 花は、取材で柳橋界隈を訪れた際、見事に手入れされているのに、ここ何日間か水があげられていない様子の花壇を目撃。訳を家主である二ノ宮純平(櫻庭博道)に尋ねると、妻・小夜子(奈良﨑まどか)が一週間前から実家に帰っているからとの答えが返ってくる。しかし、玄関の状差しには、小夜子の実家から小夜子宛に届いた数日前のはがきが。純平は花に嘘をついたのだ。右京並の観察力を誇る花は、続いて、前回の写真集で世話になった町内会長の金田昭一郎(不破万作)に、二ノ宮夫妻の情報を聞き込みに行く。すると、毎晩、近所中に聞こえるほど派手に行われていた二ノ宮家の夫婦げんかが、特にひどかった一週間前を最後にパッタリ聞かれなくなり、小夜子の姿も見かけなくなったと判明する。腐乱死体の死後経過は、ちょうど一週間。「明日にでも家宅捜索をするべきです」。断言する花。しかし右京は、花の推理など幼稚な妄想に過ぎないと切り捨てる。憤慨する花と譲歩しない右京…。

 翌日、花の推理に妙な説得力を感じている薫を伴い、右京は再び二ノ宮家を訪れる。理由はあくまでも、花の推理が根も葉もないと証明するため。さもないと花は、今以上に無謀な行動をとりかねないと、右京は心配しているのだ。だが、その心配も及ばず、二ノ宮家に到着した2人は、警察に連行される花を目撃することに!

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第17話「告発の行方」

2006年2月15日放送

 ルポライター・堂島丈一(長谷川公彦)が死亡する。自宅マンションで何者かに襲われ、はずみで窓から転落したらしい。堂島の部屋の机や壁は、気味が悪いほどに傷付けられていた。その上に残る血の跡。

 堂島は、大きな賞を獲得したこともある骨太のライター。最近は筆が振るわなかったが、杉下右京(水谷豊)はその実力を認めていた。死亡した日に発売された芸能雑誌には、暴力団がらみの記事と、政治家・古賀由紀男に関する好意的な記事が、堂島の署名で掲載されていた。それを読んだ右京は、どんな記事にも鋭い視点を残してきた堂島らしからぬ、誰にでも書けそうな古賀議員のインタビュー記事に、強い疑問を抱く。右京に勧められ、過去の堂島のルポを読んだ亀山薫(寺脇康文)も同意。堂島が、古賀議員にインタビューしたのかも疑わしい。2人は早速、議員会館へと向かう。

 古賀は現在、国土交通大臣。「よく書いてくれたよ」と、記事には大満足の様子だが、気に入ったという堂島の名前も覚えてはいない。忙しい予定の管理は秘書任せ、机にはいくつものメモが貼られており、「記憶力だけは自信あんだ」という本人の言を、鵜呑みにはできそうに無い。案の定、秘書の赤枝文和(羽場裕一)によれば、インタビューに応じたのは赤枝本人だという。大臣に喜ばれそうなことを並べたおかげで、とても褒められたという赤枝。彼は古賀が四国の市会議員だった20年以上も前から、古賀が掲げる政治の理想に共感して仕え続けているのだ。赤枝によればインタビューは、堂島がわざわざ議員会館を訪ねてきたにも関わらず、居酒屋で行われたという。ここでは話しづらい、雑誌に掲載されなかった内容が語られたのでは? 右京たちはその足で、居酒屋へと向かう。

 店は、芸能雑誌編集部の御用達の一軒。店長は、赤枝と来た日のことも、最後に堂島が顔を出した時のこともよく覚えていた。堂島は亡くなる前、編集長と一緒に店に現れ、もみ合うほどの激しいけんかをしたのだという。堂島はしきりに「約束が違う!」と叫んでいたとも。やはり、差し替えられた記事があるのでは…?

 翌日、右京たちは警視庁の上層部から呼び出しをくらう。2人は前夜、古賀議員が地元にドーム球場を建設した際、多額の見返りを受けていたことを突き止めていた。しかも、そこまで捜査二課が調べ上げているにも関わらず、古賀の逮捕に待ったがかかっていることも。現在、ドームは莫大な借金を残して倒産。その埋め合わせに公的資金の投入と住民税の引き上げが、先日発表されたばかりだ。このタイミングで古賀の不正が明るみに出ては、各方面にまずいことがあるということらしい。当然、右京たちの捜査にも上層部から圧力が掛けられる。だが、堂島は古賀の不祥事を知り、告発しようとして殺されたのかもしれないのだ。右京と薫は、確たる証拠を求め、独自の捜査を決行する!

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第18話「節約殺人」

2006年2月22日放送

 カリスマ的人気を誇る“節約主婦”としてテレビや雑誌で人気の松原宣子(伊藤かずえ)宅で、殺人事件が起こる。夫・真澄(平良政幸)が殺され、その犯人・浅田裕久(光宣)を宣子が正当防衛の末、殺害したのだ。真澄は刃物による刺殺。浅田は花瓶で頭部を一撃されていた。浅田は真澄にゆすられていたと言ったらしい。浅田の携帯には、確かに真澄からの着信履歴が残っていた。そして真澄のポケットからは、浅田と若い女性のツーショットが待ち受け画面になった、女性が持っていたらしい携帯電話が見つかる。

 同日、ツーショットの女性・馬場香織(後川佳織)も、松原家近隣の雑木林で刺殺体となって発見される。死後の経過は二日ほど。遺留品に携帯電話は無かった。やはり彼女の物か。それをなぜ真澄が…。

 特命係・亀山薫(寺脇康文)の推理はこうだ。浅田は不倫関係にあった香織から別れ話を切り出され逆上。雑木林で殺害して逃げ去るが、その現場を偶然に目撃した真澄が、香織の携帯電話を奪って浅田を脅迫。ところが逆に浅田に殺されてしまった…。

 その間、同意も否定もせず、宣子の雑誌をめくりながら薫の話を聞いていた杉下右京(水谷豊)は、まったく別のことを考えていた。掲載されている宣子の自宅写真と、現場検証時のインテリアが、家具の配置や置物の位置まで変わっていないにも関わらず、浅田を殴った花瓶だけが写っていなかったからだ。代わりに置かれていたのは古伊万里の高級品。対して、犯行に使われた花瓶はどう見ても安物だ。花瓶以外にも右京は、宣子の証言に関して疑いを抱いていた。ナイフを向けられれば、人は抵抗するというもの。しかし、宣子の夫にその跡は見られなかった。室内にも争った形跡は無い。また、誰かをゆすろうとした時、自分の番号を相手に知らせるような真似をするだろうか。着信履歴を残そうという作為を感じ取った右京は、すべての証言を行った宣子を強く疑うのだった。

 事件翌日、右京たちはすでに仕事を再開しているという宣子の“節約術DVD”の収録現場に赴く。急ぎの仕事でもあるし、真澄も雑誌に出ることを喜んでいたからと、涙を隠して収録に臨む宣子。しかし、出版社に問い合わせると、急ぐ仕事ではないので収録の中止を申し出ていたという。また、香織が殺害された夜も、宣子は同じように収録を行っており、終了時間から換算して、事件を目撃する可能性があったことも分かった。だが、問い詰められた宣子は、同時刻、スーパーで買い物をしていたとレシートを提出し、アリバイを証明する。

 右京と薫は、たまきから重要な情報を得てアリバイ崩しにかかる!

相棒Season04 第18話「節約殺人」
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第19話「ついてない女」

2006年3月1日放送

 「さようなら、ついてない私…」。白いコートを着て銃を構える月本幸子(鈴木杏樹)。しかし、銃口は幸子自身にではなく、暴力団の大物、向島茂(正城慎太郎)に向けられていた。夫の死後、借金と病気に苦しんだ幸子は、茂の愛人となることで生きながらえてきた。だが実は、茂こそが夫を殺害した張本人。それを知った幸子は、茂の殺害計画を周到に準備。実行後は、手配済みの偽造パスポートを国外で入手し、別人となって新しい人生を始めるつもりだ。“幸子”とは名ばかりで、幸せとは縁遠かった女を自らの手で葬るため、幸子は引き金に力を込める…。

 空港へ向かう幸子。しかし、運転する外車が途中で故障。途方に暮れていると、通りすがった1台の車から降りてきた男性2人組が、空港まで送ってくれるという。「私、ついていますね」。しかしその車、実は警察車両。男性2人組は特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)だったのだ。いざとなったら、サイレン回してでも飛行機に間に合わせるという薫の言葉に、幸子は動揺する。その様子を見ていた右京は、「ユニークなコーディネイトですね」と、幸子の服装について何気なく質問をする。幸子は、前出の白いコートではなく、スポーツチームのベンチコートをおしゃれなブランド服の上から羽織っていた。一刻も早く2人から離れたい幸子は、「気に入っているし、暖かいから」と適当に答え、空港には新宿からリムジンバスで向かうと言って、車を降りていった。

 その足で新しいコートを買いに行く幸子。ベンチコートはバスターミナルに置き捨て、これで本当にさようならだ。が、閉まりかけたリムジンバスに、「忘れ物」だとベンチコートを持って右京が乗り込んでくる。驚く幸子。右京はすでに、幸子から犯罪のにおいを嗅ぎ取っていたのだ。そんな2人を乗せて、バスは空港へ向けて走り出す。

 そのころ薫は、幸子がどんな犯罪に絡んでいるのかを必死に調べていた。故障した外車のナンバーから幸子の身元を照合した薫は、幸子が家財道具もそのままにマンションの契約を解除していたことや、夫が暴力団絡みで捜査対象にあげられていたこと、そして不可解な自殺を遂げていたことを突き止める。また、ベンチコートのデザインからあるサッカーチームにたどり着いた薫は、いつもは反目し合っている捜査一課の力を借り、膨大なチーム登録者の中から、ついに向島の名前を見つけ出す。しかし、暴力団の大物の隠れ家など、簡単に分かるはずが無い。幸子のフライトの時間は、刻一刻と迫ってくる。幸子の逃亡が先か、それとも向島の発見が先か。最後に“ついている”のはどっちだ!?

相棒Season04 第19話「ついてない女」
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou_04/4/contents/story_oa/0021/

第20話「7人の容疑者」

2006年3月8日放送

 都内のとある撮影所。ドラマなどの撮影に追われる各スタジオに、突然、撮影中止の命令が下る。爆破予告の電話がかかってきたのだ。スケジュールを心配するスタッフからは多少のクレームが出るが、やはりここは人命第一。警察の指示通りに全撮影は中止される。

 しかし、爆発物の発見はおろか、予告当日にも事件は起こらなかった。その代わり、盗難事件が発生。戦隊ヒーローの着ぐるみが盗まれたのだ。人手不足でお声が掛かった特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が、盗難現場の倉庫にやってくる。今日はすべての撮影がお休みの“全休日”。

 しかし、最終回目前でスケジュールが押している人気ドラマ『時効間近』は別で、プロデューサーの曽根ゆり子(大寶智子)など少ないながらもスタッフが往来していた。右京たちが倉庫に入っていった時も、中には小道具の南早紀(三輪ひとみ)が。倉庫は現在、出入り禁止中。知ってはいたが「急ぎの探し物があったから」と、言い訳して出ていくゆり子。その直後、遺失物のチェックをしていた薫は、ふいに倒れた一体の着ぐるみを起こそうとしてぎょっとする。持ち上げた手に、血が付着したのだ!

 着ぐるみの中には、製作部長の林登(谷本一)の他殺体が、凶器のゴルフクラブと一緒に詰められていた。殺害現場は、林の部長室。趣味だったというゴルフバッグが置かれている。捜査一課も駈け付け、薫とのいつもの小競り合いが始まったその時、部長室の電話が鳴る。出る製作スタッフの甲野真(俵木藤汰)。その表情が見る見る青ざめていく。再び爆破の予告電話が掛かってきたのだ!

 前回の予告後、警察により設置された録音機とスピーカーボタンを手際良く操作する甲野。変声機を通した犯人の声は、『時効間近』のセットの爆破を告げる。予告日は3日後。クランクアップの日だ。最初の予告も同じセットだったことから、犯人の狙いが『時効間近』であることは間違いない。また、掛けてきた電話番号は、2度とも一般には知られていない製作部長室の直通。内部に詳しい人物であることは明らかだ。捜査を進めると、ドラマの撮影途中で林に解雇を告げられたスタッフがいると判明。はたして、2つの事件は結びつくのか?

相棒Season04 第20話「7人の容疑者」
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou_04/4/contents/story_oa/0022/

第21話「桜田門内の変」

2006年3月15日放送

ビルの屋上。杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が、連続殺人犯を追いつめている。年貢の納め時が来たと犯人が観念したその時、右京たちの背後で声が上がる。「特命係の亀山~!」。いつもの台詞だが声が違う。薫が驚いて振り向くと、そこには捜査一課・四係の係長、轟木一郎太(小倉久寛)とその部下たちが立っていた。「こんな感じでいいの?」と軽く問う轟木に、薫は答えるすべもなく、捜査を引き継いで現場を後にするのだった。

 容姿の冴えない、バツイチで中年の轟木の取り調べはユニークそのもの。今日も、ニンニクを大食いして、部下たちもうんざりするほどのため息やゲップを吐き、連続殺人犯に迫っている。たまらず落ちる犯人。品はないが優秀らしい。

 その日、轟木は監察官の韮崎ひばり(田中美里)から呼び出しを受ける。轟木が趣味で吹くトランペットがうるさいと、苦情が寄せられているのだ。そんな処理まで引き受けるとは、監察も大変だとねぎらう轟木。だが、改心した様子もなく、逆にひばりに頼み事をして出ていってしまう。ポケットに入れたまま、つい提出し忘れていた連続殺人犯の所持品を、自分に代って鑑識に持って行ってほしいというのだ。しかも、その所持品は、犯人が自殺用にと小ビンに入れて携帯していた青酸カリだというのだから、この男、やはり普通じゃない。

 同じころ、留置所の看守、泰良哲郎(永堀剛敏)は、収監された件の殺人犯から、やはり自殺用にと奥歯の細工に潜ませていた青酸カリを手渡されていた。それをじっと見つめる泰良…。

 その夜、薫にはうれしい出来事が待っていた。エジプトに赴任中の恋人、奥寺美和子(鈴木砂羽)が一時帰国したのだ。薫は美和子の赴任前、彼女に婚姻届を渡していた。書き込みが必要なのは、美和子の名前と印鑑だけ。答え保留のまま飛び立った美和子の返事を、薫は期待していた。『花の里』で落ち合い、薫の部屋に帰宅する2人。ところが玄関には女物の靴があり…!

 翌日、警視庁は朝から騒然となる。庁舎内で青酸カリによる毒殺事件が2件同時に発生したのだ。被害者の一人は、轟木の部下の山田亨(草野康太)。そしてもう一人は、轟木の同期で警視庁音楽隊員の綿貫甚八だ。無差別テロか? 事件を嗅ぎ付けたマスコミが騒ぎ出す。しかし、山田は轟木から返されたタバコを、綿貫は轟木と交換したトランペットを口にした直後に倒れたことが分かり、犯行は轟木個人を狙った怨恨の可能性が高いということになる。

 そんな中、右京たちは、看守の泰良が青酸カリを所有していた情報を入手。事件直後にいなくなったという泰良の居場所を、2人はすぐに突き止め事情を聞く。泰良はあっさり自供。しかし、毒を仕込んだのはタバコでもトランペットでもなく、お菓子だという。すぐに鑑識に報告する薫。自供通り青酸は検出されるが、時すでに遅し。知らずに食べた轟木の部下、一ツ橋明男(高橋和也)が3人目の犠牲者として死亡していた…。

 分析の結果、3件とも同様の青酸カリが使用されたと判明。しかし、泰良が入手した青酸カリは極わずか。供述通り、タバコやトランペットに仕込んだのは別の人物だろう。押収した毒物に触れられたのは、四係の刑事全員と監察の韮崎ひばり。だが不思議なことに、ビンに残っていて当然のひばりたちの指紋は、一つも検出されなかった。これは何を意味するのか? そして、薫たちの恋の行方は…?

相棒Season04 第21話「桜田門内の変」
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou_04/4/contents/story_oa/0023/

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