相棒Season6のストーリー

Season06

放送日:2007年10月24日~2008年3月19日

第01話「複眼の法廷」

2007年10月24日放送

新宿南署の速水巡査部長(重松収)が何者かに射殺された。容疑者として2年前、銃刀法違反で速水に逮捕されていた塚原(小沢和義)が浮上。当初は犯行を否認していたが、厳しい取調べについに自供。証言どおり凶器の銃も発見され、裁判では裁判員制度が試験的に導入されることになった。三雲裁判官(石橋凌)のもと裁判が始まるが、塚原は一転して犯行を否認。裁判員の赤川(藤田宗久)は塚原に厳しい口調で質問、塚原の恋人・静香(有沢妃呂子)が傍聴席から大声で否定するという場面も。

翌日、その赤川の遺体が発見された。静香が疑われるが、現場に残された足跡が静香のものとは一致せず釈放される。裁判は新たな裁判員で再開されるが、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は小野田(岸部一徳)の依頼で彼らの警護を担当することに。裁判所に行くと美和子(鈴木砂羽)が後輩の裕子(宝生舞)と取材に来ていた。街ネタ専門だった裕子はボイスレコーダーを壊したりとヘマもあるが、熱心に取材しているようだ。

裁判員による評議では、慣れない裁判員たちがそれぞれ意見を出し合うが、一人翔子(田中美奈子)だけが死刑と言い放つ。他の裁判員は翔子の強硬な意見にしり込みするが、翔子は頑として曲げようとしない。そんな翔子の暴走に歯止めをかけた三雲判事は、まずは有罪か無罪かを話し合うことに。悔しそうにうつむく翔子に、右京はささやかな疑惑を抱く。

右京らは翔子の周辺を調べるが、被害者の速水との関係を示すものはどこにも見つからない。そんな折り評議内容が新聞にスッパ抜かれた。記事を書いた記者の話では、女性の声で電話があったとか。裁判員たちは翔子に疑いの目を向ける。

三雲は取材攻勢をかけるマスコミを取り締まってほしいと問題視する記者の名を右京らに示す。その中には裕子の名も。

判決前の評議でも死刑を主張する翔子。彼女の発言で何かを思い出した右京は速水ではなく、死んだ裁判員の赤川と翔子が関係していた事実をつかむ。

右京と薫は、翔子と死んだ赤川裁判員が上司と部下の関係だったことを明らかにする。上司として世話になった赤川を殺害したのは塚原の恋人・静香だと信じ込む翔子は、塚原を死刑に追い込み復讐しようとしたのだった。

裁判員を解任された翔子に、右京は速水が警視総監賞をもらうことを誰から聞いたのか質問する。裁判のときに翔子が口走ったのだが、資料には出ていなかった。翔子は塚原を落とした新宿南署の有働刑事(松澤一之)から聞いたと答える。

有働は翔子に警視総監賞のことを話した事実を認めたが、実際には警視総監賞をもらう予定だったという。その受賞が内定したのは、速水が殺害された当日。その情報の伝わり方から有働はどう考えても速水本人から警視総監賞のことを聞いたことになる。右京と薫は改めて有働と会う。

判決当日。右京と薫は新宿南所の辰巳刑事(堀部圭亮)と対峙していた。有働は速水の警視総監賞の話を辰巳から聞いたと証言したからだ。辰巳は事件当日、速水本人からその話を聞いたことになる。実は辰巳は銃の押収ノルマを達成するため、自らの手で再押収の記録を捏造していた。その事実を知られたため、速水を殺害していたのだ。右京らに責められ犯行を自供する辰巳。ギリギリで塚原の無罪が証明される。

さらに右京らは裁判所を出ると、美和子と裕子のもとへ。2人を赤川が死んだ現場に連れて行くと、裕子が壊したボイスレコーダーから微生物が混じった水が検出されたことを明らかにする。つまりボイスレコーダーは赤川が死んだ公園の池に水没したために壊れたのだった。右京らに問い詰められた裕子は、赤川を取材しようとしたが拒否され、もみ合った末に赤川が転落死したことを認めた。

その裕子が赤川と出会えたのは、社からメールで赤川の行動を知らせるメールがあったからだとか。その裕子の証言に疑惑を覚えた右京らは、その情報を知らせたのは誰あろう裁判官の三雲ではないか、と推理する。もともと裁判員制度の導入に懐疑的だった三雲ならやりかねない、事実彼の思惑通りに初の裁判員制度は混乱したではないか。 右京らは三雲を問い詰めるが、証拠はない。結局はうやむやのままに終わるが、右京らは裁判員制度の苦しい船出をかみ締めながらも、その可能性を改めて信じようとしていた。

ゲスト:石橋凌 田中美奈子 宝生舞 堀部圭亮

相棒Season06 第01話「複眼の法廷」
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第02話「陣川警部補の災難」

2007年10月31日放送

かつて特命係に配属されたこともある、捜査好きの早とちり、おまけに思い込みの激しい警部補・陣川(原田龍二)が殺人容疑で身柄を拘束された。瀬口(阪田マサノブ)という男を階段から突き落とした可能性があるという。犯行を否認する陣川だったが、瀬口との関係など詳細についてはなぜか黙秘する。
右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は陣川と瀬口の部屋などを捜査。陣川が人気女性ファンドマネージャーの咲江(高橋ひとみ)からストーカー被害について相談を受けていたことがわかった。陣川は瀬口を咲江のストーカーと判断、追跡したところ瀬口が階段から転落死したらしい。ということは瀬口は事故死、陣川は無事釈放される。

 しかし、咲江のような頭のキレる女性が、陣川のような男に相談を持ちかけたりするだろうか。疑問を抱いた右京は改めて陣川から咲江から相談を受けてから坂口が死ぬまでの経緯を確認する。
瀬口の死体検案書を調べた右京らは、遺体の右スネあたりにうっ血があったことを確認。現場を調べた右京と薫は、何者かが階段の上にロープを張って瀬口の足を引っ掛けたと思われる証拠を発見する。咲江が社員に知られずに会社を抜け出せることを確認した右京らは、瀬口の仕事が株に関する重要な資料の印刷物の校正だったことをつかむ。さらに美和子(鈴木砂羽)の協力で咲江の得意とする業種と、瀬口が担当していた企業がリンクすることも判明する。

咲江は瀬口から株のインサイダー情報を金で入手。その金額も最近はかなり高額になっていたことから、咲江は逆に瀬口から脅迫されていたのではないか。だとしたら、瀬口殺害の動機になる。咲江がストーカーに悩まされていたという事実をことごとく否定し、咲江を瀬口殺害の犯人する右京の推理に陣川は怒りを露にする。どうやら例の惚れっぽい性格が頭をのぞかせたようだ。
右京と薫は自らの推理を咲江に直接ぶつけて自供を迫る。が、突然現れた陣川に邪魔をされて失敗。逆に咲江から犯行があったころ、自分が部屋を抜け出した証拠がない、と指摘され言葉を失ってしまう。

 陣川は咲江を呼び出すと、右京の捜査をやめさせるよう持ちかける。しかし、その場で偶然ニュース映像を見た咲江は会社へとって返すと、ある企業の株を買い集めるよう指示を出す。が、実は咲江が見た映像は録画で坂口が死んだときにテレビで流されていたもの。もし、咲江がそのとき部屋にいれば当然その映像を見ており、今日のように株を買う指令を出していたはずだ。それがなかったということは…。
 右京らのワナにかかった咲江は犯行を自供。顧客を裏切れないというプレッシャーに負けた咲江は、一度だけ犯した過ちに身を滅ぼすことになってしまったのだった。

ゲスト:原田龍二 高橋ひとみ

相棒Season06 第02話「陣川警部補の災難」
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第03話「蟷螂たちの幸福」

2007年11月7日放送

 人気ミステリ作家・蓬城静流(荻野目慶子)の夫・田橋(江藤潤)の遺体が発見された。遺書が残されており自殺と見られたが、拳銃に不自然な細工があったこと、クッションと百科事典が一冊現場から消えていたことなどから、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は他殺の可能性を探り始める。
 夫の自殺にもなぜか冷静な静流。最近では新作も発表されず、スランプという噂も流れていたとか。田橋の妹の話では、静流は田橋を小間使いのようにこき使っており、夫婦仲も良くなかったとか。が、美和子(鈴木砂羽)によると、年に1回は必ず2人で温泉に行くなどオシドリ夫婦のように見えたという。
 しかし、静流のアリバイも曖昧だ。右京らは静流に田橋の死が他殺で、さらに静流がその容疑者であることを直接ぶつけてみる。が、なぜか余裕で受け流す静流は「動機がわかったら教えて」と右京らを挑発する。

 右京と薫は改めて現場を検証。事件当日、静流がマンションの裏口から入った証拠をつかむ。しかし、一方で田橋が妻を殺害しようとしていた証拠も見つかった。田橋の計画を事前に知ってしまった静流が、事件当日ワナにかかったと見せかけて逆に夫を殺害した。静流の夫殺しの動機をつかんだ右京らは静流にすべてを明らかにする。しかし、やはり静流は余裕で受け流すだけ。すべてを明らかにしたはずの右京もどこか納得がいかない。
 捜査一課は静流を田橋殺害容疑の参考人として拘束。
「しかたないわね。早くすませましょう」。
 静流も素直に拘束される。

 静流は取り調べを受けるが、即座に現れた出版社の顧問弁護士によって解放される。弁護士を連れてきた出版社の人間によると、田橋が死んだ夜に何かあったらお願い、と静流から直接頼まれていたという。まるで自分が拘束されることがわかっていたかのようだ。 
 そんな静流の行動で一つだけ確かなこと、それは時間を無駄にすることをやたらと嫌がっていたことだ。右京らは静流の事務所を改めて捜索。静流が強力な鎮痛剤を服用していた事実をつかむ。さらに田橋の唇についていた物質が和化粧用の紅と水飴であることが判明した。

 末期がんに冒されていた静流は、最後の作品を残そうとしていたが、思うように筆が進まない。そんな妻の姿を見かねた夫の田橋が、まるで自分が妻を殺害するような計画を立てストーリーのヒントにしようとしたのだった。彼の筋書きでは逆に夫は妻によって殺されてしまう。そのあとは…。と、妻のために自ら命を断った夫。静流は悲しみをこらえ、夫のためにも自らが容疑者になりながら作品を書き上げたのだった。
 1カ月後、そんな静流の遺作が発表された。「蟷螂たちの幸福」。自分たちの陰口をタイトルにした一冊の本は、自分たち夫婦が見た目とは違い幸福だったことを静かに訴えているかのようだった。

ゲスト:荻野目慶子 江藤潤

相棒Season06 第03話「蟷螂たちの幸福」
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第04話「TAXI」

2007年11月14日放送

 タクシー運転手の八嶋(斎藤歩)がおびただしい血痕を残したまま、タクシーから姿を消した。どうやら何者かに殺害されたらしい。酔っ払って路上で寝ていたところを薫(寺脇康文)に助けられた丸田(大河内浩)が容疑者として拘束される。丸田は行きつけのバーで酒を飲んだ後、八嶋が運転するタクシーで帰宅したらしい。
 右京(水谷豊)と薫は、丸田がホステスの美紀(遠山景織子)からストーカー被害の相談を持ちかけられていたことをつかむ。タコグラフから八嶋の行動を探ると、八嶋が美紀の尾行していたことがわかる。ということは、八嶋がストーカー? 美紀が丸田に頼んでストーカーの八嶋を殺害させた可能性もある。
 しかし、美紀はそんな右京の推理を一笑に付すと、今もストーカーに悩まされているという。が、ストーカーからかかってくる電話に悩まされているはずなのに、着信相手を確認せずに電話に出ていた。右京らは美紀のウソを暴くため、彼女をストーカーからガードするフリを。
 美紀に見送られ店を出ようとした右京は、ふとストーカーが撮影したという美紀と丸田の2ショット写真に疑問を抱く。その写真が店の前の郵便受けに仕掛けられたカメラで撮影されていたのだ。なぜストーカーはそんなに手の込んだマネを…。

 実は写真は丸田が撮影したもの。自分が盗撮写真に写っていれば、ストーカーと疑われるはずがない。ストーカーの丸田がアリバイ作りのために撮影したものだった。
 丸田がストーカーなら、美紀は八嶋に頼み丸田の行為をやめさせようとしたのか。となると、美紀は事前に丸田がストーカーであることを知っていなければならないのだが…。
 丸田は以前、美紀の娘に鉢植えをプレゼント。ブラインドを開けて日に当てるように話したが、美紀の部屋にブラインドがあるのは美紀の部屋に入った者でなければわからない。美紀はそこで丸田をストーカーと判断したという。

 ショックを受けた美紀は、偶然乗り合わせたタクシーで八嶋に相談。美紀に同情した八嶋は、丸田に薬を飲ませ自分の車に乗せるよう指示したという。そして丸田のストーカー行為をやめさせようとした八嶋が逆に殺された?
 そんな折り八嶋の部屋に進入した暴力団員が逮捕される。男は数日前から八嶋の行方を追っていたとか。八嶋を殺した真犯人か?

 右京は八嶋の部屋の冷蔵庫から八嶋の血液が発見されていたことに反応した。
 右京と薫は八嶋が潜んでいたホテルへ押しかける。実は八嶋は暴力団の金を偶然手に入れ、金を返せと迫る暴力団から逃れるため偽装殺人を実行したのだった。八嶋が美紀の娘のために折ってやった帆かけ船、その紙がホテルのパンフレットだったことで右京らに知られるところになってしまった。
 大金を手にしたことでかつての会社社長の夢を再び追いかけてしまったと自嘲気味に話す八嶋。
「夢から目を覚ますときが来たようです」。
 右京はそんな八嶋を静かに諭すのだった。

ゲスト:遠山景織子 

相棒Season06 第04話「TAXI」
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第05話「裸婦は語る」

2007年11月21日放送

 画家の立花(長谷川初範)のアトリエで、絵のモデルの妙子(秋山実希)の遺体が発見された。階段から転落死したようだが、立花は部屋で絵を描いていたので気づかなかったと言う。が、妙子には階段から落ちただけでは出来るはずがない傷が。右京(水谷豊)は、階段から落ちた妙子が階段下に置かれた甲冑を倒し、その甲冑の盾によってついた傷だと推理する。甲冑が倒れたのなら、その音で妙子が階段から落ちたことがわかったはず。薫(寺脇康文)による実験でそれが証明された立花は、証言を翻し、モデル料のことが原因でもみ合いになり、妙子が足を踏み外したのだと主張する。

 あくまでも事故死と言い張る立花だが、過失致死で逮捕状が出され、身柄が拘束される。妙子のシステム手帳を調べた右京は、妙子が立花から100万円ものモデル料を受け取っていたことを知る。それほどの額を受け取っていながらもめたというのは不自然だ。右京が改めて立花を追及すると、実は妙子と付き合っており、立花が別れ話を切り出したことでもみ合いになったという。さらに倒れた甲冑を元に戻すときに手袋をしていたことを確認した右京は、一人立花のアトリエを捜索。洗濯機の中から黒いシャツと手袋を発見する。

 妙子が死んだ直後、立花が妻の光恵(日向明子)に電話を入れていることがわかった。その光恵によると5年前にアトリエから絵が盗まれる事件があったという。右京らは立花と懇意にしている編集者と、2人が打ち合わせでよく使っている喫茶店で会い、盗難事件について聞く。と、その喫茶店で最近、絵が盗まれていたことがわかった。
 盗まれた絵は裸婦像…。引っかかるものを感じた右京は、立花が盗まれた絵を喫茶店で確認しながらわざと編集者に見せないような行動をとっていたこと、さらに携帯に残されていたメールから妙子が死の直前まで一人でアトリエにいたことをつかむ。一人でいたということは、立花の証言と食い違うことになる。

 右京と薫は捜査一課の協力を得て立花と実況見分を行う。実は喫茶店から絵を盗んだのは立花。5年前に盗まれた自分の作品だったからだ。そして犯行後、帰宅すると妙子が死んでおり、自らの犯行を隠ぺいするため、甲冑を直し言い訳を考えたのでは、と追及する。
 初めは否認していた立花だったが、喫茶店に落ちていたシャツのボタンを示され、すべてを自供する。しかし、立花が犯した犯罪はそれだけではなかった。立花が危険を犯してまで盗んだ絵のモデル、梅野正美(石井里弥)は半年前、白骨死体で発見されていた。胸の痣を描いたと立花を責め、完成した裸婦画を傷つけようとした正美。そんな彼女を止めようともみ合いになった立花は、偶然彼女をナイフで刺して殺害してしまっていた。

 すべてを告白した立花は自嘲気味に笑った。
「皮肉なもんじゃないか。その絵がやっと手元に戻ってきたと思ったら、今度は自分の人生を失ってしまった…」。  希代の画家は捜査一課に伴われ、アトリエを後にした。

ゲスト:長谷川初範

相棒Season06 第05話「裸婦は語る」
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第06話「この胸の高鳴りを」

2007年11月28日放送

 人気ロックバンドのリーダー・丹野(松田悟志)がギターの第5弦で絞殺された。バンドのマネージャーの三原(猪野学)から、丹野が最近夏生(前田亜季)という女子大生と付き合っていたことを聞いた右京と薫はその夏生を訪ねるが、彼女は5弦を取り出しあっさりと犯行を自供する。
 女好きの丹野に自分は遊ばれていただけ…。思わずカッとなって丹野を殺害したという夏生だが、部屋の鍵を閉めて帰ったり、凶器の弦をきれいにふき取るなど衝動殺人にしては冷静過ぎる。しかも丹野は婚約指輪を用意するほど、夏生を真剣に想っていたらしい。

 美和子(鈴木砂羽)から丹野が所属していたアマチュアバンドのメンバーが謎の死を遂げていることを知った右京らは、死亡したメンバーの福地(玉有洋一郎)の自宅へ。そこで右京は丹野が作ったという彼のバンドのヒット曲「この胸の高鳴りを」の楽譜を発見する。福地の恋人・可奈子(大谷允保)によると、あの曲は丹野が売り込みに行くと言いながら自分のものにしてメジャーデビューしてしまったという。福地が死んだのも丹野の裏切りがショックだったから。可奈子は右京らに激しい怒りを露にする。

 福地が死後、その遺志に従い心臓を提供していたことをつかんだ右京は、その移植を受けた人間が実は夏生だったことを突き止める。
 実は可奈子も福地の心臓が夏生に移植されたことを知っていた。福地のことが忘れられない可奈子は、同級生を装い夏生に近づき、その思いを慰めていた。が、その夏生がこともあろうに丹野と付き合い始めてしまった。可奈子は丹野が曲を盗んだこと、それが原因で死んだ福地の心臓が夏生に移植されたことなどを暴露、丹野と別れるよう説得したという。しかし、夏生は聞き入れなかった…。

 夏生は直接、丹野に確かめたが、丹野はあっさり曲を盗んだことなどを認めたという。あまりのショックに夏生の心臓は鋼のように高鳴った。その鼓動が夏生の丹野への想いだったのか、福地の恨みだったのか。夏生はその鼓動の意味を確かめに丹野を訪ね、そこで丹野を殺害したという。

 夏生の証言が信じられない右京らは、事務所の社長から丹野らの曲はすべてマネージャーの三原が書いていたことを突き止める。右京らは三原を丹野の自宅へ呼び出し、巧みにワナをかけると犯行を自供させる。夏生に言われ、自分は偽物だとすべてを明らかにする、と決意した丹野。それではすべてが失われてしまう。焦った三原は丹野を止めようと、思わず手をかけてしまったという。

 夏生は可奈子が犯人だと思い、必死で庇っていただけだった。自分が可奈子の忠告を聞かなかったからこんなことに、という夏生。丹野から真実を告げられたときの鼓動の意味も今もわからず、丹野への想いも今となっては…と迷いを告白する。
 そんな夏生に右京はやさしく声をかけた。
「彼に勇気を与えたのはあなたの愛だと思います。あなたの心は、誰のものでもありません」と。

ゲスト:前田亜季 松田悟志

相棒Season06 第06話「この胸の高鳴りを」
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第07話「空中の楼閣」

2007年12月5日放送

 美和子(鈴木砂羽)の初めての単行本を担当していた編集者の勝村(大鷹明良)が何者かに殺害された。勝村の指先が赤く汚れているが、美和子によると原稿の書き込みに赤ペンのインクが付いたのでは、という。

 勝村の同僚よると、勝村は人気作家の庄司タケル(村上淳)ともめていたという。庄司は勝村の胸ぐらをつかみ、「殺すぞ」とまで言ったとか。庄司の担当編集者の日高(吉見一豊)は、勝村は自分が認めない相手には誰彼かまわず食ってかかっていたという。庄司とのケンカも勝村の悪態が原因ではないか。日高は庄司が怒るのも無理はないと庇う。

 庄司が作家になる前、キャバクラのボーイをしていたころに傷害で逮捕されていたことがわかった。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は庄司から話を聞くことに。
 高層マンションの最上階に住み、世の中を見下すのはいいもんだ、とうそぶく庄司。事件当夜は恋人と六本木で飲んでいたというが、あっさりとアリバイは崩れてしまう。

 勝村の死で美和子の初の単行本も中止に。これで有名なエリセ化粧品が工場から有害物質を捨てていた、というルポも日の目を見なくなってしまう。「花の里」で右京らが残念がっていると、たまきがタケルの「ビター・ラブ」を読んだと本を取り出した。目を引く装丁だが、美和子の単行本も同じ装丁家が担当する予定だったという。

 その装丁家なら、勝村と庄司が揉めていた原因を知っているかもしれない。右京らは装丁家の安藤(菊池健一郎)から話を聞く。作品の冒頭部分を取り上げながら美和子の作品を褒める安藤。その安藤によると、庄司は「ビター・ラブ」の映画化の邪魔をする勝村に怒りを露にしていたという。なぜ勝村は庄司の小説の映画化を妨害したのだろうか?

「ビター・ラブ」の主人公が使っていたエリセ化粧品のマスカラが大ヒット商品になっていることがわかった。おかげでエリセ化粧品は映画のスポンサーとなったが、勝村が準備していた美和子の本には、エリセ化粧品の安全管理体制に疑問を投げ掛ける内容がある。そこで庄司は勝村に発刊を思いとどまるよう忠告したという。

 勝村殺害の動機も十分、さらに事件当夜、勝村と言い争っているところを目撃されていた庄司は容疑者として拘束される。庄司は犯行を否定、さらに美和子の作品を「誰も読みやしない」と非難する。怒った薫は勝村のデスクに残っていたという美和子の原稿を突きつけ、読んでみろと迫るが、そのとき右京が自分が読んだ原稿とは違うことに気がつく。

 美和子に確かめると原稿は7回書き直していたが、装丁家の安藤が暗誦した冒頭部分が書かれたのは、勝村が殺される直前に書かれた原稿だけ。ということは、安藤は勝村が殺される直前に勝村と会い、美和子の原稿を目にしていたことになる。
 右京らの追及に安藤は犯行を自供。表紙のデザインを勝手に変えられるなど、いつまでも自分を認めてくれない勝村に怒りを感じての犯行だった。

「ビター・ラブ」映画化発表会見の当日、右京らは庄司に美和子の原稿を読ませる。たちまち顔色を変える庄司。実は庄司は少年時代、エリセ化粧品が垂れ流していた有害物質に苦しめられていた。
 怒りも露に「映画化は白紙」と席を立つ庄司をテレビで見守った右京と薫。その心はささやかな喜びに満たされていた。

ゲスト:村上淳 菊池健一郎

相棒Season06 第07話「空中の楼閣」
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第08話「正義の翼」

2007年12月12日放送

 大内機械工業に、同社の敷地に爆弾を仕掛けた、爆発されたくなければ20億円を用意しろ、という脅迫電話が入った。犯人の予告通り“デモンストレーション”として備品倉庫が爆破され、清掃係の女性が重傷を負う。
 犯人は「正義の名のもとに大内機械工業に罰を与える」といった声明文をマスコミに送付。同社の大内社長(藤堂新二)はかなりのワンマンと評判なだけに敵も多い。それにしても「正義」とは何なのか?右京(水谷豊)は首をかしげる。

 犯人は大内のもとに送り付けたパソコンにメールを送る形で、20億円の受け渡しなどを指示。しかも内蔵カメラで大内らの行動を監視しているらしい。さらに犯人は5億円をすべてダイヤに換えるよう要求。米沢(六角精児)からその情報を聞いた右京は、ダイヤの受け渡し方法について、ある可能性を思いつく。

 犯人は大内に、パソコンとダイヤを持ってとある駅前へ行けと指示。刑事たちが見守る中、やがて届いた犯人からの指示は、警察の人間を入れることなく、一人で近くのビルの屋上へ行け、というもの。伊丹(川原和久)らも手が出せず、ビルへ入る大内を見送るしかない。右京と薫は隣のビルへと駆け込む。
 屋上へ到着した大内だが、そこには数羽の伝書鳩が。犯人は伝書鳩につけられた袋にダイヤを詰め込み、空へ放つよう指示してきた。驚きながらもやむなく指示に従う大内。刑事たちも放たれた鳩をただ見送るしかなかった。

飛び立つ鳩をビデオカメラに収めた右京と薫は、映像を伝書鳩の愛好家に見てもらい、その鳩が「中野五三八号」という種類であることを突き止める。
「中野五三八号」系の鳩を飼っているという大学の名誉教授・脇田(大滝秀治)から話を聞くが、今となっては誰に雛を分けたかも覚えていないという。

 右京はデモンストレーションで爆破された部屋が、当時ミーティングが行われていた会議室と離れていたことに疑問を抱く。犯人は誰も傷つかない部屋を選んで爆破したのではないか、ということは内部の犯行か?ミーティングを招集したれい子(小西美帆)に話を聞くが、もちろん鳩を飼っている知り合いなどいないと否定されて…。

 亡くなった大内機械工業の先代社長・大内直輔は地雷処理ロボットの開発に取り組んでおり、れい子らはその遺志を継いで研究を続けていたらしい。しかし、下請け会社の社長の話によると、二代目の大内になってそのプロジェクトも中止が決定したとか。
「中野五三八号」が実は軍鳩で、育てたのは当時少年だった大内直輔だったことがわかる。さらに特命係に犯人に奪われたはずのダイヤがそっくり戻ってきた。犯人の目的とは…。

 薫はれい子にダイヤが戻ってきたことを告げて反応をうかがう。そのころ右京は脇田教授と会い、「中野五三八号」が直輔と脇田が2人で育てた鳩だったことを明らかにする。同様しながらも事件との関わりを否定する脇田。れい子が開発していた地雷処理ロボット「S82」を支援していたはずだが、それでも脇田は何も語ろうとはせず…。

 犯人はやはりれい子だった。会社から奪った20億円で中止になる研究を続けようとしたのだ。そのために鳩を貸して欲しいと脇田教授に協力を依頼したが、脇田は拒否。仕方なく脇田の留守中に鳩を持ち出し、まんまと計画を成功させたが、脇田は奪ったダイヤを特命係に送り返していた。
 右京らに証拠を突きつけられ犯行を認めたれい子だが、地雷をなくしたいと続けてきた研究が中止になるのは許せない、自分は間違っていないと言い放つ。が、彼女の計画のおかげで一人の女性が重傷を負ったのも事実。右京は「地雷を作った人と変わらない」と諭す。

「S82」は昭和82年、つまり平成19年のことだという脇田。軍国少年だった直輔と脇田だが、戦争で心に深い傷を負った直輔は地雷処理ロボットをひたすら研究し続けていたという。直輔にとって昭和は、戦後は終わっていなかったのだ。右京と薫はそんな脇田の話を噛みしめながら、遠くなった昭和に思いをはせるのだった。

ゲスト:大滝秀治 小西美帆

相棒Season06 第08話「正義の翼」
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第09話「編集された殺人」

2007年12月19日放送

 スナックのアルバイト店員・陽子(村井美樹)の他殺体が発見された。彼女のアルバイト先のスナック『椿』でも店主の友章(桐本琢也)が殺され、妻の美穂(寺田千穂)が犯行を自供。しかし、裁判になると美穂は自白を翻し、無罪を主張していた。

 事件当時の記事では、友章の死亡時刻に美穂が父親の博(小沢象)と電話で話していたことがアリバイになると思われたが、携帯電話だったためアリバイにはならなかった。仮に美穂が犯人なら夫の遺体を前に電話をしていたことになる。そんな状況で何を話していたのか?

 引っかかるものを感じた右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は博から事情を聞くが、娘の無実を信じる博は警察の捜査を批判。さらに裁判で検察側に有利な証言をしたという陽子のことも非難する。博によると、検察官は陽子の証言映像を裁判で流したらしい。取調べの一部可視化によるものだ。

 右京らは美穂の弁護士であるかおり(松下由樹)と再会、検察が提出した陽子の証言映像を見せてもらう。確かに陽子は煙草を吸いながら美穂に不利な証言をしている。が、かおりによると、陽子は弁護側の証人としても出廷する予定だった。陽子はかおりに「ママの容疑を晴らすために検察に行く」と言っていたらしい。そんな話を聞いた右京は、映像が編集されたものではないか、と疑いを抱く。

 右京らは検察官の鍋島(石橋保)から話を聞くが、鍋島は編集ではなく抜粋で、違法ではない、と言い張る。確かに鍋島の言う通り、検察に不利な証言をカットしても罪を問われるものではない。が、右京は証言する陽子の動きに不審を抱く。煙草を吸いながら、なぜか手元のバッグに視線を落とし、バッグに向かって話すようにしている。ボイスレコーダーでも仕込んでいたのでないか? が、米沢(六角精児)は所持品の中にそんなものはなかったという。

 陽子の殺害場所がスナックであることが判明した。さらに米沢の機転で陽子が証言を自らの携帯電話に録音していたこともわかる。その録音で陽子は美穂は犯人ではない、と言い切っている。やはり鍋島が映像を編集していたのだ。右京らは改めて鍋島に録音を聞かせるが、違法に取得した証拠に法的な証拠能力はない、と言い放つ。

 かおりに相談してもやはり鍋島が提出した証言映像をひっくり返すことは不可能だ。右京は捜査一課に頼み、陽子の証言映像を任意提出させるが、やはり美穂に有利な証言をしている映像はカットされている。しかし、右京は陽子が使っていたライターをスナックのライターと決めつけた芹沢(山中崇史)の言葉に反応して…。映像からはスナックのライターとは確認できないのに、なぜ?

 かおりが美穂に聞いたところによると、スナックのライターはサンプルの一本だけしか存在しなかったことが判明した。ところが、陽子を証言映像でしか見たことがないという博は、スナックのライターで煙草を吸っていたと言っていた。なぜ映像では見えないライターをスナックのライターと決めつけたのか?右京らの追及に、博は映像を見た夜に陽子と会い、思わず殺害してしまったことを告白する。しかし、陽子は美穂を犯人とは思っていなかった。そんな事実を知った博は打ちのめされる。

 では、なぜ陽子がスナックのサンプルのライターを持っていたのか。それは納品された日、つまり友章が殺された日に陽子が店に行っていたから。ということは、陽子は事件の第一発見者ということになるが、彼女はそんな証言をしていない。動機はどうあれ、友章を殺したのは陽子である、と右京は断言する。
 証言映像の都合のいい部分だけを裁判で公開し、博を殺人者にしてしまった罪は重い。右京と薫は友章殺しの真犯人を明らかにしつつ、鍋島を責める。

 美穂の起訴を取り下げることが決定した。かおりは美穂の名誉回復のための訴えを起すという。とはいえ、その戦いはイバラの道だろう。右京と薫はそれを覚悟で戦いを挑むかおりの背中を黙って見送っていた。

ゲスト:松下由樹 石橋保

相棒Season06 第09話「編集された殺人」
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第10話「寝台特急カシオペア殺人事件!」

2008年1月1日放送

 左翼過激派・新井田(川本淳市)が爆弾マニア・塚原(崔哲浩)とのアミューズメントパークでの取引に失敗。爆弾が爆発する事件が発生した。その取引で塚原に渡るはずの金を奪った根元(柏原収史)を、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は札幌まで護送することになる。根元は公判中の事件の重要証人だった。

 豪華寝台特急カシオペアに乗り込んだ右京らは、一人旅の公江(長山藍子)、人気モデルのライナ(松永京子)と友人の国子(平岩紙)、どこかギクシャクした感のある安藤(永島敏行)と妻の仁奈子(山本みどり)、息子・博貴(浅利陽介)の一家、増田という男(木下政治)と無愛想な男(森本亮治)、津島(江原修)と名乗るクラブ経営者らと出会う。津島はライナらに「切手もあるので部屋へ」と誘うなど、なにやら複雑な人間模様を見せ始める。

 根元は札幌を拠点とする暴力団の拳銃密売の現場を偶然務めていたホテルで目撃。その証言をするために北海道警に護送されることになったのだった。食堂車で安藤と息子の博貴が言い合う場面を目撃してしまった右京。どうやら家族には無関心だった父に、高校を退学になった博貴はすっかり失望しているらしい。
 事件を目撃した状況を思い出し、寝つけない根元。何かに脅えているようだ。

 そんな折りクラブ経営者・津島の他殺体が自室で発見された。身分を明かした右京と薫は乗客を部屋へと帰らせ現場を確保。捜査を開始する。
 右京は鑑識の米沢(六角精児)に電話で死亡推定時刻の算出方法を教えてもらい、犯行時刻を午後11時半から深夜0時と特定。列車が盛岡を出たのが11時17分でそれ以降はどこにも停車していない。ということは、犯人は列車内にいることになる。次の停車は4時18分の函館。4時間弱の間に犯人を特定すれば、逮捕も可能だ。列車という密室だけに犯人にも逃げ場はない。

 右京は津島の部屋で食堂車で見かけた手帳がなくなっていることに気付く。どうやら犯人が持ち去ったらしい。状況を整理し、右京と薫、そして根元は犯人ではないことを確認。残るは公江、安藤一家、ライナと国子、など9人の乗客だけとなる。ということは、その9人の中に津島を殺害した犯人がいることになる…。

 9人の乗客から事情を聞いた右京と薫は、増田と名乗る男の連れが俳優の羽鳥だとわかる。羽鳥はライナとお忍びで旅行。犯行があったころは空き部屋で密会していたという。その空き部屋を調べた右京らは、盗撮用のビデオカメラを発見。どうやら羽鳥らを撮影しようと仕掛けたらしいが、手帳を隠そうと部屋にやってきた犯人によって映像は消去されたらしい。公江から青森駅で列車が停車、進行方向を変えることを知らされた右京は、青森でゴミが降ろされることを確認、ゴミ袋から津島の手帳を発見する。

 乗客たちを集めた右京は自らの推理を説明。津島が切手と呼ばれるLSDをしみ込ませたペーパーアシッドを売っていたこと、そしてその顧客が誰であるかを隠すため、犯人は手帳を持ち去ったと言う。ということは、津島を以前から知っていた人間が怪しい。食堂車で津島は安藤の息子を博貴と名指ししていたが…。
 しどろもどろになる博貴の前で、父・安藤が犯行を自供した。すべては右京の推理どおり、薬に手を出した息子を守ろうと津島と直談判した安藤はもみ合いとなった際、偶然津島を刺殺してしまったという。

 公江が青森停車を教えてくれたから事件も解決できた。礼を言う右京に公江は身の上話を始める。30年以上前に夫となるはずの恋人を事故で失い、その命日が1月2日だということを告白する公江。指輪一つ買ってもらえなかったが、33年前に彼が死んでから自分の時計は止まったままだという。まるで持ち上げても持ち上げても転がり落ちる、シシュポスの岩のように、どこにも行けない…。そんな公江の悲しい思い出に静かに耳を傾ける右京。列車は札幌へと近づいていた…。

 列車は札幌に到着、根元を北海道警に預けた右京らだったが、大河内からもう一つ爆弾があった可能性が出てきた、という連絡を受ける。北海道警で塚原が映る取引現場での映像を確認した右京らは、確かに爆弾らしい包みを塚原が持っていたことを確認する。やはりあの爆発事件の夜、もう一つ別の爆弾の取引が行われていたらしい。いったい誰と…。  そのころ根元が北海道警から姿を消した。なぜ逃走する必要が?

 根元が目撃した人物はある大物だった。だから護送に2人も刑事をつけたのだが、何やら脅えていたのも大物と関係する人物から脅されていたかららしい。右京はカシオペア号に刑事が使う隠語を理解した男がいたことを思い出した。どうやらその男、藤井(平賀雅臣)という刑事が大物と通じていたに違いない。右京らは根元の自宅を訪ね、連れ去られたことを確認。藤井に拉致されていた根元を救出することに成功する。

 そのとき塚原からもう一つの爆弾を買った人間が、公江であることがわかった。公江が大切に抱えていたカメラケースには爆弾が入っていたのだ。つまり彼女はそれとなく右京に列車が青森で停車することを教え、犯人逮捕に協力。犯人が捕まらないまま、持ち物検査をされては爆弾の存在がバレてしまうからだった。

 右京らは公江が行くといっていたホテルへ急行。そこでホテル王と呼ばれる仲瀬(黒部進)に爆弾を手錠で結びつけた公江を見つける。公江が失った恋人は学生運動が活発だったころ、仲瀬に脅され爆弾を作らされていた。その作業中に爆弾が爆発、恋人は死に公江もお腹にいた子供を流産してしまった。が、仲瀬はなんの罪にも問われず生き抜くと、現在のような地位に。公江は塚原の爆弾で復讐しようとしていたのだった。
 すべてを察した右京らはわずかなスキを突いて公江から起爆スイッチを取り上げることに成功。公江もそれ以上の抵抗はせず逮捕される。

 根元が目撃した大物は仲瀬だった。仲瀬の逮捕を知った右京は、公江の恋人の遺品から黒焦げになったロケットを探し出し公江に手渡す。これが指輪の代わりだったのかも。ロケットを開けると、輪のように動く星の美しいリングの写真が。
「星たちはこうして動き続けている。あなた中の時計を、また動かす時が来たのではありませんか」。
 右京の穏やかな言葉にうっすらと涙を浮かべてうなずく公江だった。

ゲスト:長山藍子 永島敏行 柏原収史 

相棒Season06 第10話「開局50周年記念 元日スペシャル
「寝台特急カシオペア殺人事件!上野~札幌1200kmを走る豪華密室!犯人はこの中にいる!!」
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第11話「ついている女」

2008年1月16日放送

 かつて右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)に殺人未遂で逮捕された“ついてない女”幸子(鈴木杏樹)が刑務所から脱獄した。すっかり更生した幸子は、あと1年半で出所したら服飾の仕事がしたいと右京らに手紙を送ってきていたのに。健康診断で異状が見つかった幸子は春麗(MEGUMI)という囚人と医療刑務所に送られることになったが、その途中、春麗の仲間らしき男たちが護送車を急襲。実は幸子は春麗脱獄に巻き込まれただけだった。
 が、幸子も春麗らとグルかもしれない。捜査一課は検問を張り巡らすが、右京はあえて幹線道路を避け、裏道に検問を集中させるよう提案。中園警視正(小野了)も賭けとも言える右京の提案に「自分が決めたこと」と言い訳しつつ従う。

 そんな右京の勘がズバリ当たった。護送車を捨てた幸子らが乗ったワゴン車が検問の前までやってきたのだ。一気に緊張する車内。しかし、石田署長(潮哲也)の「もし裏目に出たら…」という忠告に恐れをなした中園は検問の配置を元に戻してしまう。寸前で検問を免れ歓声をあげる春麗ら。
「あんたがついてるんだよ」。
 肩を落とす幸子に春麗は声をかける。

 検問での逮捕に失敗した右京らは、乗り捨てられた護送車を調査。大量の血が発見されるが、幸子のものだろうか。右京は鑑識の米沢(六角精児)できるだけ採取するよう依頼する。
 一方、幸子はスキを見て自らの血で書いたメモをケガをして人質となっている女性刑務官の戸崎(久世星佳)に預けると、交番の前で車外へと放り出す。さっそく巡査に保護される戸崎。春麗らは車を急発進させ、現場から逃げ去る。

 春麗の父・周文健(谷本一)は台湾マフィアのボスだった。獄中から父へ「逃がして欲しい」手紙を書き、今回の逃亡劇を用意してもらったという春麗。このまま父のいる台湾へ帰るという。
 が、捜査一課の調べで春麗の父が1カ月前から日本にいることが判明した。さっそく周の勤務先へと向かう伊丹(川原和久)。
 しかし、右京は獄中の春麗のもとに4日前に届いた周の手紙は台湾の消印になっていることに気付く。ということは、1カ月前から日本にいる周が書いたものではない。さらに米沢が集めた幸子の血液から幸子が健康体であることがわかる。

 これらの事実から刑務所内部の人間が幸子の血液検査を改ざん、幸子は計画的に護送車に乗せられた可能性が高い、と推理する右京。ということは、犯人の狙いは春麗ではなく幸子だったのか?
 そのころ保護された戸崎刑務官は護衛する巡査らの目を盗むと、幸子から渡されたメモをこっそりと捨て去り…。

 幸子が狙いだとしたら犯人は…。右京は幸子に撃たれた上、城代金融を壊滅させられた向島(正城慎太郎)が黒幕ではないか、とにらむ。護送車を襲った男たちの一人が、城代金融の取立てをやっていたことも判明。やはり犯人は向島、狙いは幸子への復讐だった…!

 そのころ、とある廃ビルへと連れて来られた幸子は向島と思わぬ再会を果たしていた。銃をつきつけられ、言葉も出ない幸子。
 右京らは向島らのアジトへ急行するのだが…。

ゲスト:鈴木杏樹 MEGUMI

相棒Season06 第11話「ついている女」
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第12話「狙われた女」

2008年1月23日放送

護送車襲撃は元・城代金融の向島(正城慎太郎)が幸子(鈴木杏樹)への復讐のため仕掛けた罠だった。右京(水谷豊)らは向島らのアジトを探し出そうとするが、幸子は春麗(MEGUMI)の機転で向島らのもとを脱出。奪った拳銃を手に2人で逃亡を続ける。
捜査一課もアジトを発見、向島らを拘束するが、その連絡を受けた右京はふと疑問を口にする。資金力のない向島に今回のような事件を起こせるとは思えない。もしかして向島らを操る黒幕が別にいるのでは…。右京らは戸崎刑務官(久世星佳)をそれとなく締め上げ、犯人と通じていたことを引き出すと、彼女がゴッドという黒幕の命令で動いていたことを知る。ゴッドとは何者か?右京らは取調べ中の向島を締め上げるが、向島もそれが何者で目的が何かはわからないという。ただ、幸子は好きにしていい、もう一人、春麗はビルから放り出せと言われていたらしい。

どうやらゴッドの狙いは春麗のようだ。右京らは角田課長(山西惇)に春麗の身元を調べるよう依頼。なぜ春麗が狙われるのか、そして誰が春麗を狙っているのか、突き止めようとする。

なんとか脱出に成功した幸子と春麗だが、今回の脱獄劇に父親が関係していなかったことがわかり大ショック。台湾に帰れなくなった、と銃を自らのこめかみに突き立てる。あわてた幸子はそんな春麗を人は生まれ変わることができる、と懸命に説得。なんとか思いとどまらせる。

春麗が麻薬取り引きの噂があるIT企業シーネットと関係していたことがわかった。その疑惑に関わっていた人間は皆不審な死を遂げている。ということは春麗も口封じのため…。ゴッドの正体はそのシーネットの経営陣である可能性が高い。
が、シーネットの経営陣が黒幕としても、これほどの罠を思いつくとは思えない。監察官の大河内(神保悟志)が捜査を担当するようになっていたことを考えると、どうやら警察内部の人間が絡んでいる可能性が高い。

そのころ幸子と春麗の前に刑事が現れた。素直に拘束される2人だったが、春麗は刑事たちの顔を思い出すと顔色を変える。そんな春麗に「やっぱり覚えてやがった」とはき捨てる刑事たちは、幸子と春麗をどこかへと連れ去ってしまう。

大河内から捜査を引き継いだ右京らは悪徳刑事を追うが、その手がかりとなるデータは消されていた。捜査本部にもゴッドの一味がいるらしい。手をこまねいていた右京らのもとに、なんとか刑事たちから逃れた幸子から連絡が入った。春麗はシーネットの社長と刑事たちが麻薬の取り引きをしているところを偶然目撃していた。だから狙われているのは自分だけ、幸子に逃げろという春麗だが、幸子は「自分はついている女だから」とあくまでも一緒に逃げ切ろうとする。
が、春麗の咳を聞きつけた刑事たちはついに幸子らを追い詰めた。引き金を引こうとしたそのとき、右京らが飛び掛り幸子らの救出に成功する。

黒幕の石田署長(潮哲也)も逮捕、複雑な事件は無事解決した。刑務所へと戻ることになった幸子と春麗。春麗は父親が東京の中華料理店で真面目に働いていることを初めて聞かされる。そんな父の夢はいつか自分の店を出して娘と一緒にやることだとか。
思わず涙する春麗に右京はやさしく微笑みかけた。
「人は誰でも生まれ変われるようですよ」。

ゲスト:鈴木杏樹 MEGUMI

相棒Season06 第12話「狙われた女」
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第13話「マリリンを探せ」

2008年1月30日放送

 薫(寺脇康文)と親しいゲイバーのママ・ヒロコ(深沢敦)の愛犬マリリンがいなくなってしまった。ヒロコに泣きつかれた薫は、公園で一緒にマリリンを探すが、偶然そこで福光(近藤大介)の刺殺体を発見してしまう。携帯電話が奪われており、これまで2件発生していた携帯電話だけを奪っていく殺人犯と同一人物による犯行の可能性が高い。  翌日には稲垣(北村栄基)という男が自宅マンションから転落死。近くから例の殺人事件の被害者のものと思われる携帯電話が発見され、犯人らしい人物から「俺を探しても無駄だ」と電話が入る。

 携帯電話を奪う殺人犯による4回目の犯行か!?警視庁は捜査本部を設置、稲垣と最後に連絡をとった友人の沖田(河相我聞)から事情を聞くが、沖田はアリバイを主張する。
 それにしても3件目まで無言だった犯人が、なぜ4件目になって電話などかけてきたのか?疑問を抱く右京(水谷豊)はマリリンがかつて麻薬探知犬だったことを突き止める。公園で殺された福光にマリリンはじゃれつくことがあったというが、実は福光が持っていた麻薬に反応していたのではないか?薫(寺脇康文)は福光を殺害した犯人が麻薬を持ち去り、マリリンは犯人が手にした麻薬を追って行方不明になったのでは、と推理。右京と薫はマリリンを探しに、とりあえずは沖田のアパートへ向かう。

 マリリンは沖田の隣室に住む住人によって保護されていた。やはり福光を殺害した沖田が麻薬を手に入れて…。しかし、右京はマリリンの行動に1日以上の空白があることに疑問を抱く。その間マリリンはどこにいたのだろうか?
 福光が麻薬の売人だったことが判明。稲垣以外の2人の被害者も麻薬と関係していたことがわかった。稲垣のマンションを改めて調べた右京らは、同じマンションに住む女子大生が麻薬が原因で自殺していたことを知る。
 しかし、稲垣と麻薬の関係が見えてこない。右京らが沖田から話を聞いていると、沖田の妹が麻薬が原因で自殺していた事実をつかんだ伊丹(川原和久)らが沖田を拘束。麻薬に対して恨みを抱く沖田の復讐ではないか、と詰め寄るが、沖田のアリバイが成立してしまう。

 麻薬に関する犯歴者のデータから右京はバイク事故で死亡した諏訪山(粟島瑞丸)という男をピックアップする。諏訪山が事故死した現場は福光が殺された公園のすぐ近く、稲垣が転落死したマンションからも近い。しかも、諏訪山は女子大生が飛び降り自殺した日と同じ日に事故死していた。偶然にしてはあまりにも出来過ぎている。

 右京と薫は沖田に、殺人犯は稲垣で沖田は稲垣の犯行であることを隠すため麻薬を持ち帰った、と推理をぶつけ自供を迫る。つまりマリリンは福光殺害の現場から稲垣のマンションへ、そして沖田のアパートへと移動していたのだ。最初は否認していた沖田だったが、被害者の爪に犯人の皮膚が検出されたことを聞き、自供を始める。様子がおかしい稲垣を尾行し、福光殺害の現場を見たという沖田。その沖田が問いただすと、稲垣は恋人でもあった沖田の妹に麻薬を与えた諏訪山と偶然再会。後を追い事故死した諏訪山の携帯から麻薬の売人などを突き止めたという。麻薬に関係する人間を殺し続けていた稲垣を止めたものの、結局は自殺に追い込んでしまったと自嘲する沖田。あいつが殺人鬼になるのも止められなかった、という沖田に右京はやさしく語りかけた。
「少なくとも最後の瞬間、彼は殺人鬼から一人の人間に戻った。そう信じませんか?」。

ゲスト:河相我聞

相棒Season06 第13話「マリリンを探せ」
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第14話「琥珀色の殺人」

2008年2月6日放送

 有名なウイスキー評論家の勝谷(伊藤高)が何者かに殺害された。現場には「PAIRTICHE(パーチー)」「1970」という高級スコッチが残され、勝谷がそのスコッチをオンザロックで飲んだらしいことがわかる。しかし、このスコッチに氷を入れてはせっかくのシェリーの香りが台無しだ。勝谷ほどウイスキーに精通した人間がそんな飲み方をするだろうか。ということは、ウイスキーに疎い犯人が偽装工作を行った?
 しかし、同時にウイスキーに詳しい犯人が、わざと疎い人間であるかのように装った可能性もある。右京(水谷豊)は不審を抱くが、薫(寺脇康文)は氷を入れたのは勝谷の趣味かも、と疑問を。そこで右京らは勝谷のなじみの店で勝谷の酒の飲み方を調べることにする。

 そんな勝谷の行きつけの店を調べていた右京らは、三好(蟹江敬三)がバーテンダーとして働く店を発見する。かつてオリジナルカクテルを強引に商品化しようとしたオーナーを殺害、右京らによって逮捕された男だ(season1「殺しのカクテル」)。 どうやら出所して再びバーテンダーとして働いているらしい。
 三好によると、服役中にシガーバーを経営する英(田山涼成)から声をかけられ、再びバーテンダーとして店を任されるようになったという。が、苦い思い出があるカクテルはどうやら作らないらしい。そんな三好は現場にあった「パーチー」のボトルとグラスの写真を見て、勝谷がこんな飲み方をするのはおかしい、と即座に意見を言う。が、三好はなぜこの写真が勝谷の自宅とわかったのか。右京はふと疑問を口にすると、三好も微かに動揺する。

 右京らはシガーバーを経営する英を訪ね、今度は勝谷の部屋にあった葉巻の道具などについて聞く。勝谷のパンチカッターで英に葉巻をカットしてもらうが、英もパンチカッターは使ったことがないとか。
「勝谷さんの見よう見まねで…」。
 カットしてもらった葉巻と高級なスコッチを味わう右京と薫。しばし最高のひとときに酔いしれて…。

 美和子(鈴木砂羽)が死んだ勝谷の代わりに雑誌の原稿を書くことになった。担当の編集者から右京と薫は、勝谷が人を殺したバーテンダーを糾弾する記事を書こうとしていたことを知らされる。どうやら三好のことらしい。が、勝谷が殺された自宅の部屋にはそんな原稿はなかった。まさか三好が勝谷を殺害、原稿が世に出る前に持ち去ったのでは…。

 右京らは三好に調べ上げた事実を突きつけ自供を迫るが、三好はあくまでも認めようとしない。仕方なく昨日、英の店で飲んだスコッチを飲むことにする。と、薫が昨日のものと味が違うことに気付く。同じ銘柄なのになぜ…。薫の反応に右京は三好が味が変わらないようボトルに窒素を注入していることを確認。現場に残されていた「パーチー」を調べさせ、ボトルに窒素が入っていることをつかむ。

 窒素入りのボトルの事実を突きつけられた三好はついに犯行を認める。が、そこに英がやってくると三好を庇う。実は犯人は三好の過去を隠そうとした英、それを知った三好は現場を偽装しただけだった。パンチカッターで葉巻を切ってもらったり、英との会話で右京も当初から英に疑惑を抱いていた。
 すべてが明らかになった今、右京はカクテルを作ることを避けようとする三好を責める。
「どんな過去であっても、記憶しておくことから全てが始まるのではないか、と」。
 そんな右京の言葉についに三好は心を許す。リクエストに応え、得意のカクテル、ホームスイートホームを作る三好。家に帰れない客を帰すためのカクテル…。
「どなた様もいつか必ず、帰れますように」。
 そんな言葉とともに、右京らはゆっくりと三好のカクテルを味わうのだった。

ゲスト:蟹江敬三 田山涼成

相棒Season06 第14話「琥珀色の殺人」
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第15話「20世紀からの復讐」

2008年2月13日放送

 ダンボール箱に仕掛けた爆弾を遠隔操作で爆発させる連続爆弾事件が発生。その犯人が今度はコンビニに置かれたダンボール箱に爆弾を仕掛けた!
 犯人はコンビニ店員の佐藤(近藤公園)に電話をかけ、客を人質にとるよう指示。偶然居合わせた薫(寺脇康文)も人質となってしまう。
 現場に駆けつけた右京(水谷豊)は、鑑識の米沢(六角精児)から、犯人は半径1km圏内でしか操作できない受信機を使用していることを知らされる。ということは、犯人はコンビニから半径1km以内にいるということか。
 ?が、犯人の携帯の電波を辿ると9km離れた場所を移動していることがわかった。さらにこれまでの爆破は人気のない場所だったのに対して、今回犯人は他人と接触する危険を冒している。右京は犯人の行動に疑問を抱き…。

 佐藤の妻・美登里(吉村涼)が現場へやってきた。佐藤と別居を決意、家を出ようとした矢先の事件だったという。その佐藤が犯人と交渉、自分以外の人質を解放することになった。
 しかし、刑事としての責任を感じる薫は佐藤とともに店内に残るという。それは困る、と佐藤と押し問答をしていると、薫の携帯が鳴った。なんと電話の主は本物の爆弾魔。男は薫に自分が誰かわかるか、と問い掛ける。どうやらこれまでの爆破も薫と関係があるらしい。
 突然のことにうろたえる薫。困惑していると、新たなヒントだと今度はバイクが爆破された。伊丹(川原和久)らが追っていた犯人の携帯の電波も消えた。店内の様子がわからない右京らは、複数犯の可能性すら考え始めるが…。

 実はコンビニの爆弾事件は妻を引き止めたいがための佐藤の自作自演だった。こっそりと爆弾魔に告白する佐藤だったが、爆弾魔はお構いなし。焦る薫に自分を思い出せ、と迫る。
 薫から連絡を受けた右京は爆破が起きた3箇所から薫の捜査一課時代の事件に関連があるのでは、と推理。捜査一課は薫が担当した過去の事件を洗う一方、薫も懸命に記憶を辿る。

 爆破されたバイクの車種を聞いた薫が、伊丹と犯人追跡のためバイクを借りていた事件を思い出した。爆弾魔の正体はそのバイクの持ち主・坂崎(本田大輔)。薫に人生をボロボロにされた、と復讐しに来たという。
 坂崎は身体に爆弾を巻き付け、なんと美和子(鈴木砂羽)を人質にコンビニに姿を現す。
 8年前、薫が借りた坂崎のバイクには彼女に手渡すはずの指輪があったという。その日、ミレニアムのカウントダウンをしながら渡す計画が台無しに。彼女とうまくいかなかった坂崎は以来、何一ついいことがなかったという。それもすべては薫がバイクを奪ったせい…。
 怒りも露に坂崎がスイッチを押そうとしたその時、佐藤の妻・美登里が現れた。実は坂崎が指輪を渡そうとしていた相手とは、当時独身だった美登里だった。美登里も母親が病気でミレニアムの会場へは行けなかった、けっして坂崎から逃げたわけではない、と告白。思わぬ事実に脱力した坂崎はあっさり薫らに逮捕される。

 佐藤の自作自演も明らかになったが、美登里はそんな佐藤の愛情を改めて確認。すべては丸く収まったが、実は美登里の告白は右京が考えたウソ。坂崎も薫もみごとにだまされていたのだった。
 連行される佐藤に付き添う美登里を見送りながら、2人の行く末を心配する薫。そんな薫に右京は太鼓判を押す。
「思いはありながら、すれ違うのもまた夫婦ではないでしょうか。きっとやり直せると思いますよ」。

ゲスト:近藤公園

相棒Season06 第15話「20世紀からの復讐」
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第16話「悪女の証明」

2008年2月20日放送

 外務省の外交費不正流用が明るみになる中、外務省職員の草葉(奥田達士)がビルの非常階段から転落死した。草葉は15時に現場ビルで何者かと待ち合わせをしていたらしい。さらに不正流用問題で矢面に立たされている山浦事務次官(堀内正美)の子飼いの部下であることがわかった。
 右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は山浦から話を聞くが、山浦は外交費の不正流用などない、と強く言い切る。その言葉は、衆議院議員の雛子(木村佳乃)への非難ともとれるのだが…。

 もともと雛子と山浦は激しく対立していたが、今回の不正流用問題を追及していたのは雛子ではなく、雛子とは同じ超党派の政策集団に所属する野党議員だったはず。なぜ山浦は雛子を非難するようなことを言ったのだろうか?
 事件当日、現場近くのホテルで雛子らが集会を開いていたことが判明した。集会会場から現場まで15分もあれば往復できる。とはいえ、事件当時、雛子は講演の真っ最中だった。
 右京らは雛子に事情を聞きに行くが、雛子は自らのアリバイを主張。事件とは無関係とやんわりと突き放す。

 草場が外交費流用問題の内部告発者である可能性が出てきた。とすれば、雛子が草場から情報を入手、野党議員に流し追及させていたとも考えられる。右京は雛子の事件当日の講演テープを聴き、講演がテープであることを確認。雛子のアリバイを崩す。
 しかし、転落現場を改めて検証した右京と薫は、ホテルの13階にある雛子の控室から現場が丸見えであることをつかむ。右京は自らの推理に誤りがあることに気付き…。

 雛子の指紋が現場から発見された金属片に残された部分指紋と一致した。勢いづく伊丹(川原和久)ら捜査一課だったが、どうやら角田課長(山西惇)から右京らの推理を聞き捜査していたらしい。
 特命係あてに謎の差出人から山浦と記者の倫恵(山口香緒里)がデートする写真が送られてきた。どうやら2人は親密な関係だったらしい。さらに事件当日、倫恵が雛子にペンを貸している写真も。
 右京はビデオから事件発生直前まで山浦が現場ビルにいたことを確認。さらに薫を通じて美和子(鈴木砂羽)から倫恵が雛子の講演が始まるやいなや、席を立っていたことを確認する。

 倫恵から取材を受けている雛子を訪ねた右京と薫は、事件当日雛子が控室で草場から情報を受け取る予定だったことを指摘。その草場が自分に情報提供者になるよう近づいた倫恵が、隣のビルで山浦と一緒にいるところを目撃。倫恵が二重スパイであると悟ったのだと推理を披露する。動揺した草場は倫恵に詰め寄るが、もみ合ううちに草場が転落して…、というのが事件の真相だった。雛子の指紋が残っていた金属片も倫恵のペンのクリップ部分であることが判明。倫恵もすべてを認める。

 しかし、報道は山浦と草場、倫恵との三角関係が動機、とだけ伝えた。雛子は草場から情報提供の依頼があったが会えなかった、と巧みに事件から逃れる。実は右京らが事件を解決するヒントとなった写真も、雛子が政治記者の鹿手袋に撮らせたものだった。
 それとなくそんな雛子のやり方を察知した右京は、雛子に諭すような言葉を投げ掛ける。
「片山雛子という人間は身の回りで事件が起きるたびに、それを逆手に取り、まるで糧にするかのように大きくなっていく人間だということです」。
 雛子は右京の言葉に「ほめ言葉と受け取る」と答えると、怜悧な視線で見返すのだった。

  ゲスト:木村佳乃

相棒Season06 第16話「悪女の証明」
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第17話「新・Wの悲喜劇」

2008年3月5日放送

 美和子(鈴木砂羽)がスキーで足を負傷、動けなくなってしまった。さぞや不便をしているのではないか、と右京(水谷豊)とたまきは料理を持って亀山家を訪ねる。
 マンションの前で薫(寺脇康文)と出会った右京とたまきは、亀山家の一つ上の階に住む主婦・白鳥寿々美(中島知子)を紹介される。どうやら薫は寿々美にも右京のことをしゃべっているらしい。それぞれの部屋へ向かう途中、4人の話題は犯罪の検挙率に。およそ30%という低さに驚く寿々美。が、右京は殺人事件については約96%で、人殺しはほぼ間違いなく捕まっているとクギを刺すように付け加える。
 ほどなく亀山家には角田課長(山西惇)も見舞いに訪れ、部屋は一気ににぎやかに。

 やがて夜も更け、白鳥家にも夫の晋三(徳井優)が帰宅する。いつものように食事をして風呂に入る晋三。が、突然風呂場の明かりが消えてしまった。停電かと思われたそのとき、寿々美が細かく砕いたドライアイスを浴槽へ、そのままドアを閉めてしまう。
 しばらくしてドアを開けると、二酸化炭素中毒で意識を失った晋三の姿が。寿々美は晋三を浴槽に入れると、ドライアイスで冷えたお湯を沸騰させて…。

 救急車の音に驚いた右京と薫が白鳥家へ向かうと、晋三が風呂で大やけどを負ったという、戸締まりもせずに病院へ行った寿々美の部屋で留守番をすることにした右京と薫。何気なく部屋の様子を見回すと、風呂場から続く足跡が。どうやら寿々美のものらしいが、辿っていっても部屋の電話機へと続いていない。携帯にも119番への発信はなく、寿々美はどうやって通報したのか? 不自然な状況に右京らは、寿々美に疑惑を抱く。

 右京と薫は病院へ行くと、治療中の夫を待つ寿々美に質問を。首まで熱湯につかっていた夫を助けるため、水を入れ、湯があふれたことを確認、足跡が残った理由もわかった。ということは、あの足跡が寿々美のものである可能性が高い。どこから寿々美は119番通報したのか、という右京らの質問に寿々美はしどろもどろに。ここで右京は夫がゆで上がったのを確認してから119番へ通報、そのあと浴槽に水を入れるなどの工作をしたのでは、と自らの推理をぶつける。これなら寿々美の不自然な動きも理解できる。
 しかし、寿々美はあくまでもシラを切り続けて…。

 寿々美の夫・晋三が死亡した。告別式の日、右京らはドライアイスを寿々美の部屋の冷蔵庫から発見。そのドライアイスを湯船にぶち込み、夫の意識を失わせたという殺害方法を明らかにする。遺体を解剖に回すと迫る右京に進退窮まった寿々美。いよいよ自白か、と思われたそのとき、寿々美の目が覚めた。夫の帰宅を待つうちに居眠りをしてしまったらしい。
 その夫の帰宅を知らせるチャイムにドアを開けると、突然男が襲いかかってきた。悲鳴をあげて逃げ回る寿々美。偶然やってきた右京と薫になんとか救われる寿々美。そこへ夫の晋三が帰宅した。

 しかし、カギを忘れたという晋三はチャイムも鳴らさずに部屋へ入ってきた。普通ならチャイムを鳴らし、カギが開いていることで異変を感じ取るのではないか。右京がそんな疑惑を口にし、やがて暴漢が薫に捕まったことがわかると晋三の一気に動揺し始めた。
 実は暴漢は晋三がインターネットを通じて依頼したのだった。が、晋三は寿々美に殺意を感じ、先手を打った正当防衛だと言い張る。
 やがて防毒マスクやドライアイスが見つかり、右京は寿々美が夫に殺意を抱いていたことを確認する。
「今夜はどうか、ご自分の幸運に感謝を。実行に移すチャンスに恵まれなかったことを」。
 右京の言葉に寿々美は思わず涙を流すのだった。

ゲスト:中島知子 徳井優

相棒Season06 第17話「新・Wの悲喜劇」
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第18話「白い声」

2008年3月12日放送

右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、調布のマンションでの殺人事件への捜査協力を求めるビラを手に入れる。が、調べてみたものの、警視庁のデータベースにそんな事件は存在しない。ビラを配っていた男性=中津留(山本亘)によると、娘の順子がマンションの自室でストーカーに殺害されたのだと言う。しかし、所轄署の熊沢刑事(上杉祥三)の判断は急性心不全による病死だった。それで警視庁のデータベースになかったらしい。

現場のマンションの部屋を調べた右京と薫は、タンスの下に隠れた円状のシミを発見する。さっそく鑑識に検査を依頼すると、青酸ソーダとオレンジジュースの成分が検出される。何者かがオレンジジュースに青酸ソーダを混入、順子に飲ませた可能性が高い。さらに部屋のドアから何者かの耳の紋=耳紋が発見された。どうやら犯人が耳をそばだて部屋の中をうかがっていたらしい。

 右京と薫は内村(片桐竜次)から捜査を中止するよう命じられるが、薫は病で倒れた中津留に右京と2人で必ず犯人を捕まえると誓う。
犯人はどのようにして順子に青酸ソーダ入りのジュースを飲ませたのか。右京と薫は順子のバッグを手に1日の行動を辿る。彼女が日常利用していたバスに乗ると、右京はこっそりバッグの中のペットボトルを入れ替え、カギを抜き取る。つまり毒入りのジュースをバッグに入れ、抜き取ったカギで型を取り合鍵を作ることも可能なわけだ。
バスが城南大学の理工学部の前で停まることがわかった。そこなら実験用の青酸ソーダもある。薫は城南大学の学生がバスの中で順子に片思い、何かの理由で殺害にいたったのではないかと推理する。
右京らはバスを降りると、その大学の助手・三田村(西川忠志)に青酸ソーダの盗難、紛失などなかったか確認するが、しっかり管理ができているらしくそんな事実はないという。やはり学生を犯人とするには無理があるのか…。

心臓を患っていた中津留が急死した。絶対安静という医師の指示を無視してビラを配り、順子のマンション前で倒れたらしい。そんな中津留の死に疑問を抱いた右京は解剖を依頼。さらに中津留がかつて勤めていた工場に出向いていた事実をつかむ。中津留が工場から青酸ソーダを盗み出し、どうやら自殺したらしい。つまり中津留は自らの死で自殺や他殺が病死で処理されることを証明したわけだった。そんな事実を突きつけられた熊沢だが、あくまでも順子は病死だと言い張る。

順子の不審死が東京23区内での出来事なら、遺体は解剖され正確な死因が特定できたはず。犯人はその事実を知っており、あえて調布市で順子を殺害したのでは?もしそうなら警察の判断ミスを予想していたことになる。さらに他にも同じような手口で何者かを殺害している可能性も…。右京らは毒殺の疑いがある過去の変死者を調べ直し、順子が死ぬ1ヶ月前に城南大学の教授が急性心不全で死亡していた事実をつかむ。

 助手の三田村が実験で使用する量より2g多く青酸ソーダを入手していた事実をつかんだ右京と薫は、三田村に教授と順子殺害の自供を迫る。しかし、三田村は頑として否定。ドアの耳紋が自分と一致しても証拠にはならない、と言い張るが、右京らが指摘する前に「オレンジジュースに毒など入れない」と口走ってしまう。なぜ順子が飲んだジュースがオレンジとわかっていたのか?右京に指摘された三田村はすべてを自供する。

 右京らから報告を受けた熊沢は、自殺する直前に中津留から手紙を受け取っていたことを明らかにする。
「あなたたちには、順子の声が聞こえませんか。焼かれて、真っ白い灰になった順子が、悔しい、悔しいと叫んでるのが聞こえませんか…」。
 手紙につづられた中津留の悲痛な叫びに、右京と薫は改めて無念さをかみ締めるのだった。

ゲスト:山本亘 上杉祥三

相棒Season06 第18話「白い声」
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第19話最終回2時間スペシャル「黙示録」

2008年3月19日放送

 死刑囚の錦貴文(久松信美)が獄中で死亡した。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は病死であることを証明するための解剖に立ち合うが、右京は貴文の刑が19年間も執行されなかったことに疑問を抱く。
 25年前、解雇されたことを恨み、元上司の妻を包丁で刺すと家に火を放ち娘をも殺害した貴文。無罪を主張したが、いくつかの証拠が決め手となり死刑が確定していた。
 しかし、一方で貴文を無罪と信じる弁護士・茂手木(ベンガル)は再審を請求していたが棄却されていた。
 右京は当時の裁判官の生き残り、あの三雲判事(石橋凌)から事情を聞くが、三雲は正式な捜査でなければ、と多くを語ろうとしない。

 そんな折り、貴文の事件を担当していた黒木警部補(成瀬正孝)が何者かに殺害された。 
 刑が執行されなかった理由にこだわる右京に、小野田(岸部一徳)はそれとなく黒木殺害事件の捜査を促す。

 右京は小野田の勧めに従い、法務大臣を辞任したあとシスターに転身したゆり江(かとうかず子)に会いに行く。法務大臣時代は死刑執行命令書にサイン、その度に懺悔に言っていたというゆり江。しかし、あるとき貴文の教誨師をしていた神父から、無実を叫ぶ貴文に死を受け入れる心の教えをした、と告白されたという。神父は不適当だった、と教誨師を辞任。ゆり江も貴文の再審請求が棄却されてから、死刑執行命令書にサインできなくなり大臣を辞任した。
「誰だってそんなものにサインしたくない」。
 ゆり江は大臣時代の苦悩を右京に打ち明ける。

 黒木警部補に続き、貴文の母娘放火殺人事件を担当していた緑川検事(遠藤たつお)の他殺体が発見された。警視庁は合同捜査本部を立ち上げ本格的な捜査に乗り出すが、右京と薫は黒木と緑川に恨みを抱く貴文の父・文忠(林隆三)から話を聞く。
 アリバイはない、と言い切る文忠は証拠の矛盾を無視した裁判所への怒りを露にする。貴文の死刑が確定した年に妻を自殺で失った文忠。その怒りももっともだが…。犯人に感謝しているとさえ言い放つ文忠に捜査本部も疑惑の目を。右京も文忠を容疑者というが、薫はどうしても納得できない。

 右京と薫は茂手木を訪ね、文忠が言う証拠の矛盾について説明を受ける。決め手となった血液掌紋の指紋は不明確、靴痕にしてもスニーカーの量産品だけに貴文のものと決めつけるのはおかしい。茂手木は怒りを露にするが、逆に貴文は再審請求がダメになり達観するようになったという。自分は前世で悪い行いをした、だから現世で処刑されるのだ、と笑顔さえ浮かべていた貴文。茂手木の再審請求も最後まで拒み続けていたという。

 黒木警部補が殺害された当日、25年前の母娘放火殺人事件の関係者の指紋と何者かの指紋の照合を依頼していたことがわかった。が、誰の指紋と一致したのか?伊丹(川原和久)は文忠の指紋ではないか、と推理するが…。
 三雲判事が貴文の死刑が確定した年に離婚していた。貴文の死刑を待ち続けていた被害者の元恋人・飯田(ひかる一平)、妻を亡くした文忠、さらに茂手木、ゆり江、三雲…。25年前の事件はさまざまな人たちの人生を狂わせてきたようだ。

   文忠が東京地裁に緑川検事を訪ねていた可能性が高くなった。黒木警部補は25年前の事件の真犯人を突き止め、緑川検事に話した。そして殺害された…。右京は飛躍ともとれる推理をする。
 貴文が25年前の事件で現金を盗んでいたことがわかった。ということは、犯人の手元には今の札とは違うデザインの旧札があるはず。生活安全課の古物担当だった黒木はその旧札を売りに来る人間をマークしていたに違いない。そして、その人間の指紋を25年前の事件の関係者と照合させて…。
 さらに右京はゆり江から国も貴文が冤罪ではないか、という疑いを抱いていた事実を知らされる。だから刑が執行されなかったのか。さすがの右京も衝撃を受けて…。

 薫の追及に文忠が緑川検事を訪ねていたことを認めた。先に黒木警部補が大切な話があるとやってきたが、怒りが込み上げ追い返したという文忠。しかし、気になって改めて面会しに行ったが、黒木、緑川の姿に怒りが抑えられなくなり、そのまま会わずに帰ってしまったという。そんな文忠に2人の殺害容疑がかからぬよう、三雲が地裁の来訪記録を破棄したらしい。
 右京はそんな三雲に令状をとって欲しいと請求する。
「25年前の真犯人がわかりました」。
 右京の言葉に三雲の表情も一気に凍りつく。

 右京と薫は伊丹らと令状を手に飯田の自宅へ。捜索の結果、旧札の札束が多数発見される。指紋を調べれば飯田が犯人であることは明らかになる。そんな右京の言葉に飯田は犯行を自供、しかし事件は時効だと開き直る。
 が、今度は黒木が持ち出した25年前の飯田の指紋シートが発見された。指紋から真相をつかんだ黒木と緑川を殺害したのは、やはり飯田…。伊丹らは悔しげに自供する飯田を逮捕。右京はそんな飯田に事件の関係者が味わってきた苦しみを伝える。

 そして右京と薫は文忠をとともに三雲のもとへ。改めて無罪の息子を死刑囚にされ、妻を失った怒りをぶつける文忠。しかし、三雲もその苦しみを忘れぬよう判決文を常に持ち歩いていた。
「三雲さん、私はあなたを許します」。
 忠文の言葉に三雲はただただ涙を流して…。

 その三雲判事が裁判官を辞めることになった。つまり、かつて裁判員制度を止めるため、一人の人間を殺してしまった責任を、右京は三雲にとらせる形となったわけだ。
「残酷なことをするねえ」。
 そういう小野田に対して薫は右京を庇う発言をするが、実は三雲は右京が頼んだ令状のため、裁判官を辞めさせられるのだという。
「杉下の正義は時に暴走するよ」。
 小野田の言葉に言い返せない薫。

 そんな薫はつとめて明るく右京に語りかけるのだった。
「ラーメン食いません?」。

ゲスト:林隆三 石橋凌 ベンガル

相棒Season06 第19話最終回2時間スペシャル「黙示録」
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